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西遊記の続編として書かれた作品。著者は不詳、成立年代は明代といわれる。


概要編集

『西遊記』に登場した三蔵法師の一行が、五千四十八日の日数、八十一の難、十万八千里の旅路を経たのち、天竺の雷音寺から唐の長安までの復路を辿る物語である。全百回。

もう一つの二次創作『後西遊記』ともども、古くから中国文学の研究者には知られた作品であり、その内容に触れた批評もいくらか存在はするものの、作品のきちんとした翻訳自体はなされていない。現状では一般人には概略すらつかみ難い作品である。

『続』を冠してこそいるものの、『西遊記』の作中において長安への帰路は雲に乗ってあっという間にこなしてしまったものであり、八十一難の最後の一難はその雲に乗るさなかにて遭遇しているのであるから、正確には続編とは言い難い。『西遊記』において三蔵一行が釈迦如来のおわす霊山にたどり着いたのは第九十八回。ここから分岐した、パラレルな展開の物語であると言えよう。設定もちょっと変わっている。


あらすじ編集

三蔵一行の西天取経の旅がいよいよ終わりに近づいたある日のこと。雷音寺におわす釈迦如来は変化自慢の霊虚子と僧侶の到彼を呼びだし、取経を終えて長安への帰路に着く三蔵法師に付き添い、ひそかに彼の持つ経典を守護するように命じた。

また、如来は雷音寺に到着した三蔵たちに向かい、八十一の難は弟子たちの降妖伏怪を望む心、とくに最も活躍を演じた孫悟空のそれにこそ原因があり、その心を戒めねば帰りの道にも苦難が降りかかるであろう、と説き、如意棒その他の自慢の武器を没収してしまう。

かくして、武器の代わりに禅杖を持たされた三人の弟子、また玉龍は、五千四十八巻の経典を四つに分けてそれぞれの背に負い、師匠の三蔵法師とともに、またも遥か十万八千里のかなた、唐の長安を目指して歩き始めるのであった。新たな旅の仲間に見守られながら、その道中に出くわす難やいかに……


登場人物編集

三蔵法師編集

『西遊記』から引き続きの主役。今回は玉龍が経典を負う関係上、彼も徒歩。

せっかく八十一難を終えたというのに、因縁が終わってないとか因縁をつけられてまたも妖魔に付け狙われる羽目になる可哀そうな人。


孫悟空編集

ご存じサルの王。行きとは違い、如来から直々に妖魔を殺めることを禁じられてしまうし、武器は没収されてしまうし、自分らが狙われる理由に真経も加わるしで、いよいよ心労の多い旅路を送ることになる。厳しいので如意棒を取り返しに三回ぐらい霊山に戻って撃退される。


猪八戒編集

ご存じのブタ。相変わらずの大食らいの軽口の愚痴っぽくて間の抜けたブタとして一行のお笑いを担当する。


沙悟浄編集

ご存じのカッパ……ではない。藍色の肌をした厳つい顔つきの偉丈夫で、相も変わらずお留守番役……を通り越し、妖魔どころか地の文からすらもたびたび無視される可哀そうな三番弟子。


玉龍編集

馬。馬のまま活躍の場面が若干増えた。三蔵に追い立てられながら道を行く。


霊虚子編集

新キャラその1。在家の仏教徒であったが、通りすがりの道士から変化の術を学んだがためにすっかり有頂天になり、雷音寺にも行かずに変化三昧。これを霊山から降りてきた到彼に諭されたうえ、自慢の変化も釈迦如来の御目はごまかせなかったことをきっかけに、再び仏教に帰依し、ひそかに真経を守護する役目を担うこととなる。

如来からはさらに特別な木魚を授かり、己の役目の助けとする。


到彼編集

新キャラその2。雷音寺にて修行をしている出家者。霊虚子とともに真経を守護する役目を担う。釈迦如来からはさらに八十八の珠を連ねた数珠を授かり、その神通力とおのれが学んだ仏の教えとを経典守護の助けとする。


釈迦如来編集

『西遊記』から引き続いての登場。「仏の力で何の苦も無く送り返したらそれ天竺から経典送ったのと変わりなくね?」的な趣旨の若干メタいことを言うかたわら、三蔵たちを徒歩で帰すことにする。


関連作品編集

西遊記

後西遊記

西遊補

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