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概要編集

日本の小学校高学年(2020年度以降)および中学校高等学校で使用される英語教科書は原則として文部科学省が4年おきに実施する教科書検定で合格したものが使われている(一部の進学校では検定教科書以外のハイレベルな教材が使用される場合もある)。英語教科書で話題になるのはほとんどが中学校で使用されるものであり、高校の教科書が話題にのぼることは少ないため、ここでは中学校用を中心に解説する。


小学校高学年では2019年度まで外国語教育が正規の授業ではなく、英語以外の言語を扱う場合もあり使用教材も正規の検定を受けた「教科書」としては扱われていなかったが、2020年度に英語が正規授業となったため中学校用の全ブランドが姉妹編として小学校用教科書を発行するようになった。


特徴編集

数ある教科の教科書の中でも異例ともいえるのが設定が付いた登場人物がいる事である。

地域によって採用している教科書が異なっても英語教科書はこのキャラクターだったと記憶に残る人が多い。

これは中学英語教科書が基本的に会話をメインとしている事に着目したことから登場人物を設けて設定が付加されたという。

時代の流れによってはキャラクターの絵柄にも違いがあったりする。国際社会を意識しており、日本人だけではなく英語が公用語のアメリカ人・アジア系(中国・韓国・インドetc…)と国や人種が異なる登場人物もいる。

NEW HORIZONの様に、これまでの教科書になかったタッチで描かれた登場人物が注目される事がある。


世代別に違いがある事も多々あるのでpixivでも同名のキャラクターでもタッチが異なるイラストが散見される。


手掛けたイラストレーターで話題になった事もあり、2016年度の『NEW HORIZON』での電柱棒氏を始めとして2021年度の『NEW CROWN』では箕星太朗氏が手掛ける事が発表されて話題となった。



種類編集

2020年に実施された教科書検定で合格し、2021年度から使用されている中学校向けの英語教科書は以下の6種類である。【小】は小学校高学年用の姉妹ブランド。


NEW HORIZON編集

  • 【小】NEW HORIZON ELEMENTARY

東京書籍の『NEW HORIZON』は、1966年に刊行を開始した。2016年度の採択率(シェア)は33.8%と2位以下を大きく引き離しており、全盛期には50%近いシェアを誇っていたこともあるトップブランド。同名の英和辞典および和英辞典、ニンテンドーDS用ソフトなども発売されている。


他社と異なり改訂のたびに登場人物が入れ替わっているが、新規に登場した人物も旧版に登場した人物と何らかの関わりを持っている場合が多い。例えば、2016年度版で登場したエレン・ベーカー先生の教え子の1人は2代前のアン・グリーン先生の親戚で、1代前のメアリー・ブラウン先生はエレン先生と同じボストン出身の友人同士である。


NEW CROWN編集

  • 【小】CROWN Jr.

三省堂の『NEW CROWN』は1962年に高校用の『CROWN』の姉妹版として刊行を開始した『JUNIOR CROWN』を前身とする(三省堂の英語教科書参入は1949年の『Tsuda New Readers』が最初で、その後は『New Vista』や『The Sun』を経て『JUNIOR CROWN』に統合された)。1970年代から80年代は『NEW HORIZON』としのぎを削っていた。その後は次第に水をあけられ、2016年度のシェアは24.2%と6社中3位に転落したが2020年度には2位を奪還している。


中学生に親しみやすいよう漫画的な挿絵や3年間を通した登場人物の設定を取り入れたのは『NEW CROWN』が最初とされている。メインの登場人物は1980年代から加藤健(ケン)と田中久美(クミ)、丘大輔先生で固定されており、その他に留学生や健と久美がホームステイで外国を訪れた際の登場人物としてアメリカ人のトム・ブラウンや中国人のヤン・メイリン(楊美玲)、ケニア人のムカミ・カマウらが登場するがメインの3人以外は年代によって少しずつ入れ替わっている。ALTはイギリス出身のルーシー・ブラウン先生が主に登場しており(「Brown」は「Smith」と同様に英語圏では日本の「鈴木」や「田中」と同じようなよくある名字なので他社と被っていても気にしてはいけない)、過去の版ではアメリカ人のパット・ミラー先生も登場していたがどのALTも他社に比べると出番が少なくキャラが立っていない。


