概要
平安時代の洗面用具である“角盥”の付喪神で、一説には世界三大美人の1人である小野小町が“草紙洗”で使用した“角盥”が妖怪化したものであるとされている。
なお、“草紙洗”の逸話とは小野小町と同じく六歌仙の1人である大伴黒主が、歌で彼女と対決する際に、とても小町には敵わないと考えた黒主が、その前夜に彼女の邸宅に忍び込み、彼女が明日に備えて詠んでいた和歌を盗み聞きして『万葉集』の草子に書き込んで難癖をつけて失格させようと目論む。
しかし窮地に立たされた小町は、それが自分を陥れる為に策謀だと直ちに見破ると、歌が自分が詠んだものと証明する為に許可を得て歌が書かれたページを“角盥”で洗うとたちまち文字が流れ落ちて黒主の悪事が明らかとなったというもので、能の演目の1つである「草子洗小町」で広く知られるようになったという。