聖邪の天使
せいじゃのてんし
「爆ボンバーマン2」のストーリーの根幹をなす存在。宇宙を生み出し、そして無に還し、また次なる宇宙を生み出す創造と破壊の権化。
宇宙は聖邪の天使の手によってそうして何度も生まれ変わりを繰り返してきた。
ある時、天使は正義の女神ミハールと混沌の魔神サートゥスの二つに分裂してしまう。
宇宙を暗黒に染めようとする魔神に対し、女神は正義の騎士を集めて対抗する。やがて魔神は女神の陣営に敗れて封印され、宇宙は平穏な時代を迎える。
しかし、魔神を封印していた『聖邪のエレメンタル』に何者かが触れた事でその封印は解かれ、宇宙に再び不穏がはびこる。女神と魔神、宇宙の未来をかけた戦いの末に、聖邪の天使は再び現れる事になる。
グッドエンドのラスボスとしてのみ登場。
七つのエレメンタル全てを集めたボンバーマンが、女神ミハールを退け魔神サートゥスを倒す事で現れる。
ボンバーマンが全てのエレメンタルを集めていない、もしくはエレメンタルの力を女神ミハールに奪われてしまった場合は登場せず、代わりに《混沌の魔神サートゥス》が出現する。
同じラスボスでも、聖邪の天使の強さは混沌の魔神サートゥスとは比較にならないほど圧倒的である。
元々は魔神サートゥスを現宇宙ごと封印しようとしていた女神ミハールだが、七つのエレメンタルを集めたボンバーマンからそれを奪い取ろうとするも敗れ、更にはそのボンバーマンが魔神さえも倒した事で考えを変え、封印ではなく融合し一つに戻る事を選択する。女神には復活した天使がこの宇宙を滅ぼそうとするだろう事が分かっており、ボンバーマンにその事を伝えた上で、この宇宙が存続出来るかはボンバーマン次第であると言い残し、魔神と融合を果たす。復活した聖邪の天使はミハールの予言通り宇宙の破壊を宣言し、ボンバーマンはそれを止める為に戦う事になる。
聖邪の天使を倒すと、天使はこの宇宙に希望がある事を見出し、この場での破壊をやめて眠りにつく事を選ぶ。ただし本質が変わった訳ではなく、再び目覚めた時には(聖邪の天使を止められる希望がなければ)やはり宇宙を滅ぼすと宣言する。そして七つのエレメンタルを解放し姿を消すと、女神と魔神に体を乗っ取られていたリリーとルキフェルス、そして戦いで散っていったセブンエレメンタルナイツが無事な姿で現れ、エンディングを迎える。
聖邪の天使を語る上で欠かせないのが、その強さ。
「爆ボンバーマン2」は全体的に難易度が高く、第一ボスであるベルフェルからして初見突破は難しいとされるほどだが、そこから混沌の魔神サートゥスに至るまでの全てのボスを含めても一線を画するほど超高難易度に設定されている。
そもそもが“聖邪の天使との戦いまでの過程”が相当長い。巨大戦艦ノアは最終ステージだけあって非常に広大かつ複雑なステージ構成、往復を余儀なくされる仕掛け等でどれほどスピーディに進んでもラスボス戦までに1時間は軽く超える。ゲームの仕組み上途中セーブは出来ない為、この過程でかなりの集中力を消耗させられる。やっと最終部屋まで行ってもラスボス戦の前に前哨戦が2連続であり、ラスボス戦で負けた場合はこの前哨戦の2戦目から再スタートとなる。つまり、聖邪の天使に負ける度に再戦の為の余計な手間を行わなければならず、疲弊を重ねさせられる仕様である。難易度は高くないとはいえ、ここでダメージを受けていると聖邪の天使との戦いが一層苦しくなる。無論ゲームを途中でやめればステージの最初からやり直しである。
そして聖邪の天使そのものの強さはというと、何種類にも及ぶ攻撃パターン、攻撃を仕掛けられるチャンスの少なさ、暗くて分かりにくい戦場でとにかく厄介。
これまで通ってきたボスは”3種類の攻撃技と1つの即死技“が大半だが、聖邪の天使は即死技が無い代わりに攻撃パターンが6パターンもあり、更にダメージをある程度与えると2連続、3連続で攻撃を仕掛けてくるようになる。攻撃中は無敵である為、反撃は無意味であり回避に徹するしかない。
その攻撃がやんだ後の体が光る数秒間のみが聖邪の天使にダメージを与えられるチャンスであり、それ以外は無敵か、高空にいる為に攻撃が届かない。この光る合間も、聖邪の天使の攻撃回数が増える度に短くなるので、プレイヤーは攻撃終了のタイミングを測りながら動き、短いチャンスを逃さないように意識しなければならない。
聖邪の天使の攻撃は、避けるのが簡単なものもあれば、異様に避けにくいものもある。どちらであっても、見えにくい壁にうっかり追い詰められ被弾するケースが意外と多い。また避けるのにも一工夫が必要なものもある為、初見ではほぼ100%なす術なく倒されてしまう(特に光攻撃は応用力を問われるものであり、攻略法を理解するまで多くのプレイヤーに絶望を与えた)。そして前述の通り、既に体力的に十分疲れているのに一歩手前のボスからやり直しを強いられる。この拷問のような構図に大半のプレイヤーが心を折られたというのが語り草。
どうにか攻略の糸口を掴もうと攻略本に手を伸ばした者は、そこに攻略の為のヒントは何も無いという有様に絶句し、投げ出してしまう事さえも。
(当時は一般市民のネット環境は十分に普及しておらず、現代のように簡単に攻略情報を共有する事も出来なかった時代的背景もある)
このあまりの強さと難易度の高さ故に、ついには「ハドソンのプレイヤーキラー」という異名さえつく事になった。
不屈の精神を持って何度も挑み、はれて攻略を成し遂げればグッドエンドが見られる。達成感も手伝って“感動的”だとファンの間でも好評である。
なお、もう一つのラスボスである《混沌の魔神サートゥス》を倒して見られるノーマルエンドの方は、名称こそノーマルと銘打たれているものの、実質バッドエンドと呼ばれている。
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