本記事に直接関係のないものの追記はご遠慮下さい。また、記事の私物化はお止め下さい。
謳い文句
ポルシェ918スパイダーは、純粋レーシングテクノロジー、日常における卓越した実用性、そして最高の性能と燃費を兼ね備えます。開発チームの責務は、高い効率性とパワフルなプラグインハイブリッド駆動を備えた次の10年間のためのスーパースポーツカーを製造することにありました。
完全な新開発によって妥協のないコンセンプトが可能になりました。つまり、918スパイダーは、効率性と性能を妥協することなく向上させる、というプラグインハイブリッドのアプローチにおける未知の可能性を明らかにしています。さらに、ポルシェはモノコックボディにおける炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の使用、アダプティブエアロダイナミクス、リアアクスルステアリング、およびエンジンの上方排気システム「トップパイプ」など、注目に値するソリューションによってテクノロジープラットフォームに新たなアプローチを取り入れました。
2013年9月4日に、ポルシェ918スパイダーは、20.6kmのニュルブルクリンク北コースでプロダクションタイヤを装着した公道仕様車として初めて7分を切るラップタイムを記録しました。ポルシェのワークスドライバーのマルク・リーブは、6分57秒のラップタイムによって以前の記録を14秒短縮しました。918スパイダーは、ニュルブルクリンクの記録によって、ポルシェによる先進的なプラグインハイブリッドコンセプトの大きな可能性を実証し、スポーティハイブリッドカーの開発における主導的役割を強めています
─ポルシェ ミュージアム プレスキットに書かれた謳い文句(後述、外部リンク参照)
概要
Porsche(ポルシェ)は2010年に本モデルのコンセプトモデルである「918スパイダー コンセプト(918 Spyder Concept)」を発表。後の2013年に市販モデルが生産開始された。
ハイブリッドカーでありながらパワフルで妥協無し。同じ頃合いにデビューした欧州のハイブリッドスーパーカーといえば他にMcLaren P1(マクラーレン P1)やFerrari LaFerrari(フェラーリ ラ・フェラーリ)が挙げられるが、パワーの観点で見れば若干劣る(P1が916ps、LaFerrariが963ps)がそれでも喰らいつきは凄まじい。コンセプトスタディから見るとこの2台はそれぞれ2012年、2013年にデビューしている為、ある意味後輩の様なものとも言える。
ルーフは任意のタイミングで脱着可能。
系譜としてはポルシェの中でも名車と名高いCarrera GT(カレラGT)を先代としている。
なお、記事タイトルの読み方の「ないんえいてぃーんすぱいだー(ナインエイティーンスパイダー)」は当地での発音の仕方に準拠している(911を「ないんいれぶん(ナインイレブン)」と言うのと同じ)。
本記事では、コンセプトモデルと市販モデルで見出しを分けてそれぞれ解説していく。
コンセプト/コンセプトスタディ (2010)
コンセプトモデルは2010年3月10日、第80回サロン・アンテルナショナル・ド・ロトで発表され、その後北京モーターショーでも公開された。
コンセプトモデルについてはレーシングゲーム「NEED FOR SPEED Hot Pursuit」(2010)にコンセプトスタディが、「NEED FOR SPEED Most Wanted (2012)」にコンセプトがそれぞれ収録されている為知っている人もそれなりに居るのではなかろうか。
走行性能をあらゆる点で高めることを意図した結果二酸化炭素排出量70g/km、燃料消費量3L/100km(=約33km/L)といったコンパクト車両並みの卓越した燃費性能と、0-100km/h3.2秒以内、最高速度320km/h、ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムが7分を切るという運動性能を両立している。二酸化炭素排出量について、比較対象としてV12エンジンを搭載するLaFerrariのそれが340g/kmな為この数値がどれ程凄い事なのかがお分かり頂けるだろう。
エンジン/モーター
メインの動力源であるRSスパイダー(ポルシェのプロトタイプレーシングカー。詳細は割愛)用を改良し最高出力506ps(370kW)/9200rpmとしたV型8気筒エンジンをミッドシップに配置。その他にフロント軸に2個とリア軸用トランスミッションに1個、合計3個、合計220ps(163kW)の電気モーターを装備している。エンジンとリアモーターは7速のポルシェ独自のデュアルクラッチトランスミッション(PDK)を介してリアホイールを駆動し、フロントモーター2個は変速比固定でフロントホイールを駆動するプラグインハイブリッドシステムである。
電池は車室後方に液冷リチウムイオン二次電池を搭載。
なお、以下の4つの走行モードを有する。
- E-Driveモード - バッテリー電力、リアモーターで走行し航続距離は最大16マイル(26km)。
- ハイブリッドモード - その名前の通りハイブリッドで走行する。
- スポーツモード - ハイブリッドで走行するが多少パワフルに。
- レースモード - ハイブリッドで走行するモードのうち最もパワフルなモード。パスボタン(push-to-pass)を押すことにより更にモーター出力を高くする事とも可能。
シャーシ
カーボンファイバー強化プラスチック製モノコックを搭載。その他の部分もアルミニウムやマグネシウムを多用し軽量化されている。ボディ、シャーシの基本はCarrera GTを踏襲しており、販売目標台数に達しなかったCarrera GTの余剰パーツが上手く再利用された。
ボディワーク
最近のスーパーカー・ハイパーカーにはおなじみの可動式リアウイングを持つが、特筆すべき事項として、コンセプト、コンセプトスタディは共に、ポルシェにしては珍しく(漢の浪漫である)サイドエキゾーストモデルである。トランクリッドの辺りには可動式エアインテークを備える。先述のNFSシリーズにおいて、速度を出すとリアウイングが展開されつつエアインテークが上方向に上昇し、より多くの空気を取り込む様子がうかがえる。
918スパイダー (2013)
先のコンセプトモデルの市販化モデル。その数字にちなんでなのか全世界限定918台の生産となった。
エンジン/モーター
4.6L V8ハイブリッドエンジンを搭載。エンジン単体の最高出力は612ps、モーターも加味すると887psを記録する。
ボディワーク
コンセプトモデルと比較して、可動式エアインテークがあった箇所がエキゾーストに変わり目を引く様なエアインテークは無くなった(上の挿絵参照)が、エキゾーストの先が空を向いた奇抜なデザインは見る者の目を引く事間違いなし。
市販化について
2011年5月13日、Porscheは918スパイダーの市販化および受注開始を発表。価格は684800ユーロ(ユーロ建てのみ設定)。生産は2013年9月18日から開始する予定とされた。
Weissach Package(ヴァイザッハ・パッケージ)と呼ばれるオプションでは、カーボンパーツの増量、ホイールの変更等により36kgの軽量化がなされている。
なお、2015年には918台全てがラインオフされた。
918RSR (2011)
2011年1月10日北米国際オートショーで発表されたモータースポーツ用バージョン。ザックリ言うと918スパイダーベースのレーシングモデル。そのゼッケン(22)は1971年のル・マン24時間レースで優勝したPorsche 917Kに由来する。
関連動画
(視聴できない場合は下記リンクをブラウザの検索欄にブチ込もう。)
→https://www.youtube.com/watch?v=Z4mbCjYV7qE
この動画のチャンネル─「carwow(日本語)」(読み方: カーワウ)でも度々登場している918スパイダー。動画中でも「神聖な家系で父がラ・フェラーリで息子がマクラーレン P1」と揶揄されている。
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