概要
徳島県美馬郡脇町(現・美馬市)に伝わる、脇町から隣りの新町へ向かう途中にある高須という寂しげな場所に出没したとされる化け狸。
人が夜更けにそこを歩いていると、突然道のど真ん中に大きな衝立の姿で現れて道を塞ぎ先へと進めなくしてしまう。大抵の人は足止めされた事に驚いて引き返してしまうが、強気の人は腹の下に力を入れて構わずに突き進むと、わけなくそのまま通り抜ける事ができるとされる。
ただしこのような事が出来る者は稀であり、人々はたいへん衝立狸を恐れて誰も夜間、この道を通る事がなくなった為、困り果てた付近の住人達は相談して<光明真言>を4万8千遍唱え、緑泥片岩で高さ1丈(約3m)程の石碑を建てて衝立狸を封印(僧侶が封印したとの説もある)し、以降この怪異は無くなったといわれている。
因みのこの石碑は近年まで残されていたそうだが、昭和40年に何者かに盗まれてしまい、現存していないという。