「君がしてくれた事は決して忘れない」
概要
どことは明記されていないが、何らかの組織に所属しているギャングである。
ある日、別のギャング組織との抗争中に重傷を負い、物陰に倒れていたが、一人の幼子に助けられた。その幼子は、自分を捜していたギャング達に「あっちへ行ったよ」と嘘を教え、窮地を救ってくれたのである。
二か月後、その幼子──ジョルノ・ジョバァーナ──の身元を調べ上げると、義父からの虐待を受けたり、不良少年たちから嫌がらせや虐めを受ける悲惨な境遇にある事を知る。彼はジョルノを救うべく行動を起こし、ほどなく義父はジョルノを殴らなくなり、悪ガキ共が映画館で席を譲ってくれるようになった。明確な描写こそないが、おそらく義父や悪ガキたちに、彼から何らかの圧力があったのは間違いないと思われる。
自身の素性を考慮して決してジョルノの前に姿は見せなかったが、彼はジョルノを「一人の人間」として接して陰ながら見守り続けた。おかげでジョルノは『人を信じる』ということを学び、歪んでしまいそうな精神を正される。そして『ギャング・スター』に憧れるようになっていくのだった。
彼と出会わなければジョルノは実父や異母兄弟のように邪悪な心が芽生え、黄金の精神を宿すことも、パッショーネが浄化されることもありえなかっただろう。
TVアニメ版
CV:白熊寛嗣
黒い髪に褐色肌で背が高く、黒いスーツと黒い帽子、紫色のネクタイをしている、いかにもギャングらしい出で立ちにデザインされている(最初に出会った頃は、白いコートを身に着けていた)。
原作同様、彼のおかげで義父はDVをしなくなり、悪ガキ共もジョルノの機嫌を取るようになった他、ジェラート屋での掛け合いがオリジナルシーンとして追加・描写された。
店主がジョルノに、ピスタチオ味のジェラートにチョコレート味を一つおまけした際に、「あの人にはいつもお世話になっているから」と言いながら、遠くからジョルノを見守っている男に挨拶しており、ブチャラティ同様、一般市民からも慕われるほどの人物であった事が窺える。
ある日の夕刻、自身が管轄する地域にてルールを破った同組織の男を殺めた(部下が同伴していたが玄関先で待機させ、汚れ仕事である粛正は自ら行っている)。
その直後、男の息子が追いかけてきて、仇討ちをするべく持ち出した銃の銃口を向けられるが、彼は銃を抜こうとする部下を制止して「お前の親父はクズだった。俺のシマのルールを破って麻薬をさばいていた。女子供見境なくな。だから殺した」と殺めるに至る過程と真実を淡々と述べる。
その「撃つなら撃っても構わない」と言わんばかりの毅然たる態度に気圧された息子は「お前だってクズじゃないかああ!!」と言い返すのが精一杯で、その場に泣き崩れてしまった。
そして彼は、その場に居合わせたジョルノには声もかけず、視線すら合わせようとせずに去ってゆく。
それは『ギャング』という裏社会に生きる者達の世界には、表社会に生きる人間達を決して巻き込ませないという彼なりの正義と優しさを示すものであり、このオリジナルシーンの追加によって、ジョルノがギャング・スターにあこがれる動機がより明確になっている。