概要
作者はすかいふぁーむ。
書籍版はGCノベルスから出版、挿絵は大熊猫介が担当。既刊4巻(2024年現在)。
コミカライズ版はライドコミックスから出版、真鍋譲治が担当。既刊5巻(2024年現在)。
正式名「脱法テイマーの成り上がり冒険譚 ~Sランク美少女冒険者が俺の獣魔になっテイマす~」
すかいふぁーむ氏がテイマーを題材とした作品を多く手がけている中で、本作は『エロ』に特化しており、書籍版やコミカライズ版でもお色気描写が書かれている。
当初は「女の子のこと【テイム】できたらいろいろやりたい放題なんじゃないか」という男の夢を詰め込んだ作品になるはずだったが、ヒロインの方がいろんな意味で強いので若干主人公が振り回され気味となっている。
シリーズ累計20万部を突破(2024年現在)。
あらすじ
魔物を従える冒険職「テイマー」のリントは、劣等職と白眼を向けられながらも魔物の相棒キュルケと共に一旗をあげようと王都へと趣いた。
そんな時、ソロでありながらSランクの美少女冒険者ビレナからパーティーを組まないかと誘われてしまう。
これを皮切りに、聖女を始めとした女の子たちと契約して最強パーティーを作る、法律スレスレの冒険譚が始まった。
登場人物
リントと従魔達
テイマーである冒険者の青年。灰みがかった黄緑色の短髪と黄金色の瞳をしている。
使い魔であるキュルケと共にDランクまでに上り詰め、王都で一旗を上げようとした所をビレナと出会う。
両親を事故で亡くし、自力で生きていく為に冒険者になっていた。しかし最初は力を持たない故に、生まれ故郷のフレーメルのギルドでも(フレーメル自体が治安が悪いとはいえ)他の冒険者からの冷遇のみならず搾取や暴行も受ける等の過酷な日々を送っていた。
家も人里から離れた森林の近くにあるボロ小屋であったが、上記の通りフレーメルで活動した頃のリントは他の冒険者から自分の身を守る為であった(後にリリルナシルの聖魔法の応用により城のような屋敷へと変貌したが)。
洞窟にあった星の書でテイマーの力を手にした後も、唯一テイムできたのは最弱のモンスターであるスライム、後の相棒であるキュルケであった(ちなみにキュルケによって見つかった高級の薬草を採取した事でEランクに上昇。これは安全マージンを多く取る傾向があったが、この行動が昇格の決定打となった)。
テイムした魔物に対しては乱暴に扱う事はせず、貴重な薬草や魔物を食べたとしても「(テイムした)魔物と信頼関係を築くために必要なもの」と割り切っている。また、スケベな部分もあるらしいが、当初は甲斐性がなかった。上記の通り冷遇される日々を送ったせいか自尊心の低さも見られるが、カゲロウとの戦いで克服しようとしている。
戦闘する際はテイムした魔物の一体である炎帝狼のカゲロウとの「精霊憑依」を駆使している。
ヴィレントから若かりし日の頃に身につけたローブ(加護付き)を授かり、イオレナ武具店から様々な武器(片手剣、両手剣、片刃剣、槍、ハルバード、鎖鎌、大剣…等)を購入し、売り物にならない魔法剣も貰い受けた。
作者によると当初ランスのような人物にする予定であった(参照ツイート)。
- キュルケ
リントが最初にテイムしたスライムだった魔物。
鳴き声は「きゅっきゅっ」であり、漫画版ではそれが名付けの由来となっている。
現在は進化して羊毛のような毛に包まれ、小さな角と羽が生えており、スライムの面影が殆どない(リントがDランクになる直前の頃にこの姿へと進化した)。口はあるが、食事をする際は餌に覆い被せて吸い込んでいく。
元々は他のスライムにいじめられた所を、テイムする魔物の探索に苦戦していたリントと出会ってた事が切っ掛け。テイムの練習という事もあってかすぐに解除したのだが、自らの意思でリントに付いてきた。以降はリントの相棒として駆け抜けていき、苦楽を共にしていた。
