概要
中国古典文学『西遊記』に登場する妖怪。金角大王と自称する。中国語ではチンチャオターワン(Jin Jiao Dawang)と呼ぶ。
平頂山を根城に弟・銀角と共に三蔵法師を捕食し不老長寿を得ようとしている妖怪で、天界から盗み出した五つの宝貝、すなわち琥珀浄瓶(こはくじょうへい)、七星剣(しちせいけん)、芭蕉扇(ばしょうせん)、幌金縄(こうきんじょう)、紅葫蘆(べにひさご)を使用する。
派生作品
西遊記(1978)(堺西遊記)
演:内田良平
第4話「妖怪夫婦・金角、銀角」に登場。平頂山蓮華洞に棲む魔物で銀角の夫。相手の名前を呼び、それに対して返事をした者を吸い込む「金ひょうたん」を持つ(ただしそれが偽名だった場合は相手は吸い込まれない)。妻の銀角は武力・知略に優れているが、金角は悟空や悟浄にも敵わないほど弱く、妻の神通力と知恵に頼りっきりという情けない夫だが、そんな金角を銀角は心底愛していて夫婦仲は良好。孫悟空が持つ金ひょうたんが偽物だと思った金角が返事をしてしまったことで、金ひょうたんに吸い込まれ、溶けて消滅した。金角の死にショックを受けた銀角は魔力を失い、夫の死に泣くことしかできない無力な女になった。
2007年の映画(香取西遊記)
「人間は虫ケラ以下の、無力な生き物だ!」
演:鹿賀丈史
銀角(演:岸谷五朗)の兄で、兄弟揃って“絶対妖怪”と恐れられている。二本の角を生やし、金の装飾が施された衣装を身に纏っている。普段は無口で玉座に座っているが、その本性は極めて残忍。人間を無力な生き物と罵倒する。戦闘力は、悟空(演:香取慎吾)たちを圧倒する程高い。武器は、次々と短剣を発射する扇。
銀角と共に『寅の国』を襲来し、辺り一面を砂漠へと変えた。その後、王女の玲美(演:多部未華子)の父母を亀の姿へと変え、国を乗っ取った。その目的は、玲美の持つ『無玉』を手に入れ、封印されている巨大な龍を解き放ち、世界を闇で包むこと。
終盤にて、悟空に敗れた銀角を殺し、強大な力で悟空たちを圧倒した。しかし、怒りが頂点した悟空に敵うはずもなく、最期は如意棒の一撃で敗れる。
ドラえもん
CV:石森達幸
映画『パラレル西遊記』に登場。本来はひみつ道具『ヒーローマシン』の西遊記のカセットに登場する単なる悪役だったのだが、ドラえもんとのび太の手違いにより現世に出現し、他の妖怪たちと組んで玄奘三蔵法師を殺害、地球を征服した。強大な力を持つ牛魔王には逆らえず、軍門に下っている。
原作通りひょうたんと大剣で闘い、配下に無数の鳥型の妖怪(『ギガゾンビの逆襲』では「てんぐこうもり」とされている)を従えている。
べるぜバブ
小説第1作『ベルベル西遊記』にて、姫川竜也が演じている。髪の色的に逆の方がいい気がするが、アニメでは相方の銀角(演:神崎一)を執拗に「銀さん」呼ばわりしていた。
スマイルプリキュア!
CV:陶山章央
映画『絵本の中はみんなチグハグ!』に登場する悪役妖怪。弟の銀角とは瓜二つで、でっぷりと太った姿をしている。
「魔王」により洗脳され、プリキュアたちと闘う。
Fate/GrandOrder
『星の三蔵ちゃん、天竺に行く』においてステンノが演じている。
意外な正体
名前がヒジョーに覚えやすいことから、よく子供向けの作品や短編に作り直された場合には「牛魔王の手下」みたいな扱いになりやすいが、実はその正体は生粋の妖怪や魔王ではない。
五大宝貝
せっかくなのでここで解説する。
紫金紅葫蘆
瓢箪。名前を呼んだ相手が一言でも返事をすると、そのまま吸い込まれてしまう(偽名でも一度でも名乗った名前ならば有効)。中は毒液で満たされており、放っておけば溶かされてしまう。
実は太上老君の金丹入れ。
琥珀浄瓶
水差し。効能は上記の紅葫蘆と同じ。
実は太上老君が金丹作りの際に使う水差し。
七星剣
中国の伝承に度々登場する名剣。本作では太上老君の宝剣。
幌金縄
持ち主が命令すると勝手に相手に絡みつく、ドラえもんのひみつ道具みたいな魔法の縄。
実は太上老君の腰帯。
芭蕉扇
デカい団扇。該当項目参照。
関連項目
???
その正体は太上老君の弟子。
本相は太上老君が道具や丹薬を作る際に使う金炉と銀炉の番をしている童子。
三蔵一行が天竺に向かうに相応しいかを見極めるために、太上老君が遣わしたいわば試験官であり、道中八十一難の一つとして立ちはだかった。
三蔵一行によって紅葫蘆に封じられた後、老子が登場し、一行が五大宝貝を老子に返還すると事の次第を明かされ、金角銀角の兄弟も紅葫蘆から出されて童子に戻っている。