概要
CV:平勝伊
甲賀卍谷衆のひとり。弦之介の護衛役。
軟性に富む肉体は全身を膨らませたり縮ませたりすることができ、直接攻撃を受け付けない。
原作小説では「狆のような顔つきの肥満漢」と描写されており、漫画版のデザインでも、これを踏襲したと思われる顔つきになっている。
太っちょのお調子者で女好きであり、原作ではそのために何度か失態を演じている。
漫画版においてはアレンジが加えられ、お調子者の女好きであることは変わらないながら「その欠点を理解した上で長所に変えている」とでもいうべき侮りがたい性格となり、自らのそうしたキャラ性を利用することで相手を煙に巻いた、ととれる演出が増えている。
また、数百年の怨敵である伊賀を憎悪しているのは他の甲賀忍者と変わらないながら、TPOに応じて友好的に振る舞い、場を和ますこともできるなど正しく「空気を読める」男であり、このため伊賀へと赴く主、甲賀弦之介のお供にただ一人選ばれるなど、彼からもそういった面での信頼を得ている。
固有の忍法は上記した通り「膨縮自在の身体」であり、常人でも抜けられないような狭い隙間を通り抜けたり、打撃攻撃や締め技などを無効化する。
漫画版ではさらに強化されて斬撃すらも無効化しており、事実上「物理攻撃無効」といえる恐るべき忍法となっている(そのため、倒される時の演出が原作と漫画版で異なる)
原作での活躍
物語冒頭、数百年の因縁うずまく伊賀と甲賀の和睦を進めるべく伊賀へと赴く甲賀弦之介に、ただひとりお供として選ばれる。
弦之介と、その許嫁である伊賀の朧との逢瀬を邪魔しないために少し離れたところで待機していた時、頭上を行き過ぎる鷹が巻物をつかんでいる、という不審な光景に気づき、小柄を投げて巻物を入手するも、これを見咎めた伊賀の小豆蠟斎との忍法勝負になってしまう。
ここでは互いの忍法の相性から完勝。巻物を入手するが、そこにやってきた弦之介に諫められて巻物を本来の持ち主である伊賀側に返却させられてしまう。
その後、再び巻物の所有権をめぐって伊賀の朱絹とも忍法勝負になるが、こちらは朱絹の術で上記の「打撃無効の肉体」が機能不全を起こしてしまい敗北。巻物は伊賀へと渡ることになる。
なお漫画・アニメ版では丈助の忍法が演出強化されたためか、この朱絹との対決シーンはカットされている。
その後「朱絹に一目ぼれした」などといって細かくセクハラを働きつつも、いまだ事実上の敵地である伊賀にて「(剣呑な場の空気を読んで、あえて)無神経な言動をして場をかき乱す」という芸の細かさを披露しつつ、朧との婚礼で、このままスムーズに伊賀との和解が成る、と信じて疑わない主をサポートすべく考えを巡らせる。
その後は、朱絹によって案内された寝所が「壁や襖は鉄板仕込、窓には鉄格子」という事実上の牢獄だったものの、己が忍法を駆使して鉄格子の隙間から脱出。
その直後、様子を見に来た(実は、後述の理由であわよくば暗殺しようとしていた)朱絹をみつけて再び絡み、二度目の(漫画・アニメでは一度目の)対決となる。
しかし争いが本格化する前に弦之介・朧がきたため「自分がまたセクハラを働いて朱絹を怒らせた」と、場を納める。
実のところ丈助は、朱絹が本気で自分を殺そうとしていたと察していたが、それでも主の和睦の意志を無にせんと心遣いした結果であり、見た目に寄らず空気の読める男の本領発揮であった……
が、実はこの時点で「甲賀と伊賀の和睦」は水面下で破談しており、事態は丈助が考えるよりはるかに切迫していたのである。
この直後、更に伊賀の雨夜陣五郎を弦之介の寝所近くで発見した丈助は、明らかに弦之介の暗殺を企図したとしか思えない状況から、さすがに何かがおかしいと気づいて甚五郎を捕獲・尋問する。
しかし甚五郎から「甲賀と伊賀の和睦は破棄された」と告げられたことで驚愕。その隙をついて逆襲を許してしまい、彼に討ち取られてしまうこととなる。
この死亡時の演出は原作と漫画版で異なり、原作では「刃物は効く」ために、上記の驚愕で生まれた隙に甚五郎が刀で胴体を串刺しにする、というシンプルな方法で葬られている。
一方、漫画版では刃物も効かないため、もつれ合って滝つぼに落ちる際、忍法の発動のために空気を吸い込もうとした丈介の口に、身体の水分を放出してナメクジのように軟体化・縮小化できる忍者である甚五郎がすかさず飛び込み、窒息させて葬るという悍ましい演出になっている。
異能者バトルによくある「如何に強力な異能であっても、相性が悪いとどうしようもない」を強調した演出だと言える。
さらには死後も、前記のように「あえて空気が読めないセクハラ男として振る舞っていた」ことを逆手にとられ、弦之介が丈介の不在を問いただした時、「朱絹に懲りずにセクハラを働き、手ひどくはねつけられたので甲賀に逃げ帰った」ことにされてしまう。
弦之介もその時点では「お調子者だから、気まずくなったのだろう」と納得してしまうが、後に真相に気づいた際はその反動から深い後悔のタネとなり、恋人・朧とも殺し合う覚悟をする一因となっていく。