攻撃手段は突進。防御力が抜きん出ている事から、敵からの攻撃をほぼ弾いており、パーティーでいう『前衛』を担当している。
- ビレナ
獣人美少女の冒険者。褐色がかった肌と猫のような耳と尻尾が特徴。笑い声は「にゃはは」。
ソロで活動しながらAランクになっただけはあってか凄まじい身体能力を有しており、Aランク相当のコカトリスの変異種を難なく撃破していた(後にこの魔物の討伐によりSランクに昇格)。何より凄まじい速さを持っており、普通の人間の目では見切ることが出来ない。その為、二つ名も「瞬光のビレナ」と名付けられている。
彼女の目的は最強のパーティーを作る事であり、美貌に惹かれて申し込んだ冒険者を今まで全て断ったが、リントとテイムを交わす形で彼とパーティーを組んだ。
お気楽ながらも好戦的でやや脳筋気味な所もあってか、目的を果たす為に神国をぶっ壊そうとする等の国際問題になりかねない程の行動を平然とする事も。また、リントを強くさせる為とはいえスパルタじみた過酷な教育を施しており、昔の弟子の一人は少しの訓練で音を上げていた。
とはいえ、冒険者として場数を踏んだ事もあってか魔物の対処法を熟知しており、それをリントに教わっていた。冒険者の信用を落とす行動を取った同業者に対しては厳しく、村人に威張り散らして金をせびり取ろうとした冒険者が大怪我をしている事を把握すると、特級ポーションで怪我を治す代わりに代金を支払わせるというエグイ制裁を与えた。
見た目こそ美少女であるものの、人間と違ってそれなりに歳を重ねているらしい(具体的な年齢は不明)。
リントとテイムしており、彼がビレナに提供するものは『性行為における感度を高める事』。
- リリルナシル
神国の聖女。金色の長い髪と青い瞳をした美女。
聖女という立ち位置が神国にとって特別であるため、教皇ザウスルによって聖女の塔に幽閉されている(内部こそ豪華絢爛で食べ物も施設も全て揃っているが、リリルナシルは自らの自由を奪う事が目的だと見透かされている)。
史上最高峰の聖魔法使いで、冒険者としてもSランクの実力を有しており、本来攻撃に向いていない聖魔法で聖女の塔の一部屋を破壊した。しかし冒険者として活動していた頃に「Sランクになれば聖女に戻る」と条件を提示したせいで、ザウスルによって不正に引き上げられてしまった。
ビレナとはヴィレントの姉妹弟子という関係を持っており、自らを自由にするべく彼女に助けを求めた。入浴の最中にビレナがリントを連れて乗り込んでしまうハプニングに見舞われたが、紆余屈折(?)の末にリントとテイムをした。
ビレナが自らの故郷である神国をぶっ壊そうとした時は流石に咎めたものの、面倒になったら黒い笑みを浮かべてそれを承諾する場面があった。
- バロン
神国唯一の軍事力である滅龍騎士団の団長。
ダークエルフ特有のやや褐色気味の肌と長い耳を持っており、銀色に輝く長い髪をしている。
武器は身の丈をも超える大斧であり、斧による切り返しと斧を振り下ろして発生させる衝撃波を得意としている。斧の斬撃も良質な武器を容易く破壊できる程。
また、全身に纏った黒い甲冑に魔力を張り巡らせる事で最上級のドラゴンのブレスをも難なく防げる。他にも不意打ち、毒、幻術、闇魔法等も持っており、追い込まれたと判断した時はこれらの攻撃手段を用いている。加えて、ダークエルフならではのスキル「悪魔召喚」を有している。単騎で危険度Aのエンペラードラゴンを倒せる実力を持っており、冒険者で言えばSランク相当となる(因みに滅龍騎士団はBランクであったが、ビレナに叩きのめされた)。
基本的には実直である為、互角以上にやれていると当人が思っている間は正面からぶつかるが、上記の「攻撃手段」をみるに、勝つためならば手段を選ばない所もある。
教皇派の切り札と目されているが、キラエムに神国民全員(並びに数人の滅龍騎士団)を闇魔法の糧という体で人質に取られてしまい、自らも糧にされる事からキラエムに寝返るしかなかった。
