タグとしては元ネタの肥前忠広が大半で使用されている。
プロフィール
岡田以蔵が使用していたとされる脇差。
粗暴で敵を斬ること以外興味のないように見えるが、敵を斬ること以外に己の存在価値を見いだせずにいる、というのが真相。めしは食う専門。
「おれは肥前忠広。大業物と名高いが、元の主のせいですっかり人斬りの刀だよ。
折れても使い続けたってのは、物持ちが良かったんだか貧乏性だったんだか……」
概要
2019年4月24日~5月15日開催イベント『特命調査 文久土佐藩』にて南海太郎朝尊とともに実装された。
1周目クリアで入手可能、2周目以降は高知城最終ボスにてレアドロップする。
当初は名前は伏せられていたが、4月25日に公式Twitterで改めてキャラクター紹介が行われた。
特命調査イベントは進行アイテムが課金式なのは前回同様。内容が変更されて移動式ボスの仕様を理解する必要もあるが、敵の強さは厚樫山以降を周回できるなら容易で、確定報酬ぶんは無課金でも朝夕の配布賽子を忘れずにやれば数日程度で獲得できる楽なイベント。
出目が悪かったり移動式ボスに無駄足踏みまくっても期間内で充分に可能。課金にしても5000円程度で肥前忠広も南海太郎朝尊もすぐに手に入る。
1周回にかかる値段は肥前忠広だけを狙う場合は抜け道の鍵600円+七賽子480円=1080円、南海太郎朝尊と共に狙う場合は異動式ボスを現状最短とされる15手で捕まえるルートだと誤差含めて1920円と仮定。複数振り所持の難易度はやはり高いが、聚楽第の2040円よりはお安くなった。
さらに、肥前忠広は高知城ボス撃破10回目・20回目の報酬でも獲得できる。聚楽第では30周しても山姥切長義がドロップしなかったという恐ろしい話もあったのに比べれば、この救済は嬉しい。
「先行調査員」時代~仲間加入まで
時の政府の権限で顕現された刀剣男士。歴史改変された文久土佐藩に於いて「先行調査員」を務めていた。
初登場時は赤いマフラーで口元を隠して正体不明、さらに高度暗号通信によって画像と音声も不鮮明だった。
前回特命調査で同じく政府所属だった山姥切長義には「彼は誰に顕現されたのか?」という疑問が飛び交っていたが、今回のイベントで政府の権限によって刀剣男士を顕現出来ること、特殊な任務に当たらせていることが判明した。監査官も先行調査員も顔を隠しており、聚楽第未クリアで見れる演出も考慮すると、政府としては隠しているのだろうか。
素顔と正体は播磨屋橋で合流するとすぐに明かされ、以降は部隊の6振り目のNPCとして戦闘に加入し、高知城ボスを撃破して任務達成するまで行動を共にする。
腕の立つ刀剣男士と自称していた通り、この状態ではかなり強い。馬と刀装は装備していないが生存は「???」と三桁表示、行動順は高レベルの極短刀でもキャラによっては抜かれたとの報告がある。自軍の打刀とも二刀開眼してくれる。
任務達成すると、報告をするため南海と共に政府に戻ろうとするが、指示に従わず自由さを見せる南海に振り回されつつ離脱。
本丸に帰還後、「政府から特命調査 文久土佐藩の調査報酬が贈られました」というメッセージが表示され、顕現の演出が入って彼が正式に仲間になる。
なお、お約束ながらレベル1の状態になっている。審神者に所有権が移動したため初期化されたのだろうか?
