概要
香川県高松市や大川郡石田村(現在のさぬき市)などの伝承で語られる妖怪。
通行人の足にまとわりつき転ばせる妖怪で、人が道を歩いているといきなり綿の様な何かが足に絡み付いてきて歩くのを邪魔するとされている。
また、被害に遭ったものが驚いてそれに触れてみると綿のような物であったとも、尻尾の様な物であったともいわれる。
神奈川県の丸亀市綾歌町では糸状の物が足に絡み付くといわれ、仲多度郡琴南町(現在のまんのう町)では鞠状の物が転がって来て、蹴飛ばすたびに大きくなり、仕舞いには蹴ることの出来ない程の大きさになってしまい歩く事が出来ない様になってしまうとされているほか、高松琴平電気鉄道志度線潟元駅付近にも出現したと言われており、これに遭遇した者が足を振ると松の木の根に変わってしまい足を怪我してしまったという。
なお、その正体は狐狸の類だと言われているが、その姿は決して見ることはできない為、謎に包まれている(ただし『讃岐郷土異聞』という書物にははっきりと白い狸が正体と書かれているらしい)。
ちなみに大御所著の妖怪図鑑と後述する鬼太郎に登場する足まがりの姿は全く違ったものとなっている。
ゲゲゲの鬼太郎
“あしまがり”の平仮名表記で原作『妖怪あしまがり』(単行本に収録時は『妖怪花』に改題、アニメ第2期第5話)で初登場。
太鼓を持った信楽焼の狸の様な姿(伝承では狸が正体とされていることが理由だと思われる。ちなみにこの姿は大御所著の妖怪図鑑では隠神刑部として紹介している)をした妖怪。
無類の酒好きで、取り込んだ者を消化してしまう雲状の気体生物。第6期では獲物を取り込み同化したり、強力な雷を放つ事が出来る意志ある黒雲(あるいは気体生物)を飼い慣らしており、持っている太鼓を使って操る能力を持つ。
原作やアニメ第2期では妖怪花の生息地を開発しようとしている人間に、アニメ第3期では妖怪花たちと共存していた業者を乗っ取ったぬらりひょんに雇われ、開発を阻止しようとする鬼太郎と対決する。
一度は鬼太郎を気体生物に取り込み勝利を確信するが、最後はリモコン下駄で太鼓を逆用されてしまい、鬼太郎と入れ替わりに自分自身が取り込まれるという形で敗北した。
アニメ6期の設定では人間を襲うのが大好きな残忍な性悪狸という設定で登場。
かつてとある笹薮に住み付き悪行三昧を働いていたが、その事を見かねた笹の精・星華によって洞窟の奥深くへと閉じ込められて封印されていたが、偶々借金取りに追われて近くまで逃げて来たねずみ男と出会い、「埋蔵金の在りかを教える」という嘘を吹き込み脱出のために利用する。
ねずみ男は当初、人間を使って笹薮を伐採させ、それに怒って妨害してくる星華を悪者に仕立て上げて鬼太郎に排除させようとするが、明らかに様子のおかしい工事関係者の態度や星華の行動と彼女と交流を持ったぬりかべの証言。さらにねずみ男の普段の行いも手伝って小細工がバレてしまい失敗しそうになってしまう。
万事休すかと思われたが、偶々洞窟近くにやって来たぬりかべを騙して封印の大岩をどけさせることに成功し遂に復活。星華に復讐する為に黒雲を呼び寄せると雷を発生させて笹薮を焼き払い焦土へと変えてしまおうと目論み、それを止めるべくやって来た鬼太郎とねこ娘と対決。
一旦は黒雲に鬼太郎を取り込ませることに成功するが、ねこ娘に太古で黒雲を操っていることを看破され、最後は一反木綿に拘束された一瞬のスキを突かれて、太鼓と撥をねこ娘に奪われ操り鬼太郎は黒雲から脱出。その上制御を失った黒雲に今度は逆に自分化取り込まれ身動きが取れなくなった所に『指鉄砲』を撃ち込まれ黒雲諸共消滅し滅び去った。
余談
“まがり”とは香川県や徳島県、淡路島で「邪魔」や「まとわりつく」という意味の方言で、名前は通行を邪魔するという意味。
よって差別的な意味合いは全く無いのだが、ゲゲゲの鬼太郎で初登場となった2期鬼太郎の第5話の再放送は自粛されて欠番扱いとなってしまった(ただし完全に封印作品という訳ではなく、とある吸血宇宙人と違いちゃんとビデオソフトなどには収録されている)。
その影響を受けてなのか3期で登場した際も名称が“狸妖怪”と改名され、劇中でも「用心棒先生」としか呼ばれず、長らくその名前は封印状態になっていたが、第6期第63話で実に48年ぶりに“足まがり”という名前で再登場を果たした。
なお、封印された理由は公式から発表されていないが、妖怪研究家・京極夏彦氏や多田克己氏たちは名前が足曲がりを連想させ、差別的だと受け取られかねないので放送するうえで好ましくないとして自主規制したのではないかと推測している。
- 2期の足まがり回を担当したのは、平成狸合戦ぽんぽこの高畑監督である。ぽんぽこと水木しげるも関係が強い。
打綿狸(うちわだたたぬき)
香川県の伝承に伝わる化け狸の一種。
綿打屋が二件並んでいる付近に出没したとされ、普段は綿の塊に化けて道端に転がっており、「何故こんな所に綿が落ちているんだ?」と不思議に思って拾おうとすると動いて逃げ出し、しまいには空高く上空まで登って行ってしまうとされる。