手土産として聖女と教皇を連れ帰えろうとしたが、リントとの戦いで敗北(不意打ちを行おうとしたが、コレもビレナに阻まれて失敗)。リントに『神国の民の安全を保障』という条件でテイムを交わした。
比較的に政治方面の能力も備わっており、上記の通り神国内での格も高い事から神国の新たな指導者となるリントの名において神国を実質的に統治する事となる。
尚、屋敷ではメイドとして働く事となったが、露出度が高い恥ずかしいメイド服を纏う羽目となり(しかもこの格好でそのまま外出していた)、料理の腕前は肉や魚を野焼きにする程度と徐々に残念な部分が露呈し始めた。
- ベル
七大悪魔の一柱。真名は自らと契約した者も含めて下界の者に明かしていないため、現時点では不明。
外見は完全に幼い少女であるが、800年も生きている。黒い謎の物質が服として体を覆っているものの、その範囲がセンシティブな部分のみと露出があまりにも激しい。
バロンの悪魔召喚で召喚され、リリルナシルの聖魔法で抑え込まれた所をリントにテイムされた。尚、リントに求めているのは『自らの腹を満たせる糧』。
性格は子供っぽく、煽られるとムキになる上に、神国の解決策も「滅ぼす」一択を提案するなど、どこか残念な部分が見受けられる。
そんな感じであるが、悪魔だけあって闇魔法のエキスパートであり、リントに力を流し込む他、敵対者を吸収させている。当然、聖女の回復魔法が悪魔にとっての攻撃魔法になってしまう。
作者の言葉を借りるのなら、「作中最強の力を持ちながら、日常では良いように弄られる」というものである。
- シーケス
教皇の子飼いである暗殺者。装束を身にまとい、面頬で顔を隠しているが、素顔は可愛らしい系の美人。
神の信仰心で動いているが故に、神の意志を何よりも優先しており、教皇を神の代理人だと考えている。その「狂信」ぶりから対峙したリントも説得を放棄した。
滅竜騎士団とは違い表には出ないものの、神国屈指の実力を持っており、短剣と魔法を駆使してカゲロウを纏ったリントとキュルケを相手に優位に立っている。それでもリント達に驚異を感じて撤退、バロンに報告をする為に向かっていた。
当然ながら教皇派であるが、バロンがキラエムと繋がりはもちろん、それに至るまでの事情を知らなかった。後にリントを神国の新たな指導者としてたてられた事で、彼に忠誠を誓う形でテイムを交わした。
- ミラ
ガイエルに構えるギルドの受付嬢。
ふわふわとした金髪の美人であるが口と性格は悪く、Sランクの冒険者ビレナと組んでいるリントのCランク昇格をギルドのルールを理由に認めず、またドラゴンテイマーの事を信じていなかった。
しかし試験官のギュレムがリント相手に手も足も出なかった上に、テイムしたドラゴンのギルが現れた事で思わず失禁するほどの恐怖を覚えてしまう。
その後はドラゴンテイマーだと知ったリントに頭を下げる羽目になり、ビレナに件の失態(テイマーであるリントに対しての態度の悪さが本部にバレれば立場に影響を及ぼす)を無かったことにする代わりにある条件を突きつけられる事となった。
後にリントの屋敷での管理・掃除・洗濯・家事一般をこなすメイドとして働き、リントとテイムする事となった。
- ギル
二属性持ちのアースドラゴン。危険度はA+クラス。
小屋のような住処5つ分くらいの体躯を誇り、体色は基本的に黄土色で所々に銀に輝いている。前足後足に加え、飛行能力を持つ翼を備えた両腕があり、手足が6本もある。顎がフォーク状になっており、岩や鉱石を掘削する役目を持っている。総じて厳つい外見をしているがメスで、それも竜種としては幼いくらいの個体となっている。
住処だった竜の巣と呼ばれる火山地帯に訪れたビレナを目に付けて突っかかってきたが、彼女にパンチによる一撃でノックアウトされた。その流れでリントと契約を交わした(尚、ビレナに対しては恐怖を覚え、リントとは意気投合している)。
