概要
隠神刑部、太三郎狸と並び“四国三名狸”の一角を担う化け狸の大将の1人。
徳島県の小松島日開野を根城としていた事から「日開野金長狸(ひがいのきんちょうだぬき)」という別名を持つ。
非常に義理堅い性格の持ち主で、かつて虐められていた所を染物屋を営む茂右衛門という人物に助けられた恩義を返す為に様々な手助けを行った事からも、彼の性格を窺い知る事ができる。
伝承によれば、まだ狸としての位が無かった金長は徳島の化け狸の総大将を務めていた六右衛門狸に弟子入りして修行に励み、遂に念願の正一位を得る寸前まで至る。
そんな金長を大変気に入っていた六右衛門狸は金長を手放す事を惜しみ、思い留まらせようと娘の婿養子に迎えようとするが、金長は六右衛門への義理に加えて残忍な性格であった師匠を嫌っていたので丁重に断った。
この事を不服と感じた六右衛門は金長の力を恐れ、いずれ自分の敵になると考え部下たちと共に金長に夜襲を仕掛けるも金長を取り逃してしまう。
しかしこの時の闇討ちで共に日開野から来ていた藤ノ木寺の鷹を失ってしまった金長は、彼の敵討ちの為(また、金長に思いを寄せていた六右衛門の娘・小安姫が金長を襲撃しようとする父を諌める為に自害するも、逆に父・六右衛門の憎しみは増長し、彼女の思いを知った金長もその思いに応える為に打倒六右衛門の決意を固めたという説もある)に同志を募って六右衛門に戦いを挑み世にいう『阿波狸合戦』が勃発。
戦いは熾烈を極め最終的には金長は六右衛門狸を見事討ち取るものの、この時の戦いで自身も大怪我を負い、その傷が元で死んでしまったという。
彼の死を知った人々は後に金長狸を弔うために金長神社を建立し、金長大明神として祀ったといわれている。