中田広道
なかたひろみち
小川純と同じく自信のない自分にコンプレックスを抱き、ラブホで働いてる現状も相まって上昇志向が強い。
また、周囲に対する不平が多く、バイト先の先輩であるノブを内心軽蔑し、自分と同じく読者モデル志望の田川ジュンヤに至っては「田舎者」と見下している。
人気読者モデルのパピコに想いを寄せているが、自信も人脈も無い立場が災いしてあまり相手にされてない。
服飾系の専門学校を中退し、ルームシェアで同居している森田キミノリと共にバイトで生計を立てている。空虚な生活から抜け出すために「センターT」と名乗って読者モデルの頂点と言えるオサレ皇帝(エンペラー)を目指すが、その頃からG10と呼ばれるカリスマに目をつけられ、彼の口車に乗せられる形で地位を手に入れるために高価な服を買い続けたせいで借金地獄に陥ってしまう。
そして、G10に言われるがままに自転車泥棒や麻薬の運び屋等の犯罪に手を染めてしまい、麻薬の元締めであるヤクザの飯匙倩からも目をつけられる羽目になってしまうが、服を買いたい誘惑は抑えられず、ついにカウカウファイナンスから借金してしまう。
危ない橋を渡り続ける事に危機感を抱いたものの、パピコの本性(誰とでも寝る節操の無さ)を知った後は迷いが吹っ切れて、彼女を大手社長に売り飛ばしてしまう。もっとも、のちにパピコがヤク中になった際には罪悪感を抱いて号泣していた。
様々な悪事に手を染めてオサレ皇帝の地位を手にしたものの、その時点で麻薬売買や読者モデル女子の人身売買等の黒い噂が流れていたために人望が無くなっていた。
挙句の果てにG10の正体が悪質な詐欺師だった事に気づかず、彼に騙されて大金を奪われた事が原因で飯匙倩からはG10の共犯者と疑われて拷問を受けてしまうが、駆けつけた丑嶋馨とキミノリによって事なきを得た。
しかし、エピローグでは極めて凄惨な末路を辿った事実が戌亥の口から明かされる。それは、ヤク中にしたパピコが中田の名前を出してしまい、それによって足がつく事を恐れた飯匙倩に再度捕まったというものであった。直接の明言は無いものの、口封じに抹殺された事は明らかだろう。
そしてルームメイトのキミノリも、中田を助けるためにバイト先のショップオーナーの裏帳簿を無断で持ち出して丑嶋に渡したために、ショップオーナーが金を積んで差し向けたヤクザに攫われそのまま行方不明になった事が戌亥によって語られた。こちらも直接明言されてはいないが、中田同様に亡き者にされたと思われる。
また、命こそ奪われてはいないもののノブやジュンヤも悲惨な結末を迎えており、パピコも前述の通りヤク中で警察に保護される形で退場した。