黒鉄将軍の誇り高き最期
くろがねしょうぐんのほこりたかきさいご
自らの野望の為なら味方をも利用してきたが、自分を慕う者の一途な想いに心を動かされ、次第にその想いに感化され、己の「野望」より命を賭して自分を救った者への「恩返し」という純粋な忠義に動かされ、最期は誇り高い騎士として、薔薇の花の如く華麗に散って逝った誇り高き黒鉄将軍の勇姿
シャドーライン幹部であるシュバルツ将軍は、闇の皇帝ゼットに仕えながら、シャドーラインの組織全体が掲げる「心の闇による支配」よりも「烈車を独占することによる路線の支配」に独自の美学を持ち、密かに闇に頼らず最強最悪の烈車軍団を組織し、地上を力によって制圧する野望を抱き、味方や自分を好いたグリッタの愛情すら己の野心のために利用するなど、目的の為なら手段を選ばない非情な野心家だったが、それでもなお自分を慕い続けるグリッタの一途に想う純粋なまでの純情さに、心を動かされ、自身の計画の為に彼女に利用したことを詫びていた。
超トッキュウオーとビルドダイオーが「超超烈車合体」した超超トッキュウダイオーとの戦いでは、超超トッキュウダイオーに圧倒され、必殺技「超超トッキュウダイオーイマジネーションエクスプレス」を食らうそうになった際、グリッタが搭乗する皇帝専用クライナーロボが自ら盾になって救われ、何故、気持ちを利用していただけの自身を助けたのかという疑問を投げかけ、それに対する彼女からシュバルツの役に立てたのなら十分で、母の言いなりだった彼女が自分の意思で何かをしたのはシュバルツ自身であった事を告白、この返答からシュバルツはそれが見返りを求めない本物の愛であることを悟る。
グリッタがゼットに吸収され、自身も粛清され、激流に消えたが、生き延び、自身の実力ではゼットに到底及ばないと考え、ゼット打倒のために明のドリルクライナー(ドリルレッシャー)を奪う為にトッキュウジャーと休戦協定を持ちかけて騙し、その隙をついて、トッキュウ6号から奪い取る事に成功した。
一見、卑怯な手段を辞さないシュバルツであったが、以前のような己の「野望」よりも命を賭して自分を救ったグリッタ嬢への「恩返し」という純粋な忠義に動かされ、ゼットへの仇討ちを誓うなど、誇り高い騎士とも呼べる性格へと変わりつつであった。
その後、ノア夫人からゼットの体内にグリッタが生きていた事を知り、ゼットから解放することを目的とし、ドリルレッシャーを取り戻す為に交戦して来た明からトッキュウジャーの為に頭を下げてまで頼むこむ明に対して「時が来れば自分の軍門に下る」という条件付きでドリルレッシャーを潔く返還、クリスマスで人々の幸福感が増し「ヤミベリ」でゼットが弱体化する時期を狙い、彼の約束を守り、自身の下へ下った明と共にキャッスルターミナルに攻め込むも苦戦、ゼットに攻撃をかける瞬間に現れたグリッタの幻影に動揺した隙に反撃されてしまう。
その後、ノア婦人との共闘で自身を囮にゼットからグリッタを解放することに成功する。
グリッタを開放したせいで、さらなる闇の力に覚醒したゼットの攻撃に負傷するも、負傷しながらゼットからグリッタを庇い、彼女に自身の命を救った事を感謝し、自身が呼び寄せた専用クライナーに押しこんで逃がし、ゼットの斬撃を受け、止めを刺されたが、
「私は貴様に勝てなかったが、貴様も私に勝てなかったな…。私は"キラキラ"を手に入れた…!!」
最期は皇帝への勝利宣言、そこには皇帝への優越感だけでなく、グリッタとの交流の中で手に入れた満ち足りた気持ちの表れで、ゼットの手に入れられなかった「キラキラ」を手に入れられたことに満足しつつ、笑いながら消滅した。
当初は闇ではなく烈車による地上制圧と最強烈車軍団を作り上げる野望の為に自分を慕うグリッタや味方を利用して暗躍し、時にはトッキュウジャーを利用するなど、目的の為なら手段を選ばないシュバルツだったが、自分を慕うグリッタの一途な想いに心を動かされ、次第に彼女への想いに感化されるようになり、グリッタを救うために自らを犠牲にして彼女を逃がすなど、誇り高い騎士とも呼べる性格となり、その最期も、彼女への想いを優先しグリッタを守る盾となるという彼なりの誇りと優しさが窺えるものであった。
その最期にトッキュウジャーやかつて自身を裏切った明も彼の死を悲しみ、残された愛用の剣を墓標代わりにし、明の手で手厚く葬られた。
また、明(ザラム)とはかつてはシュバルツとは『闇ではなく烈車の力で地上を制圧すること』を語りあった仲でもあるが、助け合いを無用の物とも考えており、「共に戦っていようとそこにあるのは自分ひとりだけ」とも語っていたが、再び軍門に下った時、彼からグリッタを救おうとする自身に対して変わっている事を指摘、(自身も明に対しては変わっている事を指摘するも、猫などを可愛がる癖は変わらないと言われていた)一度は裏切られながらも、ゼットの粛清を受けて河へ落とされた際、彼の名前を呼んだり、彼が残した愛用の剣を墓標代わりに墓を作るなど、絆のようなもので繋がれている。
ダークヒーローさながら自身に想いを寄せる者を救うために自らを犠牲にして彼女を逃がすその姿はまさに誇り高い騎士そのもので、自身が象徴する薔薇の花の如く華麗に散って逝った誇り高き最期であった