イベント回想42だと離脱前に再会を示唆すること、入手台詞が異なることから、先行調査員と初回報酬の肥前忠広は同一人物だと推測される。
ちなみに、高知城ボス撃破10回目・20回目報酬の際にも政府から贈られたメッセージが表示される。
わざわざ演出があるということは肥前忠広は政府に複数所持されているとも考えられ、逆説的に初回報酬時も現地顕現で周回報酬にもいない南海は政府には所持されていない可能性もある。
性格
見た目に違わず、無愛想でささくれた性格。粗暴な物言いが多い。
「人斬りの刀」である事を自覚しており、審神者に対しても「おれに近づくな……斬るぞ」と容赦なし。つつきすぎボイスでは「っ…、うぜぇよ」と辛辣な対応だが、実際に触れても刃を向けないことから後述のような心根も窺える。
就任1~4周年や長期留守の台詞でも態度は軟化せず、屈指のツンツン刀剣男士。
先行調査員時代は真面目に任務に当たり、戦力の見極めや報連相もこなす有能さを見せていたが、仲間になってからは本丸の雑事や家政は何かと面倒くさがる。畑仕事でも「めしは食う専門だよ、おれはよぉ」と宣言するなどブレない。(ただし、畑仕事においては面倒くさがったり嫌がったりする男士は多いので、そこまで珍しい反応ではない)馬当番も、馬が怯えるのでやりたがらない。
差し入れは甘味より酒派。刀装装備の際の台詞から察するに、装飾品はあまり好きではないらしい。
公式設定の「めしは食う専門」のインパクト故か、一部の審神者達からは大食いキャラだと思われてしまっている。御祝重弁当のボイス「食いすぎると動きが鈍るんだよなぁ……まぁいいか」からして、腹八分目を心がけているようにも取れる。
戦闘においては本丸よりも多少のやる気を見せ、敵を前に淡々と対峙する。
人斬りの刀ゆえか、台詞の多くに「斬る」という単語があり、また審神者に対しては使役的な意味の「斬らせる」という独特な表現を用いる。(例)「へえ……今までこれだけ斬らせてきたのか」(戦績台詞)
特に、「それじゃ、斬りに行くか」「それじゃあ、斬るとするか」など、出陣時には度々用いる。
しかし公式紹介でもある通り、このような性格は全て「敵を斬る事以外に自分の存在価値を見出だせない」という一種の自己評価の低さからきており、人斬りや前の主に対しては思う所もある模様。
放置台詞では「斬りたいわけじゃねえんだ……斬りたいわけじゃねえんだよ……誰も信じてくれねえだろうが……」と懊悩する姿も見せ、更に刀剣破壊時にはその本心を吐露しており、切ない内容となっている。
同郷の陸奥守吉行が特命調査に参加している場合、会話イベントが発生。また二振で出陣し、その後南海を加えた三振で出陣すると、回想其の65、回想其の66が発生する。
南海のことは「南海先生/先生/学者先生」、陸奥守のことは「陸奥守」と呼んでいる。
南海に対しては比較的態度が柔らかい一方で、陸奥守については呆れ半分、苛立ち半分といった様子。陸奥守からは「しょうひねくれちゅう」「いらち(せっかち)」と評されている。
容姿
黒髪に赤いツートンカラーの蓬髪、ハイライトがなく鋭い目つきの少年。脇差の中では比較的年齢が高く見える。
戦装束は和装だが全体的に色味がくすんでおり、あちこち破れている。襟には返り血と思われる染みが付着しているなど、かなり薄汚れた印象。遠征帰りに風呂に入る感覚はあるため、山姥切国広のように性格上でわざと汚しているわけではないようだ。
この身なりは岡田以蔵の人斬りのイメージが顕現の姿に影響を及ぼしたのか、もしくは後述するように刀時代に刀装が売られて失われた事柄と、拵は赤飛沫塗鞘(黒地に血飛沫が飛んでいるように見えるデザイン)と伝わるからか。
腰に回しているのは帯ではなく革ベルト。首に巻いた包帯の下は、真剣必殺時に縫合したような傷痕が露わになる。折れても直して再利用されたとの言及からその反映だと推測され、また元主の最期とも重なる。
内番は通常衣装と比べてかなり現代的。