主な攻撃手段は岩石と火が混じったブレスと尻尾による物理攻撃。飛行能力もかなりのもので、背に付けられた鞍で三人を運搬させる事が出来るが、その巨体のせいで狭いダンジョンには物理的に入れない。当然、王都に姿を見せれば人々が大混乱に陥る為、街から外れた場所に待機する事が多い。
- カゲロウ
狼系の魔物の最高峰に分類する精霊、帝狼種の一種である『炎帝狼』。危険度はSクラス。
魔力が狼を象って意思を持ったような存在であり、顔つきの方もコヨーテや狐に近い。『炎帝狼』の名の通り、魔力が揺らめいて炎を身に纏っている様に見える。この炎は半物質化しているので触れても熱くないが、敵対者に対して全身の魔力を熱に変換させて炎として放出していく。他にも爪攻撃やドラゴンのブレスを相殺させる威力の遠吠えといった攻撃手段も有している。また、自分とテイムした主人と『精霊憑依』させることにより自らを炎に変化させて鎧の様に主人を包み込んでいく。
Sクラスに分類される通り単体でもかなり強く、リントとテイムされたキュルケやギルに対して優位に立ち、ビレナとも互角に渡り合っているが、【スキル:精神統一】で魔力と気をチャージして爆発的な力を得たビレナの一撃で敗北を喫する。その後はリントとテイムをし、普段いる精霊界から任意のタイミングで召喚するが、そうでなくとも自由に行き来できる状態にしている。
その他
- ギュレム
ガイエルに構えるギルドの試験官。元Bランクの冒険者。ビレナを師匠と仰いでいたが、(ビレナからすれば)「少しの訓練」で音を上げていた事もあってか頭が上がらない。
Cランクの昇格試験でリントと相手をするが、キュルケに剣を受け止められた挙句、カゲロウを纏ったリントに下され、ビレナにも一撃を食らって気絶。
その後はドラゴンテイマーだと知ったリントに頭を下げた挙句、ビレナから「鍛え直し」を宣告された。
- ザウスル
神国のトップである教皇。
教皇を崇めることを必須とした神教を国中に強制させ、国民の中で魔法の素養のない者を信仰が足りないといった理由で排除させていた(ちなみにこれが「神国の国民全てが魔法使い」の実態)。しかも限られた聖職者や教皇の近衛騎士団を除いて国外に出られない様な圧政を行った事から、それらをキラエムに漬け込まれてクーデターを引き起こされてしまった。キラエムとの対立においても戦力も発言権も低下の一途を辿り、加えて最大戦力であるバロンまでも実質離反された。
聖女であるリリルナシルを国民の感情を操作する為の道具としか思っておらず、冒険者として活動した頃のリリルナシルを強引な方法で手中に収めていた。おまけに神のお告げをありえない事だとしているだけでなく、寧ろ一糸まとわぬ美少年と美少女とベッドを共にする等、守備範囲は広いかなりの俗物であった。
自分の返り咲きの為に王国の軍事力を利用しようと王国首脳に接触を試みたが、王都の冒険者ギルドから特別依頼を受けたリント一行に阻まれてしまう(尚、冒険者ギルドは基本的に政治に関わらないスタンスである為、あくまでもこの依頼は秘密裏に処理されている)。自らもビレナに荒っぽい方法で拿捕され、バロンを誘き寄せる為の道具にされてしまった。
末路も書籍版ではバロンに助けを乞うも見限られ、コミカライズ版では闇魔法に巻き込まれてしまいそのままリントに忘れられて放置、とロクなものではなかった。
- キラエム
神国のナンバーツーにあたる枢機卿であり反教皇派のリーダー。
元々は一司祭の身であったが、ある時を境に急成長しており、教皇ザウスルと権力を二分するに及んだ。
思考は教皇と同じく独裁色が強いもののただの権力亡者ではなく、行動力と人心掌握術、野心を持っており、手始めに教皇の不満分子を集めて勢力を蓄え、教皇派の切り札であるバロンの不在時を狙って反乱を起こした。しかしザウスルとリリルナシルを取り逃がしたせいで片や人質にされ、片や敵対勢力に取り込まれる結果となった。
