概要
『フリーターくん』編(7巻~9巻)に登場するニートに近いフリーターの男。
宇津井家の長男。35歳独身。神奈川県相模原市在住。高卒(推定)。普通免許所持。
日雇い派遣として働いているが、稼いだ金をパチスロに溶かし、借金を重ねるなど、更生前の池田信彦同様、典型的な「ダメ人間」。そのことを「鬱ブログ」という題でブログを綴るなど、根暗。
人物
一般常識や仕事能力、仕事を探す根気などがほとんどない。おまけに社会的モラルも著しく欠けており、礼儀知らずで他人の話も聞き入れない、キレると怒鳴り散らす、空しくなると泣き喚くなど、言動が情緒不安定で稚拙かつ自己中心的。
他人の成功談に対して過剰に蔑んだり、見栄を張ったり、年齢を聞かれるとすぐに偽る等、自尊心や虚栄心だけは人一倍に強い、「身体だけが一人前に大きくなり、中身は子供そのもの」な性格(いわゆるピーターパン症候群)。
旧友・橋本との再会時には、彼より先に小学校時代の話をしたり、その上で「小学校の頃から変わっていない」と自分を評するなど「小学校時代が全盛期」である。
金銭感覚も麻痺しており、多重債務者であるにもかかわらず、さらに借金して閲覧料を徴収される出会い系サイトで性交渉を求めたり、ネットで借金を減額する方法を検索しても「正社員になってからやろう」と先送りして携帯に届いたパチンコ店のDMを見てパチスロに逃げ込むなど、危機感を持たず、問題を解決しようとする意識もない。
根気も全くなく、派遣先でも力仕事にすぐ音を上げ、見かねた10歳年下の同僚・宮野から「もういいよ。俺がやるから」と言われた際には、その態度の意図を理解できずに「いい子だな」と呑気な事を考えながら自分の仕事を彼に任せ、そのくせに現場監督の差し入れに一本だけあったペットボトルのジュースを勝手に飲んで仕事した気になるなど、全く労働力にならず、そんなふざけてるかのような勤務態度に堪忍袋の緒が切れた現場監督から「半端な仕事しやがって」と怒られ、挙げ句に「30過ぎても税金納めない奴に公道歩く資格はない」と罵倒されると、現場からの帰り際に宮野に対して「あんなガテン系、酒とギャンブルと風俗に金を使って終わりだ! そう思わないかい?」と現場監督への陰口を子供じみた発言で叩いて同意を求めるも、宮野本人から「あんた、人生なめてない?」=「(税金納めない上に仕事できないくせにそのことを棚に上げて監督の説教に逆ギレするなんて)人生を甘く見過ぎだ」と吐き捨てられると、「やな奴」と勝手に評価を翻して、この事をブログで「テメェみてーな若造に何がわかる!人生の前に目の前の年長者をなめんじゃねェーよ!」と書き込んで憂さを晴らす始末。
だが実際、一連の場面の中で優一は「無理して働かなくても、最悪父親の退職金と年金で暮せばイイ。持ち家も相続できるのだから」とどう考えても都合の良すぎる人生設計しか建てておらず、宮野の指摘は決してただの悪態ではなく、100%的を射た言葉であった。
そんな性格故に久々に出会った橋本夫妻からも再会早々に愛想を尽かされ、「大人子供(フリークス)」だのと散々貶されるなど、親類を含む接した人間のほぼ全員から徹底的にディスられている。
また、両親も自堕落な人物であり、特に母は優一と同様に金銭感覚がいい加減で成功する保証の無い株に手を出して多重債務者となった挙句に親戚にまで借金を求める有様である(そのせいで最終的に親戚から見放され、実母の実家までも借金のカタに差し押さえられてしまった)。
生活費の件で母と喧嘩の上、実家を勘当され、ネットカフェで生活の後、ゲストハウスに入居するもコミュ障が祟って孤立。日雇い労働の中で「椎間板ヘルニア」を患ってしまった事でゲストハウスの家賃を払う事ができなくなり強制退去。その後、ホームレス生活を送るが、そこでも自分のiPodを盗られたと誤解して騒ぐなどして周囲に馴染めずに孤立。
結末
浮浪の末にヤンキーにお金を盗られ殺されかけ、両親に電話で謝ろうとした際に母が倒れた事を知らされ、命辛々母の入院する病院へ行き、ついに両親と和解。家もなくなり公団に引っ越す。その後、搾取されながら丑嶋馨を味方と誤認して依存する両親の姿に痛嘆し、「自分が金を返すから両親に近寄るな」と宣言。その精神的成長を遂げた姿に丑嶋から興味を持たれ、「50万の借金を月5万円ずつの12回の返済」に減額される。これは法定利息であり、闇金の丑嶋からすれば普段の1/100程度しか儲からないという超厚遇措置である。
その後は自己破産し、訪問介護の仕事やパン工場で働き始める。借金返済も順調であり、職場では介護先の老人達からの評判も高く、安易に仕事を辞めたがっている同僚に対して「自分はあれこれ選べる状況じゃないから、この仕事に本腰を入れたい」と、それまでなら考えられないような殊勝な事を話したり、ぎこちなくも女性の同僚ともコミュニケーションがとれるようになったりと、驚くほどに人間として成長を遂げる。それに伴い、家族との関係も修復する。
報告を受けた丑嶋は「家まで取られたのに何が良かったのか」とはぐらかしたが、紛れもなく幸福になった宇津井家の姿がそこにあった。
関連タグ
池田信彦 - 宇津井と似ているが、こちらは異なった経緯で更生している。