赤一色のパーカー、素足にスニーカーの踵を履き潰している。黒の股引は戦装束と共通。図録や公式絵師の描き下ろしで、下には黒のタンクトップを着用している事が明らかになっている。
戦装束ほどではないが、こちらも若干破れていたり汚れている。
紋は、坂本家の「組あい角に桔梗」武市家の「丸に柿の花」岡田家の「二手杵」と、持ち主のそれぞれの家紋を組み合わせている。
性能
レア度2の脇差。Lv20で特にランクアップ。
脇差の中では衝力と打撃がトップ、必殺が2位。統率はワーストとなっている。
全体的に殺意高めのステータス。
モチーフの刀剣について
刀工は、安土桃山〜江戸時代初期に活躍した、肥前忠広(肥前忠吉)。
初代忠広は当初忠吉と称し、後に改名した。本名は橋本新左衛門。
慶長元年(1956年)に上京して埋忠明寿に師事、僅か3年で秘伝を伝授され、慶長3年(1596年)に佐賀藩の鍋島勝茂に仕えて作刀を続けた。鍋島家の庇護を受けて門弟は100名を超え、最上大業物に数えられるなど、高く評価されている。
元々は陸奥守吉行と同じく坂本家に伝来していた秘蔵の刀であり、残っている記録などから初代忠広作である可能性が高いと考えられる。
文久2年(1862年)3月の土佐脱藩の際に坂本龍馬が家から持ち出し、旅費を工面するために綺麗だった刀装は少しずつ売られて失われた。
後に武市半平太など幾人かを経て以蔵の手に渡った(渡り方には諸説ある)。文久2年(1862年)閏8月20日の本間精一郎暗殺の際に物打ちから折れ、その後は武市半平太が南海太郎朝尊に依頼し脇差へ直させたという説や、短刀として作り直されたという説、帽子(刃の切っ先部分の刃文)が折れて刀として使い物にならなくなったという説もある。
その後も以蔵は土佐勤王党・武市半平太の指示のもと、仲間たちと次々と「天誅」と称した暗殺を決行、後世に「人斬り以蔵」と呼ばれる事になる。
刀剣男士は逸話に依って顕現するとのことで、彼の葛藤には人々に伝わる認識も影響していると推察される。
メディアミックス
舞台『刀剣乱舞』
「維伝 朧の志士たち」にて初陣。
開幕で本丸に通信を寄越し、放棄された文久三年の土佐に刀剣男士らを召喚、特命調査を開始する。
本作では元主である岡田以蔵と出会い、その以蔵を始めとした土佐勤皇党が人ならざる「朧」であるという衝撃的な展開を迎える。単身で刀剣男士を圧倒する以蔵と一対一で対決後、血を吐くように「斬りたいわけじゃねえ……斬りたいわけじゃねえんだ!誰も信じちゃくれねえが!」と叫ぶ。そして死にたくないと泣き叫びながらも「これ以上斬らなくて済むならそれもいい」と言い残した以蔵の心に触れ、涙を浮かべた。
その以蔵が龍馬と陸奥守に頼み込まれて「ぼでえがあど」を引き受けた時は流石に呆れるも、終盤では共闘。息の合った戦いを見せ、朧の土佐勤皇党から以蔵が「犬」と罵られるのを真っ向から否定し、彼に代わり朧の吉田東洋にとどめを刺した。
調査終了後は本丸にやってくるが、首の包帯をリードのように引っ張られたり、鶴丸得意のびっくり攻撃に悲鳴を上げたりと、微笑ましい様子が見られた。
鶴丸・南海との日替わりのアドリブパートでは、唯一のツッコミ役として奮闘。
なお外の人が笑うまいと必死にこらえている様子や、打ち合わせの段階で耐えかねて笑う姿が、特典映像でうかがえる。外の人曰く、ゲラ体質なのですごく苦労したそうな。
ミュージカル『刀剣乱舞』
「江水散花雪(こうすいさんかのゆき)」にて初陣。
山姥切国広と共に、増援として任務に参加。過去に政府の刀として特命調査を経験しており、山姥切からは「放棄された世界に詳しい者」として名指しで指名を受けたが、その理由は終盤で判明する。
歴史改変が進む幕末で、傍観の立場を取る山姥切に反発。自分だけでも調査を行うとして旅に出て、土佐での現況を知らせる手紙を出すものの返答はなしのつぶて。苛立ちを露わにしていた所で予想外の方法で返信をもらうなど、コミカルなやり取りが見られる。
