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CV:井上真樹夫


「この身は戦闘獣となったが、ジュン、君達の出来なかった事を成し遂げてみせる!」


概要編集

アニメ『グレートマジンガー』の第52話「戦闘獣志願!!逆光線に散った青春!!」に登場。

切れ長の目をした整った顔立ちの美青年。


炎ジュンとは同じ孤児院で育った孤児同士の幼馴染みで、ジュンのペンダントには幼少期の生田の写真が収められていた事からも、彼女にとって初恋の男性であった模様。


幼少期は、自らの身の危険を省みず、川に溺れたジュンを助けようと飛び込む等、無鉄砲ながらも正義感の強さと優しさを兼ね揃えた少年だった。

しかし、科学要塞研究所に引き取られたジュンと別れた後、『孤児』という出自を馬鹿にされてきた事への苛立ちから、その性格は捻じ曲がってしまい、再会した時にはジュンから見ても別人の様に変貌。暴走族の一員となって街の人々に平気で迷惑をかけたり、逆上して女性のジュンに手をあげる等、暴力的で短慮な性格の持ち主となってしまった。

生田の話を聞いた剣鉄也からも、「若さを浪費しているだけ」と辛辣に非難されている。


ミケーネ帝国の放った戦闘獣テオドラスの襲撃に巻き込まれた際にジュンと再会。彼女から自分の不甲斐無さを否定されて苛立ちを覚えながらも、戦闘獣の攻撃から彼女を庇ったりもしており、根底的な正義感の強さはまだ残っている様子を見せる。

そんな中、グレートマジンガーでテオドラスと戦う鉄也もまた自身と同じ「孤児」であるがその逆境に負ける事無く平和の為に戦っている事を教えられるのだが、「戦いを終わらせて平和を作る事の困難さ」について理解出来ていなかった生田は、ジュンや鉄也の行動を「終わりの見えない戦いを繰り返しているだけ」と偏見を向け、彼女達への対抗心もあって暴走族から足を洗い、戦う以外の方法でミケーネとの戦争を終わらせてみせる事を決意する。


だが、ミケーネ帝国の非情さについて分かっていなかった生田の選んだのは、「破滅」への道だった。

ジュンと別れた直後に姿を現したヤヌス侯爵からの接触を受けた生田は、これをチャンスとばかりに鋭い眼光を放ちながら「自分を闇の帝王と謁見させろ」と言うとんでもなく無謀な要求を行い、彼女に連れられるままミケーネ帝国へと向かってしまう。

闇の帝王との謁見を果たした生田は、早速人類との戦いを辞めるよう交渉を行うのだが、「科学要塞研究所が何と言うかな?」という当たり前の疑問で返されてしまい、それでも自分をミケーネの使者として科学要塞研究所と交渉させてくれと要求した結果、闇の帝王から任されたアルゴス長官の指示によって、ヤヌス侯爵により「仲間になる掟」として戦闘獣ゲルニカスへと改造されてしまう事になった。


戦闘獣ゲルニカス編集

地上の世界とミケーネ帝国の戦いを終わらせるべくミケーネの使者になろうとした生田が戦闘獣に改造された姿。

胸部には生前のままの生田の顔が生えているという無残な光景となっており、劇中で明かされてはいないが、戦闘獣姿は人間体となっている為、おそらくミケーネの組織内では超人将軍ユリシーザーの所属下にあったと思われる。


武器は手に持っている槍で、鉄也の操縦するグレートマジンガーともそれなりに渡り合えるだけの戦闘力は持っているのだが、最大の武器は生田本人が何も知らず地獄大元帥によって戦闘獣の体内に仕掛けられた強力な爆弾にある。

「どうせ最終的に自分達を裏切るだろう」と見越していた地獄大元帥は、最初から生田を使い捨ての駒として利用する事しか考えておらず、改造されてしまった生田を囮にしてグレートマジンガーやビューナスAをゲルニカスの爆弾で巻き添えにして葬り、その隙にヤヌス侯爵が無敵要塞デモニカで発電所の破壊を行い、日本を深刻なエネルギー不足へ追い込もうという二重の作戦を考案していたのである。

この為、ゲルニカスの戦闘獣としての戦闘力は、実際の所、必要最低限の物しか備わっていなかったと思われる。


最後編集

戦闘獣へと改造され、自分がミケーネの使者となった事を信じて疑わなかった生田は、科学要塞研究所へと向かって、グレートマジンガーで出撃した鉄也と対峙。ミケーネの使者として科学要塞研究所と交渉したいと申し出るも、これまでミケーネの戦闘獣達との死闘を幾度も経験してきた鉄也からしてみれば寝耳に水な話でしかなく、当然聞く耳を持たない彼と交戦する事になる。