大陸屈指の闇魔法の使い手であり、神国民を糧にしている事で力を得ている(しかも神国に展開していた闇魔法を抑制する聖魔法の結界を物ともせずに実験台にしている)。また、その神国民の一部を闇魔法でキメラ生物に改造させており、それらをリント達に差し向けていた。しかし闇魔法のエキスパートである七大悪魔の一柱ベルに「糧」にされる形で消滅される末路を辿った(キメラ生物も短命であったのか、彼らから終わりを望んでおり、ベルによって安楽死に近い形で吸収された)。
漫画版ではリント達の力を確かめる為に辺境の村に巨大なキメラを召喚させており、しかも彼らが住民を見捨てられないと踏んだ上でキメラを襲わせていた。
- ルミ
フレーメルのギルドの受付嬢。
リントに対して何かに気にかけており、彼の無事と昇格を心から喜んでいた。
ちなみにフレーメルのギルドの冒険者からは天使として崇められており、リントが冒険者からの風当たりが強いのは彼への嫉妬も含まれていると考えられている。
後にギルドに訪れたリントを揶揄いつつも、ビハイド辺境伯に対して何かしらの反応を見せている。
- クエル
フレーメルのギルドマスター。元はテイマーで尚且つ元Aランクの冒険者。
結構な歳をしているらしいが、中世的な顔立ちに化粧もしている事から年齢を分かりにくくしている。また、演技がかった口調と動作、更には魔術師を思わせる服装からつかみどころを見せない印象を与えている。
テイマーを得たリントに対して気にかけており、Dランクに昇格した彼に対して手紙で王都に行くように勧めた。
後にBランクに昇格してフレーメルのギルドに戻ったリントを祝福しつつも、ビハイド辺境伯と敵対すると忠告している。
- ビハイド辺境伯
フレーメル領主。キラエムとは闇魔法の関係で繋がりがある他、テイマーに対して異常なまでに憎悪を抱いている。
フレーメルでのリントに対する迫害の首謀者であり、後にリント達のパーティーにおいてもリントに対して露骨に嫌悪していた(尚、ビレナやバロンも同じく蔑視しており、反対にリリルナシルに対しては媚びていた)。
当然リントに対する態度に怒ったビレナ達によって「お礼参り」されてしまった。
これらの行動は先々代のビハイド辺境伯が起こした悲劇が関係しているようだが……
- ヴィレント
王都のギルドマスター。元Sランクの冒険者。
ビレナとは知り合いであり、リリルナシルを娘のように思っている。
基本的には好々爺であり、愛妻家である。ビレナからはギルドの奥にある部屋を「連れ込み部屋」と茶々を入れられているが。
リントには若かりし日の頃に身につけたローブ(加護付き)を授かり、Sランクの枠を超える存在になる事を期待している。
- リッター=フォン=イオレナ
イオレナ武具店のオーナーである男性。
一応男爵家を継いだが、王家においては男爵家は「貴族にあって貴族にあらず」という扱いを受けている為、商売で生計を立てている。
この武具店は王室御用達から最先端の武器まで取り寄せている他、魔法剣も飾りとして展示されている。
- ロムミル
百発百中と言われる第一級の鑑定士。
フレーメル近郊のガザの村を中心に活動しており、会うだけでも何年の予約待ちを必要としている。
リントを鑑定したところ、「限界突破」であった事を告げた。
- グリント=ラ=ディタリア
国王。神国を実質支配しているキラエムの撃破に支障をきたさぬようにリント達冒険者パーティーと同盟を結んだ。
尚、本来は一国が一パーティーと同盟を結ぶことは不可能であり、それを解決するために国王個人との同盟にした。
漫画版ではキュルケに懐かれていた(?)のか、王冠さながらに頭に被せられた。
- トラリム
