全てを断ち斬り裂いて、何も残らなければいい。
プロフィール
年齢 | 不詳(江戸時代末期~) |
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所属 | 黒芒楼 |
分類 | 妖・人型、戦闘型 |
能力 | 身体から刃を出す |
CV | 平田広明 |
概要
包帯を巻き、炎を彩った和服を着たミイラ男のような風貌の人型の妖。
妖の中でも戦闘に特化したタイプ。
人物
所属する黒芒楼ではまだ若い為か尖兵的立場(幹部達からは若造扱いされている)。しかし戦闘能力は黒芒楼の中でもケタ違いで組織内では重要な戦闘員の一人。
性格は基本的に気まぐれだか好戦的かつ冷酷。それと同時に自分の強さに絶対的な自信を持つ自信家。(紫遠曰く「性格がイケイケ過ぎる」)
彼の言う「自由」はつながりから離れること=孤独(本人も「自由=孤独を恐れないこと」といっている)でありそのためか、自分と同じように孤独である限を仲間に引き込もうとした。
孤独な者に関わろうとし、孤独から解放される者を殺そうとする姿勢をみせる(限や藍緋など。)が、良守からは「孤独に耐えられなくて仲間を求めている」と指摘されている。
白が火黒の強さに目をつけ蟲を入れようとするが失敗し、そのとき自ら面白半分で黒芒楼に加わった様子。
独自の美学を持ち、仲間であっても、無様な戦い方をしたら容赦なく斬り捨ててしまう。
自分より戦いを優先させ、より強いものと戦うことを望み、そのためだったら敵であろうと殺さずに生かしておく戦闘が生き甲斐の戦闘狂である。
孤独に拘る人斬りの過去(アニメオリジナル設定)
源一郎
「何故だ… 何故勝てねぇ…」
アニメでは人間時代の描写が追加されており、「黒田源一郎(くろだげんいちろう)」という名で紹介されている。江戸時代の天下泰平の世に生まれた貧乏侍だったとされている。
ある道場の門下生の一人だったが師範代を決める勝負で友人であり恩人である坂井との勝負に負けてしまう。
源一郎
「強くなりてぇ。誰よりも強くなりてぇ」
「もっと修行すりゃいいのか? 思いが足りねぇのか?」
強さについて思い悩む源一郎は、坂井に強くなれる方法について尋ねる(昔から貧乏で食べ物に困っていたからなのか、がっつくように食べるなど育ちが悪かった模様。)。
坂井は既に十分強いと返し、かつて無頼漢に襲われた時に源一郎が加勢してくれたことを思い返す(その縁で道場の門下生となっている。)。
坂井
「得物が木刀じゃなく真剣だったら、あるいは君の方が強い。」
「君の一番の強さは、躊躇いがないところかもしれないな。」
「奥義書に“神に逢うては神を斬り、仏に逢うては仏を斬る”という言葉があるそうだ。それくらいの気概で臨めば、誰よりも強くなれるさ。」
坂井は源一郎の持つ強さを褒めるが、源一郎は坂井が何気なく口にした「神に逢うては神を斬り、仏に逢うては仏を斬る」という言葉に強烈な何かを感じていた(この言葉は、漫画『子連れ狼』に登場する「裏柳生口伝」の一節がモデルであると思われる。)。
源一郎
「へへへ… やっぱヒリヒリするこの感覚がなきゃなぁ。」
「俺は誰よりも強くなってやる。」
やがて剣客を中心に狙った辻斬りが横行するようになる。下手人は源一郎で、師範代を決める勝負で負けた理由についての坂井からの助言を取り違えて人斬りに堕ち、道場からも破門される。
ある時、森で飢えを満たしていた源一郎はある男に出会う。
次の瞬間、男に飛びかかり、男は結界で防ごうとするが源一郎はそれを斬り裂く。
男
「人でありながら我が結界を斬るとは… もはやあなたは人ではありません。鬼です。鬼ならば滅してやるのも結界師の役目。」
「絶界に触れて成仏してください。」
男の正体は間時守で、源一郎を絶界で消し去ろうとする(しかしこの時に彼が出会った結界師が時守であるというのは原作では詳しく言及されていない為、アニメオリジナル設定である)。
そして、「絶界」の脅威を本能的に感じ取った源一郎は恐れをなしてその場から逃走する。
時守
「…逃げたつもりでしょうが、もはやあなたの先には闇しかありませんよ。」
時守の力を目の当たりにした源一郎は川辺で妖を見つけ、妖の力を求めた源一郎は時守に勝てるのかと問いかけると妖達は一斉に頷き、誘われるがままに歩みを進めるが…
坂井
「目を覚ませ! こっちに戻ってこい!」
時守から居場所を聞き、後を追いかけてきた坂井が現れる。心が揺らぐ源一郎であったが…
妖達
「何を迷う? 歓迎するぜ。」
「こっちなら誰もお前を否定しない。」
「一歩踏み出せばいい。それで楽になれる。」