だが本来出会う筈のなかった井伊直弼と吉田松陰が出会い、更に意気投合した事で、歴史は次々と改変されてゆく。遂に思い余って自ら「天誅」を行い要人を殺し始めるが、勝海舟を警護していた岡田以蔵と刃を交える。
歴史改変の影響でまっとうな侍となっている以蔵から、本来の彼自身ばかりか刀である自分をも否定する言葉を聞かされてしまい……
「真剣乱舞祭2022」では、2018で大好評だった祭りパートが再編の上で再演。土佐のよさこい祭の先頭に立つ姿に、思わず感涙した審神者が続出した。更に会場代わりで陸奥守が参加した大阪公演では、前説にも登場したほか、よさこい祭に二振で参加している。
また「めしは食う専門」からの派生かうまいものには目がなく、祭の後の宴会で御馳走が出ると聞いて「めし、めし……」と小声で言いながら腕立て伏せ&腹筋運動で気合を入れていた。千子村正からはご当地グルメがあると聞いて即座に反応し、水心子正秀と一緒に誘導されて退場していくなど、随所で笑いを取っている。
後半になって楽曲の入れ替わりが行われると、かわいい枠の楽曲『断然、君に恋してる!』にまさかの参加。バチボコにキレながらも指ハートやヘッドバンギングをキメ、おおいに話題を集めた。
東京公演後半では「江水散花雪」の第一部エンディングを飾った『14th (one-fourth) son』が通しで初披露。外の人がギターに堪能な事もあり、小竜景光の歌唱に合わせ、ギターとコーラスで参加するという驚きの演出となった。
特『刀剣乱舞-花丸-』~雪月華~
2022年5月20日公開の劇場版「雪ノ巻」に登場。
特命調査によって南海太郎朝尊と共に放棄された世界へと派遣され、花丸本丸に通信を送って支援を要請。先行した小夜左文字と播磨屋橋で合流後、一同の前に姿を現す。顔なじみの陸奥守に辟易しつつ、城下に身をひそめる南海の元へと案内した。
自身については自虐的な考えを持っていたが、以蔵の在り方を大般若長光に「人斬りであれ、一つの道を貫き通したという証」と言われて少しだけ認識を改める。
斬撃を避けた時間遡行軍の胸倉を掴んで押し倒しながら刺殺するなど、戦い方は荒っぽい。中傷に追い込まれるも南海と共に真剣必殺を披露し、白山吉光による治療を受けて持ち直す。そして高知城本丸最上階へ通じる道を守り抜き、調査は無事終了した。
褒められた時は僅かに頬を赤くし、本丸での歓迎会ではお猪口一杯で酔っぱらった南海を大慌てで介抱するなど、ちょいちょい可愛い場面も。
エンディング曲「夜明けの空」歌唱は文久土佐の3振による(公開1~2週のみ)。
続く「月ノ巻」では、冒頭で迷い猫を追いかける羽目になった一同を前に、南海が肥前のパーカーのフードを囮に捕獲に成功。後にその猫を膝に乗せてあやす姿が見られた。
3日間の夏休みでは「先生が何かやらかさないか見張る」として、自由研究に没頭する南海につきっきりになっている。
「華ノ巻」では、遠征部隊が持ち帰ってしまった呪詛の玉鋼について、南海が石切丸と一緒に調査に当たり、大量の資料を広げた部屋で隣に控えていた。終盤では願いの桜の下に集い、蝋燭に願いを込めた祈りに参加している。
合わせて発売された報知新聞社の特別号の「『とある本丸』ある日の配置図」では、旧本丸で資料に当たる南海の横で寝ている事が語られる。
余談
新刀剣男士として外見がチラ見せされた際、衣装と雰囲気がどう見ても聖杯世界の元主そっくりだった為、マスターと兼任している審神者達からはその正体を早々に見抜かれていたらしい。
声を演じた小松昌平はTwitterで「元の所有者のイメージや経歴から、粗暴で危うさを感じさせるようなキャラクターとして演じました。ただ肥前は「大業物」なので、その奥に品格を残すよう気を付けました。」とコメントしている。
2022年2月1日~3月6日、佐賀県立博物館にてコレクション展「忠吉から忠広へ―集結!初代忠吉―」が開催。
ゲームとのコラボが実現し、等身大パネルの展示、オリジナルグッズ販売、オリジナル宿泊パッケージプランが行われたほか、展覧会音声ガイドのナビゲーターを小松氏が担当し、話題を呼んだ。