概要
作中世界の「若琥会・若琥一家二代目猪背組」に与するヤクザで、上役の熊倉義道共々、丑嶋が経営する闇金「カウカウファイナンス」のバック(後ろ盾)についている。
物語を通して幹部候補生→猪背組系列滑皮組組長と再登場の度に出世している。
冷酷残忍で野心的かつ支配欲の強い性格の持ち主であり、成り上がるためには一切の手段を選ばず、自身に弱みのある者や気に入らない相手に対しては一切容赦しない。また、かつては暴走族・悶主陀亞(モンスタア)連合総長を務めており、愛沢浩司、鰐戸三蔵と並んで丑嶋の地元で「絶対に逆らってはいけない人物」と言われていた。
ドラマ版および映画には登場せず、設定の大半は女闇金の犀原茜、極道としての部分は般田に受け継がれている。(前者についてはリンク先参照)
また外伝作品『らーめん滑皮さん』では主人公を務める。
人物
そこそこの長身に鋭い目つき、加えて面長の輪郭と、全体的に刺々しい威圧感溢れる風貌が特徴。一見すると細身で、また物語初期の頃は逆立てた髪にスカジャンと、幹部候補生とはいえ基本の装いはまだまだ若手といった見た目だったが、衣服の下は逞しい逆三角形の体付きをしており、背中や両肩に既に入れ墨を彫っていた。
正式に幹部となって再登場してからは、坊主頭に黒スーツと、以前から一転しフォーマルかつタイトな出で立ちに変わり、また背面(両肩から背中・太腿にかけて)には和彫りを入れており、如何にもヤクザの幹部といった威厳のある風体になった。
作中では度々、丑嶋とその同い年の面々は基本的に「滑皮さん」と敬称付きで呼んでいた為、年齢では滑皮の方が上であるようだったが、正確な年齢(および丑嶋たちとの年齢差)は不明だった。スピンオフ『少年院ウシジマくん』によると、丑嶋が少年院に入院した15歳(中学2年)の頃、悶主陀亞連合の総長を務めていた当時の滑皮は16歳と1年しか変わらなかった模様。
上述通り地元で「絶対に逆らってはいけない人物」と称されているが、その同列扱いされる愛沢曰く、滑皮は丑嶋同様、金属バットで人間の頭をフルスイングできる「別世界の人間」であり、実際、三蔵の方もかつて中学時代の丑嶋に頭をバットで割られ、以降鰐戸三兄弟は勢いを失うことにもなっており、世間の噂と裏腹に、丑嶋と双璧をなすような存在でもあった様子。
冷酷かつ残忍な性格の持ち主で、目的の為とあれば非道な手段も厭わず、あの丑嶋をして「腐れ外道」と称されるほど。丑嶋とは並々ならぬ因縁があることが劇中で示唆されているが、作中では「昔から屈服させたかった」と呟くにとどまり、具体的な詳細は明かされなかった。ただ、最終章『ウシジマくん編』では、『ヤクザくん編』にて丑嶋が熊倉を暗殺した事実から因縁を深め、執拗な追い込みをかけたり、自身の組織内の政敵であった豹堂を始末させる鉄砲玉にしようともしていた。
ヤクザとして暴力が強いだけでなく頭の回転も早く、人を陥れるためならハッタリや演技も相当なレベルでこなす。配下にも命知らずの武闘派と優秀な頭脳派を両方擁しており、暴と知を駆使して軽々と数億の金を稼ぎ出す。その桁外れの能力によって猛スピードで出世していくが、それゆえに地位を脅かされた先輩ヤクザからは恨みを買うことが多い。
熊倉が鼓舞羅に半殺しに遭って以降、責任として右手の小指を詰められた。指を立てて五つよこせと言ったが小指がないため四つしか貰えないなど、定番のヤクザギャグも披露している。
その一方、自身を可愛がった兄貴分・熊倉への敬愛は強く、丑嶋絡みの事件で頭部を損傷した影響でかつての立ち回りの上手い知性派から短気な暴君になってからも懸命に支えようと振る舞い、その彼が殺害されたことにも内なる怒りと同時に悲しみを滲ませていた。また滑皮自身も中期から登場する両翼でもある梶尾や鳶田、ひょんなことから知り合い後年に自身の組の新米となったチューボウなど、兄貴分としての面倒見の良さや個人の愛着を見せている。また、老齢となり満足に仕事が出来ず、かと言って暴対法の煽りでヤクザを辞められずホームレス同然の生活を送る年配組員に取り分を回したりなどもしていた。
過去の描写は多くはないが、劇中では食事の行儀が悪かったり(食べ方が非常に汚く、出世して高級ホテルで生活している時期も治っていない。らーめん滑皮さんでも戌亥から内心「食い方汚いな…」と思われ、怪訝な目を向けられている。)、自車を「母に家庭内暴力を振るっていた亡き父の匂いを思い出すから」という理由で禁煙にしたりするなど、劣悪な家庭で育った事をうかがわせる描写が随所に見られる。
外伝『らーめん滑皮さん』
タイトル通り、滑皮(および相手役の戌亥)の視点でラーメン絡みの話題を中心に物語が進行するスピンオフ。明確な時系列は不明だが、滑皮がスーツに坊主頭の原作中期以降の出で立ちであることから、凡そ熊倉が鼓舞羅に重傷を負わされる前の時期と推察される。
各回で食レポが挿入されるものの、アングラ系の不穏な話題は健在で、グルメ漫画と言うより「ウシジマくん本編の空気にほんのちょっぴり食べ物(ラーメン)の話題を追加した」ような作品。滑皮も出されたラーメンを絶賛した後にその店の地上げ予定である事を明かしたり、悪辣な店主一家を威圧して黙らせたりなど、本編同様に冷酷非情で金儲けが上手い。
ラーメンの食べ方も相変わらず汚く、スープを飛び散らせて爆音を立てながら貪る様子は、同席する戌亥や周囲の人間が眉をひそめるほど。
また(本編で滑皮自らが保険金確保の為貶めた)愛沢のラーメン作りの才能を買っているらしく、ケツモチをしてチンピラから守り、多額の出資をして店を育成していく。…無論、これも上納金を搾り取るためであるが。