駆け付けたジュンのビューナスAに語り掛けた事で、自らの正体を気付いてもらう生田であったが、そうこうしている間にヤヌス侯爵の指揮するデモニカが発電所へ攻撃すべく侵攻。それを聞いたジュンと鉄也は、生田が騙されているだけである事に気付くのだが、生田は「これは何かの間違いだ」と現実を受け入れようとしなかった。


ジュン「平和なんて…あなたが考えている程簡単に、戦闘が終われば来るって物じゃないわ!」

ジュン「平和の本当の価値を知らないあなたは…利用されただけなのよ!」


先に発電所へ向かった鉄也のグレートマジンガーを追う中、ジュンから自分の考えの甘さを痛烈に批判されてしまった生田は、そこに現れたヤヌス侯爵から戦闘獣となった自らの身体にリモコン式の爆弾がある事を教えられた事もあって、自分がミケーネからただ言い様に利用されていた事実を受け入れるしかなくなる。

もはや自分が助からない事を悟った生田は、せめて犬死だけはしたくないという想いから、自らの命と引き換えにヤヌス侯爵を倒す事を決意。ジュンにビューナスAでゲルニカスの身体をデモニカの元まで運んでもらい、最後はグレートブースターを掴んで発電所の破壊活動を続けるデモニカの内部へ特攻。ヤヌスを倒すのには間に合わずに爆死してしまうが、デモニカを内部から深刻なダメージを与える事には成功。自らの命と引き換えにミケーネの作戦を失敗に終わらせるのだった。


ジュン「信一郎さん…あなたは…急ぎ過ぎたんだわ…」


自分なりに「理想」を叶えて実現させようとしながらも、果たせないまま無残な最期を遂げてしまった生田の死に、ジュンは涙を流すしかなく、暴走族から足を洗おうとがけ下に投げ捨てた主亡きヘルメットは、夕日に照らされて鈍く光るのだった…。


評価編集

自暴自棄に生きる自分自身に嫌気がさし、また終わりの見えないミケーネ帝国との戦争に反感を抱いてそれを終わらせる「理想」を抱いていたのは確かであると言えるのだが、総じて言えば、劇中でのその行動は「行き当たりばったりでしかなかった」という結論は避けられない。

世俗への興味を持たないばかりか、明日の事さえも考えず、ただ勝手気ままに生きていただけの若者が、いきなり「戦争を終わらせる平和の使者」になどなれるはずが無く、世情や政治、何よりも平和の価値やそれを実現させる事がいかに困難であったのかについて生田はまず勉強し学ばなければならなかった。だが、それらの「過程」を省くどころか思いつく事も出来ず、ただ「結果」ばかりを求めていた生田の作中での行動は、結局の所、暴走族時代どころか孤児院時代の時と何も変わらず、「自らの感情に任せて、後先を考えず猪突猛進に突っ走っていただけ」の状態であった。

平和を実現させる為、生田がしなければならなかった最初の「過程」…それはまず「大人になる事」であったのだろう。


生田の内面において致命的と言えたのは、やはり「孤児」である事のコンプレックスとプライドにあったと言える。孤児である事を馬鹿にされ続けた事への鬱憤から、暴走族となって自暴自棄な生き方をするようになっていた生田の根底には、「『孤児』である事を馬鹿にした奴等を見返したい。認めてもらいたい」という強烈な承認欲求があり、また科学要塞研究所に拾われたジュンへの嫉妬を剥き出しにした態度からも、恵まれた環境にいる者への負のルサンチマンも内包していた。

無論、孤児であろうが無かろうが、誰しも自分を認めてもらいたい、見返してやりたいという欲求や、恵まれた環境にいる者への嫉妬があるのは確かであるのだが、生田の場合はそれらの感情に「平和の実現」という理想が織り交ざってしまった結果、あまりにも急ぎ過ぎた考えとなってしまい、最終的にそれが原因で、「悪意のある大人達」とも言えるミケーネ側にとって「格好の餌食」となり、自滅してしまう末路にまで繋がってしまった。

ただ、こういう危うい内面を抱えた若者は、現代においても確かに存在しており、決して他人事のように考えてはいけない問題とも言える。


そしてこれらの生田の危うい内面は、鉄也自身にも当てはまる事であり、ジュンは彼が「孤児」としての逆境を乗り越えたと信じていたが、数話先の展開から見ても、実際には乗り越えてなどおらず、彼もまた「孤児」である事で生じたルサンチマンを溜め込み、剣造の実子である兜甲児にその矛先を向ける事になってしまった。

いわば生田信一郎とは、剣鉄也と映し鑑的な関係にあったとも言え、もし鉄也が彼を導いてくれる大人に巡り会えなかったら、生田と似た結末を迎えていたのかもしれない(『桜田吾作版』では、生田と似た顛末を迎えてしまった)。


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グレートマジンガー 炎ジュン 孤児 ルサンチマン 承認欲求

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