2021年度版の段階では丘先生やブラウン先生を除き大きく登場人物が変わっている。


SUNSHINE編集

  • 【小】Junior SUNSHINE

開隆堂出版の『SUNSHINE』は1987年に刊行を開始した。ここ20年は3位が定位置で2016年度のシェアは24.8%と『NEW CROWN』を抜いて2位に躍り出たこともあるが、2021年度には再び3位となり光村の『Here We Go!』に猛追を受けている。開隆堂の英語教科書は1949年に刊行され全盛期は8割のシェアを誇っていた『JACK AND BETTY』以来の伝統があり、1970年代には競争激化のため『NEW PRINCE』へリニューアルしたが長期低迷を打破すべく『SUNSHINE』へ再リニューアルしている。


メインの登場人物は佐山由紀と林武史で、他に英語教師(ALT)としてカナダ出身で英語/フランス語バイリンガルのケイト・ウッド先生やイギリス人男性のブラウン先生など。由紀(特に2006年度版)は2016年に『NEW HORIZON』のエレン先生が爆発的ブームを起こすまでは「英語教科書のヒロイン」的なポジションのキャラクターだったが、イラスト担当者と合わせてデザインが変わるので版が変わると同姓同名の別人にしか見えない。


Here We Go!編集

  • 【小】Here We Go!(他社のようなサブブランド扱いではなく、中学校用とブランド統一し「小5〜中3」の5年間で一続きの扱いにしている)

光村図書の『Here We Go!』は1993年に後発で参入した『COLUMBUS』及びそのリニューアル版『COLUMBUS21』が前身。『COLUMBUS21』の2008年時点のシェアは1.9%で6社中第6位だったが、小学校高学年用教材『ジュニアコロンブス21』との連携をアピールして都市部では徐々にシェアを伸ばす。2021年度に『Here We Go!』へ再度リニューアルを断行したが、下位グループだった学校図書の撤退も追い風になり開隆堂の『SUNSHINE』に肉薄する4位へ浮上して大躍進を遂げた。


前身の『COLUMBUS21』時代の2012年度版まではアメリカのカートゥーン風のデザインだったが、2016年度にデザインを一新して少女漫画風の絵柄になった。が、時期が良くなかったため今一つ話題になっていない。2016年度版のメインキャラクターは2012年度版とほぼ同じ顔触れで、斉藤拓馬(タク)、清水亜矢(アヤ)、アメリカ人のティナと弟のニック、韓国出身のミンホらが登場する。ALTはオーストラリア出身のブラウン先生。他の教科書に見られない特徴としては、韓国からの留学生が必ず登場する、メインキャラクターが2年以降で堂々と恋愛を始めるなどの要素が挙げられる。


ONE WORLD編集

  • 【小】ONE WORLD Smiles

教育出版の『ONE WORLD』は2008年時点でのシェアが4.8%で6社中第5位だったが、光村のリニューアルに伴う躍進で2021年度も横ばい状態となっている。上位版に高校用の『New ONE WORLD』があり、他の教科書に比べてインターナショナルスクールやホームステイ、海外留学先のシチュエーションが多いのが特徴。


メインキャラクターは男子生徒の谷健太がずっと登場しているのに対し、女子生徒は何度か交代しており2016年度版では小野あやかが登場している。留学生の顔触れも頻繁に入れ替わっており、過去の版ではアメリカ人のニックやブラジル人のマリアらが登場していた。2012年度版ではニューヨーク出身のボブ・ウエストとシンガポール出身のメイ・リーの2人となっている。この2人は2016年度版でも引き続き登場しているが、新たに韓国出身のキム・ジンが加わった。ALTはかなり以前の版からからオーストラリア出身のキャシー・キング先生が続投している。


BLUE SKY編集

  • 【小】Blue Sky Elementary

2016年度を最後に撤退した学校図書(1978〜2000年度は秀文出版)の『TOTAL ENGLISH』に代わって2021年度より新規参入した啓林館の英語教科書。参入初年度のシェアは第6位。


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