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センシティブな作品

「ならば、幕を開けよう。涙の止まらぬ悲劇の幕を。笑いの止まらぬ喜劇の幕を」

「貴方は一体、何を願うのかな?」

CV:高橋李依

概要

PS4専用ソフト『デート・ア・ライブ 蓮ディストピア』に登場するゲームオリジナルキャラクターで、謎多き精霊の少女。

道化の様な霊装と思われる衣装を身に纏っている。

目や体のあちこちに包帯を巻き、体には拘束具を身に付けているという痛々しい容姿をしており、どことなく精霊たちの反転体を思わせる色合いとなっている。

蛇の装飾が成された不思議な筺を開けた人物の夢の中に現れ、願いを叶えると迫ってくる。

夢の中に現れた際には大袈裟に抑揚を付けた正に道化の様な喋り方をしているが、現実世界で現れた際には打って変わって落ち着いており、どこか退廃的な雰囲気である。

夢の世界に現れては精霊達の願いを叶え、現実世界では士道の前に突然現れては意味深な事を口にして立ち去ってしまう。

目的を問われても「自分はそういう存在である」とはぐらかし、真意を全く語ろうとはしない謎多き人物である。

以下ネタバレ注意

  • 正体

--自分の意識が芽生えたとき、目の前には一人の少女の姿があった。

ぞっとする程に美しい面を、夥しい涙で濡らし、絶え間ない慟哭を響かせていた。

彼女から感じられるのは、深い深い悲しみと--身を焦がすほどの強い憎悪。

嗚呼、それを感じた瞬間、自分は半ば自動的に理解した。理解してしまった。

自分は彼女から--彼女強い憎悪から生まれたのだと。

他の精霊達が彼女の願いから生まれたのだとすれば、蓮は唯一彼女の憎悪から生まれた存在。

彼女は自らの怒りから生まれてしまった悪逆の存在を恐れた。

それは遠い未来で自分の大切な人を傷つけてしまうかも知れないからである。

彼女はその存在を封印し、世界の狭間へと放逐した。

しかし、結果としてこれは生まれながらの悪性であったその精霊を真の悪としてしまう事になった。

蛇の模様が描かれた筺は世界の狭間で身を守る為に形成した殻。

だが、士道の歴史改変によって生まれた綻びからこの世界に舞い戻ったのだ。

士道か精霊達のいずれかが筺を開けた瞬間に封印されていた蓮は解放されてこの世界に復活を果たす。

そうして、本作の物語は幕を開けたのである。

  • 目的

彼女の目的、願いは「この世界から、精霊の関わる全てのものを消し去る事」

憎悪から生まれ、生まれながらの悪逆、悪役である彼女の目的。

何故と言われれば、そういう在り方を求められて生まれた存在だからである。

彼女にそれ以上の理由など、きっと存在しないのだから。

  • 天使

瘴毒浄土(サマエル)」

その天使の能力は「対象の願いを三つまで何でも叶える」というもの。

蓮曰く「使い切れない富の山も、永遠に老いぬ身体も、理想通りの美女も、全て思うまま」。

対象のあらゆる望みを如何なる形であっても実現させる。

そう、如何なる形であろうともである。

文字通り、如何なる願いでも瘴毒浄土は実現させられるが、その願いがどういった形で実現されるかは本体である蓮の意思である。

例えば、作中では十香が「みんなを元に戻してほしい」と願った際には十香以外の精霊全員が十香と初めて出会った時の状態に戻っていた。

これはある意味元に戻った状態であり、十香が意図した状態ではなくとも願いは実現されたという事になるのである。

また、何を願いと解釈するのかも蓮が決めるようで、琴理が発した「変わらぬ日常を過ごしたい」という言葉を願いと解釈し、それを実現させるといった事もしていた。

つまり、あらゆる願いが叶うと言ってもそれが具体的でなければ蓮が意図的に曲解して願いを実現させる可能性も願いを言わなければふとした言葉を願いと勝手に解釈されて実現される可能性も存在しているという詐欺の様な能力である。

しかし、これらは曲解のしようがない程に願いを具体的にした上で下手なことを口にしない限りは平気であるという事でもある(初見でそんなことはほぼ無理だが)。

あらゆる願いを実現するという言葉に嘘はなく、世界中の人間の思考や記憶に干渉する事さえ可能な規格外の能力である。

だが、そんな奇跡の様な力を行使すれば、当然ながらその代償も非常に重い。

対象の願いを三つ叶えた事を引き金に瘴毒浄土は発動。

同時にある権能を有する結界を周囲に形成する。

結界内はあらゆる願いが実現させると共に願いを叶えた者の存在を奪い消滅させる

そして、対象から奪った霊力は連に与えられる。

願いを叶えるごとに霊力を奪っていくようで彼女の封印が解除されていったのか、作中では願いを一つ叶えるごとに蓮の両目の包帯が右目、左目と外れていっている。

蓮ルートでは士道の願いを叶えた事で精霊八人分の霊力の大部分を奪い、真の霊装を身に纏った。その姿は道化の様な霊装から漆黒のドレスを身に纏い、背後には葡萄の果実が実ったリースの様な輪が存在している。

