藍緋
あいひ
CV:小島幸子
私達には何もない- 何もないじゃないか
本来の姿は知能・戦闘力ともに秀でた巨大な植物型の花の妖で、人間の姿に化ける能力をもっている。
姫の体調管理や、妖に対して人間の世界での立ち回り方を教育しており、人皮の製作・改良も行っていた。
烏森の特殊性に目をつけ、姫を烏森に連れて行くよう白に提案した時は自分も外に出ようとしたが、白には拒否されている。
その後は良守達が黒芒楼に乗り込んだ際の騒動で白が松戸との戦いに敗れたことで自由となり、外の世界へ逃げようとするが…
火黒
「あんたは城に囚われたまま、消えていく方が美しいのかなとも思うんだよね。」
藍緋
「どけ。どかないなら-」
火黒
「あんたとは、一度やってみたかったんだよね。」
それを阻もうとした火黒との戦いに発展する。戦いの最中、火黒は藍緋が人間に対して抱く感情を見透かし、「人間にはあって妖にはないもの」について尋ねる。
人を愛した妖花の過去
男
「妖っ! 妖じゃあ!」
藍緋
「運が… 良かったな人間。私はちょうど腹がふくれている。見逃してやる。」
遥か昔、満月の夜の森で藍緋はある男に会う。驚愕する男に対し、藍緋は気まぐれで見逃そうとするが…
男
「ここに来ればっ、また、あんたに会えるのか?」
それから男は何故か頻繁に藍緋のもとを訪れるようになり、藍緋はそんな男に疑問を投げかける。男曰く、自分は身体が弱く時間を持て余しているとのことだが、ふと悲しそうな顔で本音を漏らす。
男
「また、会いに来てええか? 眠れんと… 夜は長すぎる…」
そしてある日、藍緋は男から少し強引に求愛を受け、渋々彼の家へ行くことになる。しかし、藍緋が家を出ようとすると魔除けが発動し、家から出られなくなってしまう。
男
「出て行きたきゃわしを食え、そしたら術も解ける。」
「もうっ、一人の夜は、嫌なんじゃっ…」
その気になれば男を食えたはずなのに藍緋は何故か食わなかった。
死ぬことより孤独を恐れる男の姿勢に惹かれたからだ。
それから男と藍緋の奇妙な生活が始まる。藍緋自身は「くだらない」と言っていたが、いつしか男のくれた着物を着るようになったり、顔だけを変化させて揶揄ったりするようになっていた。
しかし、そんな生活に変化が訪れる。
男
「すまん妖。わし、死ねなくなった。」
男の家の生活を支えていた兄が死に、幼い弟が成長するまでの間は男自身が家族のために働かねばならなかった。
それから男は人が変わったように働き出し、大して強くもない身体を酷使したのにもかかわらず、それに反比例するかのように男の生命力が上がっていき、弟が成長したのを見届けるとすぐに息を引き取った。
それから藍緋は更に人間に興味を持った。何故自分のことすら何も出来なかったのに他人のために身を削ることが出来たのか、男の原動力とは何だったのか、それを解明するために研究を始めた。人皮も作ったが、初代人皮のモデルはかつての男だった。
人間を「研究対象」と言っていたが、藍緋は何故か死んだ男を食わなかった。また、この経験から人間を食うこともなくなったが、それによって戦闘力は大きく弱体化することになった。
人に憧れた妖花の最期
火黒の斬撃に苦戦するも、最終的に幻術で包み込んで勝利する。
動かない火黒を尻目に再び外の世界を目指すが…
火黒
「がっかりだな… 試しにまともに受けてみたのに、あんたも大したことねーんだもん。」
「妖は優しくなったら弱るぜ。」
火黒は人皮を脱ぎ捨てただけであって死んでおらず、そのまま背後から刀で串刺しにされる。そして、良守を見つけた火黒は藍緋への興味を完全に失い、そのまま投げ捨てる。
藍緋
「なぁ火黒… 私達は、弱いんだよ。」
火黒
「あんたはずっと、籠の中にいろよ。」
しかし、火黒は藍緋の言葉を一蹴して去ってしまった。
-お前が嫌うものに私は憧れたのさ… 弱い人間が簡単に、あちこちに、いくつでもいくらでも作るつながり…-
-だって私達には何もない、何もないじゃないか-
最後の力を振り絞って部屋の外へ出るが力尽き、人の姿も解けてしまった。最期は無数の綿毛を外へ飛ばして死亡した。
アニメでは男との過去が変更されている。
原作では男が「文明開化」というセリフを言っていたことから明治時代と思われるが、アニメでは数十年前になっているほか、男は曾孫が出来るほど長生きしているため、「家族のために頑張る男を見て彼のもとを去った」という設定になっている。そのため、アニメでは外へ飛ばした綿毛の一つが老人となった男のもとに運ばれ、男もそれが藍緋のものだと気づいたのか「おかえり」と呟いている。
コメント
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