結局、妖の誘惑に負け唯一の友人である坂井と斬り合いになる。先手を取ったのは坂井だったが、振り下ろされる刃に対して絶望の表情を浮かべる源一郎を見て僅かに躊躇してしまい、その隙を見逃さなかった源一郎は坂井の喉を貫く。
坂井
「ふ… 不覚…」
源一郎
「へへへ… 真剣じゃ躊躇った方が負けだ。情けをかけちゃいけねぇ。」
「妖共! 俺をそっちの世界に連れてけぇ!」
唯一の友人であった坂井を斬り捨てた源一郎は妖となることを望み、雷の直撃を受け人間を捨てて妖となる(雷を受けた際に黒焦げとなり、現在の風貌に変わった。)。
火黒
「やったぞ! 遂にこっちの世界に来た!」
こうして全てを断ち斬り裂いて、完全に孤独となった人斬りは妖の世界へ姿を消していった。
能力
人皮を着た状態(行動力・戦闘力・妖力を制限された状態)でも限をも凌ぐ圧倒的なスピードを誇る。
全身から無数の刀を生やす能力を持ち、普段は掌から刀を生やしての2刀流で戦うが、戦況によっては腕や胴体から刀を生やす事により標的を引き裂き貫く場合もある。
その刃に斬られた箇所は、妖でも再生が困難になりダメージが残る程。(この特殊な能力で限は傷の再生が困難となり死亡している。)
作中の動向
茶南らと烏森を襲撃する際に初登場。他のメンバーとは異なり旧型の人皮を着ていたのにもかかわらず、良守達からは一番警戒されていた。
茶南らが良守・時音と戦闘になった際には見物しており、単身で向かって来た限を一方的に叩きのめす。
その後は追い詰められた茶南と赤亜が時音を人質に取った際、異変を見せた良守に興味を抱き、「美学がない」という理由で茶南と赤亜を殺してその場を去り、良守に眠る力と妖混じりで「ハズレた人間」の限に目をつけるようになる。
烏森への総攻撃の際には見物目的で参加しており、牙銀を追い詰める良守達の様子を見ていた。そして、追い詰められた牙銀はトドメを刺されそうになるが、直後に背後から限を奇襲して致命傷を負わせる。
限
「てめぇ…」
火黒
「ダメだよ、簡単に後ろ取られちゃ。」
「一応、答えを聞いておこう。こっちに来る気は?」
限
「…フン、ないね」
火黒
「残念。」
最後のチャンスとして限を自分達の側に誘うが一蹴され、そのまま限を殺害した。
その後は黒芒楼の混乱に乗じて逃げようとした藍緋を殺害し、限の敵討ちに燃える良守と対決。当初は良守の不完全な絶界で刀を折られるがすぐに刀の硬度を上げ、地力の差で良守を追い詰め、限は自分と同類であると語る。
火黒
「大体君さぁ、つもりになってるだけで、志々尾君のこと良く知らなかったんじゃねーの。」
良守
「お前が志々尾を語るなよ」
しかし、その言葉に怒った良守から絶界の強度が上がったと感じ取り、彼の攻撃を躱しつつ再び良守に揺さぶりをかける。
火黒
「だから苦しんでいる君のお友達にも教えてやったのさ。」
「自分を受け入れない世界など切り捨てて、己を解き放てと… 俺のように。」
良守
「何それ、お前みたいになれとでも言うの?」
「ぜってー嫌だー‼︎」
良守への揺さぶりは成功せず、むしろ自分を否定されたことに対して少し苛立つ様子を見せる。
火黒
「じゃあ気合い入れろ。」
「この刀に特別強い思いをのせるのさ… 」
「全てを断ち斬り裂いて、何も残らなければいいと。」
次の瞬間、良守をあっという間に吹き飛ばし、建物の崩落に巻き込まれそうになった良守は影宮に救われて身を隠す。そんな状況に業を煮やした火黒は怒りを露わにし、良守もそれに呼応するかのように姿を現す。
火黒
「いい度胸だ。だが-一瞬だ。」
今度こそ良守を葬ろうと攻撃を仕掛けるが、その間に影宮が割って入る。それでも火黒はお構いなしに影宮を斬り裂こうとするが…
「分かる。今ここで、俺は負ける。」
「何故俺が、こんな不自由な奴らに負ける? お前らの持ち物なんてかつて俺が否定し、捨てたものじゃないか。」
「だからか? 俺には、何もないからか?」
良守が発揮した絶界とは異なる何かに対して、火黒は戸惑いつつも自らの敗北を察し、ふと昔を思い出す。
「ただ、今よみがえるこの感覚は… この身体が今より無駄に熱を持っていたあの頃、一番確かだと思っていたものに似ている-」
人斬りとして生きていた人間時代、刀で人を斬る刹那の感覚(何も考えない一瞬)を求めており、それが永遠に続けば良いと思っていた。
それを求め続けた末に火黒はついに妖となって長い時を生きたが、求めていたものとは何かが違っていた。
「そうだ。ようやく思い出せた。」
「この感じだ。」
影宮が目を開けた時、そこにあったのは跡形もなく消滅していく火黒の姿であった。
余談
物語の終盤では良守が火黒を模して宙心丸の遊び相手として作りだした。