元ネタは聖書偽典『ギリシア語バルク黙示録』等でその存在が言及されている死を司る天使『サマエル』であると考えられる。

サマエルはヘブライ語で「毒」を表すSamが名の由来であるとされており、彼女の天使『瘴毒浄土』にもその名に毒が冠されている。

また、エデンの園に住んでいたアダムとイヴを唆した蛇という説も存在する。

彼女が封印されている筺に蛇の模様があることや、士道や精霊達を唆して願いを叶える様子等は正にこれが由来であるのだろう。

瘴毒浄土の結界内部や彼女の真の霊装には葡萄があしらわれているが、これも元ネタであるサマエルが葡萄に関する逸話を持っているからであるのだろう。

  • 総括

<始原の精霊>が、最愛の人を殺されて深い悲しみと絶望に陥った時に漏れ出した霊力が意思を持ち実体化した霊力だけの存在。疑似精霊。

普段は道化の様な姿だが、力を開放するとまるで<始原の精霊>の反転体を思わせる様な衣装へと変貌する。

最初からある人物を護るために生み出された彼女や、霊力を持つに相応しい者かどうかを見極めるために存在する彼女と違い、存在そのものがイレギュラーな存在で、上述したように、その誕生経緯から<始原の精霊>により存在そのものが危険視されて次元の狭間へと放逐された。

自分を放逐した母に復讐する為に母の大切な人物や精霊たちを傷つける為に暗躍しているが、その一方で殺したい程に母の愛しい人を愛してもいるという複雑な感情も抱いている。

またその危険性から、彼女から真っ先にマークされそうな気がするが、彼女の天使の力の為に、居場所を特定することは困難な状態になっていたようだ。

なお、ある人物を護るために生み出された彼女や、霊力を持つに相応しい者かどうかを見極めるために存在する彼女たちとは姉妹のような関係であるらしい。

  • 結末1

最終決戦で窮地に陥った士道達は最後の手段に打って出る。

それは蓮の封印を実行する事。

士道は封印可能域を示していたデータを信じ、ゼロじゃない可能性に賭けて特攻を仕掛ける。

天使の力が奪われた士道の身体は再生しない。

それでも、諦めずに進み続けた士道は蓮にある言葉を放つ。

「大好きだ」と。

蓮に生まれた一瞬の隙を見逃さず、士道は蓮にキスをした。

封印に成功し、蓮の霊力が士道に流れていく。

その瞬間、蓮は自分の秘めた思いに気づいた。

それは自分が士道を愛している事。

自らの窮地でも自分の身を案じる士道を愛おしいと感じた。

如何に彼女が憎悪から生まれた存在であっても彼女の分身である蓮が士道を愛さずにいられるはずなどなかったのである。

蓮という少女は最初から最後まで、士道を殺したい程に愛していた。

愛したいのも殺したいのも両方が自分の本心である事を自覚する。

そして、自分が死に場所を求めていたことも。

彼女は士道に感謝を伝えたかったが、それを心に押しとどめ。

彼女は最後に「おのれ--」と呟いた。悪役としてある為に。

彼女が封印された事で瘴毒浄土の結界が崩壊し始める。

霊力で作り出された疑似生命である彼女は霊力を封印された事で消滅し掛けていた。

残された数瞬で彼女は最後の願いを告げる。

「--士道たちを、結界の外に逃がしてくれ」

士道の最後の願い「自分の心に嘘をつかないでくれ」。

それは彼女と戦う事になってしまった原因ではあったが、最期のこの瞬間まで続いている。

つまり、士道達を助けたいというのは蓮の紛れもない本心だったのだ。

結界は消滅し、蓮という人物の記憶が士道以外から消え去る。

士道は蓮と出会った神社で彼女との再会を願うのだった。

「--やれやれ、せっかくの願いをそんなことに使うとはね。まったく本当に--度し難い」

関連項目

デート・ア・ライブ

始原の精霊:彼女の強い憎悪から蓮は生まれた。

大切な人:彼を奪われた事で蓮が生まれた。

全ての原因:明言こそされていないが彼が蓮が生まれる要因となったのは間違いないだろう。

??? ???:あるルートで判明するが彼女の姉に当たる。

以下、ゲームの核心に迫るネタバレにつき閲覧注意

  • 結末2

士道が最後の願いとして連に「自分の心に嘘をつかないでくれ」という願いを告げようとした時、何処からともなく声が聞こえてくる。

「ダメだよ、士道!」

それを切っ掛けに何故か今までの出来事が、かつて一度体験したかのような既視感を覚えた士道はこの願いでは連を真の意味で救えないと考え、考えた末に急遽、その願いを取りやめ、別の願いを口にする。