宰相。元は平民の出で、Bランク冒険者時代にとある貴族に拾われてから成りあがった。
相当頭の切れる人物であり、国民から人気がある。
用語
- 冒険者
魔物を討伐し、依頼をこなす職業。その職業柄、命を危険に晒す事も少なくなく、生きるために仕方なくやるか、荒くれ者のようにそれしか出来る事がなくなったパターンが多い。
ランクはFから始まり、一つ上のランクに行くためには当該ランクの適正クエストを規定回数クリアする必要が有る。
ランク一覧 |
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依頼はいくつでも受ける事はできるが、期限まで達成できなければ違約金が発生する。
- 聖魔法
魔法の一つ。他者に力を与えることを主にしているのか、回復や浄化に特化しており、反対に攻撃の転用が難しい。
尚、広域回復魔法もあるが、魔力消費が激しく、常人が使うものならば魔力切れで命を落としかねない。
- 闇魔法
魔法の一つ。他者の犠牲の上で成り立つものが多く、デバフや呪いの類がメインとなる。
相手の意思を完全に奪う禁術の類として管理される『洗脳』や、人間を素材にしたキメラ生物への改造も該当する。
ダークエルフも扱える他、魔族の一種である悪魔は闇魔法のエキスパート。
- ポーション
お馴染み回復アイテム。
結構疲れが取れる『無印』、一晩寝なくとも働ける『中級』、骨折を治せる『上級』と効果は上昇し、その中で最も効果の高い『特級』はかけるだけで全身の傷が瞬く間に回復し、耳一つなくなっても元通りに治せる。
その分値段もかなり高くなり、『上級』は貴族しか買えない代物であり、『特級』はヴェルモンド大商会をスポンサーに付いたBランクの冒険者がその値段を聞いた時はショックのあまり茫然自失となった。
- 精霊/精霊使い
実態を持たない格の高い生命体、並びにそれをテイムした人間。その一種である『炎帝狼』もSランクと通常の魔物とは別格。
精霊使いがテイムした精霊を精霊界から自由に呼び出せる『精霊召喚』(ちなみに普通の使い魔が精霊の様に召喚させるには高度な技術が必要)、精霊使いが精霊と一体化して精霊の力を駆使する技術『精霊憑依』があり、Aランクになった精霊使いはこの『精霊憑依』を駆使して戦っている。
その反面、『精霊憑依』は力の制御が難しく、リントは試行錯誤の末にどうにか使いこなせた。また、精霊との信頼度も肝となっており、単に精霊を装備品のように解釈すると力を十全に発揮できない。
精霊とテイムする点から原理こそテイマーと同じであるが、こちらは厚遇を受けられる。
- 星の書
「神の書物」「賢者の遺産」と呼ばれる本。一説では伝説の賢者が残したものや、神が書いたとも言われる。
読むだけでその技術を会得出来る。星の書が相性のいい者と「共鳴」する性質を持ち、それ以外の者は閲覧はおろか星の書のある所にたどり着けない様にカモフラージュされている。
Fランクの時代のリントが洞窟の中で発見した「テイマーの書」の一部を読む事でテイマー技術を習得していた(ちなみにビレナは「拳闘士の書」、リリルナシルは「回復士の書」、バロンは「戦斧の書(書籍版では「戦斧士の書」)」、キラエムは「呪術師の書」に選ばれた)。
但し、星の書による暴走は所持者に何らかのリスクを与え、「テイマーの書」は存在進化と活性化を促進された魔物の暴走、「拳闘士の書」は肉体の崩壊、「呪術師の書」は闇魔法の暴走となっている。
尚、リントは当初この事を知らなかったのか、読み終えた後は持ち帰っても他の冒険者に奪われる事も考慮してかそのまま洞窟に放置。後にビレナにとって価値ある本であると知ったリントは一旦故郷に戻ったものの、再度「テイマーの書」を回収した時は何者かが洞窟に立ち入った事もあってか落丁が多かった。
- 魔法剣
伝説の鍛冶師マスターアランによって製作された武器。