「真の意味で蓮を救いたい」

言葉の意味を理解できない連だったが、契約は契約。その願いを叶える為に天使<瘴毒浄土>の力を発動させるが………。

※名言は無いが、状況証拠からBADENDを含めた今までの結末はもしかするととある願いの影響で<瘴毒浄土>が、あるいは無意識に士道がある天使の力を発動させていた可能性があるが、詳細は不明。

この世に生まれ落ちた連は<瘴毒浄土>にある願いをした。2つ目は母が愛し、自身も愛する愛しくて愛しくてたまらない彼を殺す事。しかしそれはあくまでも次の願いだ…。まずは最初の願いを叶えてもらおう。

しかしその願いは長い間封印されていた影響で、記憶が擦り切れ忘れてしまった。

一体それは何だったのだろう………

士道の理解しがたい願いを叶える為に<瘴毒浄土>が作り出した異空間で、サポート役として顕現した自身の姉たちその娘、そして士道の補佐役を担う双子の姉妹の手助けを受け、かつて自身が叶え続けた精霊たちの“願いの欠片”を集め続ける蓮。

しかし全ての精霊たちの“願いの欠片”を集めきっても一行に思い出せない…。

失望し、諦めかけていた蓮に士道は、彼女の姉の1人から託されたという、ある物を差し出す。

それはかつて母によって世界の狭間へと放逐された際に、自身の身を護るために形成した殻となる筺。

訝しむ連に士道は告げる。実は後1人だけ<瘴毒浄土>に願いを願い、叶えてもらったものが残っていた事。その人物とは他ならぬ蓮自身であった事。

士道に促されるままに筺を開く蓮。

そして最後の“願いの欠片”を手にした蓮は遂に全てを思い出す。

自身がこの世に生まれ、初めて願い<瘴毒浄土>に叶えてもらいたかった本当の思い。

それは…

一目でもいいから愛しあの人。士道に会ってみたい………。

そう、既にその願いは<瘴毒浄土>によって叶えられていたのだ。しかも士道たちと敵対する悪逆の存在という最悪の形で‼

全てを思い出し、真実を知った蓮は力無く自嘲気味に笑う。流石は<瘴毒浄土>。所詮、己も<瘴毒浄土>の掌で踊っていた道化に過ぎないとは…。

そんな彼女に士道は、これからはみんなと一緒に過ごして行こうと手を差し伸べるが、蓮はその願いには答えられないという。

何故ならば、士道の最後の願いを<瘴毒浄土>が叶えた今、今いる<瘴毒浄土>の結界内に構成された世界は崩壊を始めたから…。

このままでは士道たちに危険が及ぶとして蓮はある士道に提案を持ち掛ける。

それは自身の霊力を封印する事。

早速士道は彼女の霊力を封印すると決意するが、個々である1つの懸念が頭をよぎる。

蓮もまた霊力が人格を持った存在である以上、かつて哀しい別れをした彼女の姉たち同様に蓮の霊力の封印=彼女自身の消滅を意味するのではないかと…。

躊躇する士道に愛おしさを覚えつつも、<瘴毒浄土>に最後の願いを告げる。

「士道とキスをさせてくれ」

悲しむ士道に何時もと変わらない言い回しで語り掛ける蓮の思いを察し、笑顔で見送る士道。

そんな暖かく幸せな空間に包まれながら蓮は世界から消えて行くのだった………。

かくして士道と精霊たちの喜劇にして悲劇の舞台は終幕を迎える。

しかし<瘴毒浄土>の力によるものか、かつて起きた彼女の時と違い、士道だけではなく他の精霊たちにも蓮と彼女の姉たちとその娘、そして (厳密には二重人格のようになっているが) 双子の姉妹と過ごした時間は、朧げながらも記憶の片隅に留まり続けているようだ。

そしてどことも知れぬ、異空間。道化に相応しく、1人寂しく消え行くかと思われた蓮であったが、そこにまさかの自分以外の者たちがやって来る。かつて士道に力を封印された自身の姉たちやその娘、そして士道の補佐を担う2後の姉妹(ただし本体は現実世界)。

驚く彼女の前に更に意外な人物が姿を現す。それはかつて自身を放逐した母、<始原の精霊>、ファントム。

彼女は告げる。強大な力を持つ<瘴毒浄土>の権能の為に、なかなか居場所を特定出来なかった事。そして彼女に対して行ってきた数々の仕打ち対しての心からの謝罪を…。

まさかこのようなカーテンコールが自分に待ち構えていた事に驚き、生まれて初めて満ち足りた気持ちとと共に自身の抱いた素直な思いを口に出す。

「私をこの世に産んでくれてありがとう。お母様」

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