剣の柄のような変わった形をしており、見様によってどんなものにも見える形状をしている。
製作途中でアランが力尽きた上に、希少で扱いの難しい素材がふんだんに使われているため、誰も加工しきれなかった曰く付きの品となっている。その為、どのような意図で製作したのかは不明であるが、完成すれば歴史に名を残す名器となった。
未完成で終わったこの武器はイオレナ武具店に飾り物として長らく展示されたが、一目で見たリントが手にして購入した武器と共に持っていった。
魔法剣士の武器のように、剣の柄から刃を魔法で形成するもの似ているが、見た目の派手さに反して実用性は皆無となっている為、おおよそ戦闘には向いていない。
精霊憑依したカゲロウの炎で白く輝ける刀身を形成させても不安定な上に、それに集中すると動作や防御が疎かになってしまう。しかし、リントが幾多の依頼による特訓でレベルを上げた事により実用段階に至り、バロンの放った最大の一撃を相殺するに至った。
- 悪魔召喚
魔界から悪魔を召喚し、契約を結ぶスキル。
しかし悪魔は魔族の中でも危険な存在であり、基本的に今生きている地上の生物に勝ち目はない(例外は尋常でない力を秘めた勇者と聖魔法を極めた聖女)。
その為、まだ力が弱い間である出現直後の契約で縛るのだが、失敗すれば魔王となって地上に君臨し、大陸が支配下に置かれる危険性がある。
テイマー
ファンタジー作品でお馴染み、魔物を従えて操る冒険職。
自分より強い魔物をテイムする事が出来れば、人間では到達し得ない領域に立てることが出来る。
生まれ持った特別なスキルや才能がない者にとっては希望ともいえるが、実は問題点が多く存在する。テイマーを目指す人間の半分以上はまともに戦える力を持たない上に、他の冒険者は魔物のテイムを手伝わされることが多く、結果的に足を引っ張ってしまう。その事から「他力本願」「まともに戦えない臆病者」とレッテルを貼られてしまう事が多い。それを示すかのようにギルド側の信頼も薄く、回ってくる仕事も実績を積むのに苦労するものが多かった。しかも、人間と敵対する魔物を連れていく事からパーティーを組めないばかりか、街やギルドに出入りするものなら魔物共々排斥される危険性がある。
ドラゴンをテイムするような強力なテイマーがここ最近では出現していない事も、地位に悪影響を及ぼしている。
テイム
魔物と主従関係を結ぶ、テイマー独自の能力。
魔物をテイムするには、テイマーがその魔物以上の強さがあるか、罠などを駆使して追い詰めるか、魔物が求めるものを与える事で契約する、といった必要がある。
魔獣を従えるには殆どは餌を渡すだけで事足りるが、相手の知能が高くなれると複雑な要求を課される上に難易度も高くなる。本来は自分より強い魔物を何体もテイムするのは難しい。
テイムは従魔との信頼関係で成り立つ平等な契約であり、言葉が喋れる程の自我を持つ相手に対しては基本的にテイムを行わない。
実際はそういった信頼を軸にしたテイマーは数える程しかなく、殆どのテイマーは(魔物を使い潰すか反抗させないように抑圧させる等の)完全に一方的で奴隷となった者の自由を奪う「奴隷契約」の延長と捉えている為、従魔との信頼も力も得られない。
存在進化
リントとテイムした生き物(従魔)が進化するする特性。外見の変化や能力の劇的な向上が見られる他、リントが強くなれば従魔も比例して強くなる。
一覧 |
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リントのものはロムミルに鑑定された時点で既に限界突破を果たしており、更にはエクストラボーナスとして「存在進化促進」「従魔強化」「従魔限界突破」「従魔共感」「自己強化」「信頼強化」といったものも付加されている。
魔物
ファンタジー作品でお馴染みのモンスター。
危険度クラスによって強さは変動し、Bクラスの上位に分類する魔物クイーンウルフはCランクパーティーを圧倒し、Aクラスの魔物はSランクの冒険者でもない限りはまず対峙した時点で命はない。Sクラスの魔物は災厄級や神級と畏れられた魔物達を纏めた「手に負えない」存在であり、そのSランクの冒険者でさえも良くて互角か、悪ければ歯が立たないと言われる。
さらに変異種は数百から千個に一つの確率で生まれる事があり、通常の個体よりも強力となっている。角付きの魔獣は他の魔獣の3倍くらいに引き上げられる。
- スライム
お馴染み半透明の魔物。
食べているものによって色が変わる性質を持ち、森で遭遇するものが緑、下水道は殆ど灰色か茶色。また、下水道の環境はスライムによって整えられる事があるため、スライムを狙う魔物の駆除を求められる。
リントがテイムしたキュルケも元々はスライムであった。
- 爆発果実(ダイナマイトフルーツ)
蔓性の茎に人の顔の程の大きさの実がなる植物型の魔物。
実に人の顔のような斑紋が浮かぶという奇妙な外見をしているが、美味な果実と薬にもなれる種を備えている為、これを採取するクエストが存在している。
しかし収穫しようとする等、何かしらの衝撃を与えると真っ赤に腫れあがった後に爆発を起こす性質を持つ。「何もしない限りは」自発的に攻撃してこないものの、爆発に巻き込まれればひとたまりもない。
通常は怒り狂った顔をしているが、変異種は妙に穏やかな顔をしており、こちらをしばらく見つめた後に爆発する。当然、変異種の引き起こす爆発の威力は通常の十数倍に跳ね上がっており、最悪は命を落としてしまう。
その為か採取方法も二種類に分かれており、「少し乱暴に叩いて安全な所まで下がる(安全に採取できるが食用としては品質が下がる)」タイプと、「果実ごとの特徴を見分け、爆発を防ぐように処理した隙に採取する(爆発のリスクは伴うが完品のものを採取できる)」タイプとなっている。
主に還らずの草原に豊富に生育されているが、実はどこでも生育できるようだ。
- ツノウサギ
額に一本角が生えたようなうさぎの魔物。
単体での強さは野うさぎが凶暴化した程度なので、大人一人で捕まえるのは容易。しかし速さは野うさぎの3倍である上に繁殖力も高く、追い詰められれば集団で鋭い角を振り立てて集団で襲いかかってくる。故に集団で襲撃した時の驚異はCランクの上位に位置する。
実際、辺境の村が異常に繁殖したツノウサギの被害に遭っており、家畜や作物はおろか、木造の家屋まで食い荒らされ、村の人間も食い殺されたこともある。
討伐の照明は角が必要であるが、皮と肉にも利用価値がある。
- ジャイアントヘラクレス
縦に二叉に分かれた巨大な角と小型のドラゴンに匹敵するサイズを持つ、最大級種の虫系魔物。
Aランク相当の実力を持つが、分厚い装甲と巨体を生かした凄まじいパワーを持っている。故にAランクの冒険者になるための登竜門となっているのだが、この魔物は自分より強い相手にしか反応しない性質を持つ。攻撃手段は羽を広げた低空飛行での突進と上下に別れた角による打撃。
標本用として依頼される事がある為、捕縛するには光や甘いものに集まる習性に合わせて大掛かりな罠で仕留める必要があるが、真正面で戦って傷一つ付けずに倒すにはAランク以上の実力が必要。あまり知られていないが食用である上に、美味いらしい。
- 灼熱蟻
王国南部の砂漠地帯に生息する魔物。
働き蟻は人間の子供に匹敵するサイズがあり、女王蟻は巨大な芋虫に女性的な上半身の躯体を持つ個体。単体ではCランク程度だが、集団による危険度はAランクに匹敵する。
また、蟻であるが故に個ではなく群として行動しており、リントにテイムされた時の要望は「群の安全を保証」「女王蟻に危害を加えない」事を条件にしている。
巣の移動の際に備蓄をあっさりと捨て置いておく傾向があるが、コレは動きが取れない幼虫や女王を運搬する事を優先している為。