概要
さまざまな機器・装置、プログラムといったシステムへの組み込向けの超小型・軽量(物理的にも、データ容量としても)な日本語合成音声エンジン。開発版初公開は2006年5月25日(AquesTalk 公開)。2010年1月に後継となるAquesTalk2が、2017年10月には最新版のAques Talk10がリリースされている。また、さらに軽量化したAques Talk pico、ハードウェア版のAquesTalk pico LSIも存在する。
姉妹ソフトに言語処理を行う「AqKanji2Koe」が存在し、漢字に「読み」を付与して、文脈や意味に応じてアクセントを調整するためにはこちらのソフトが必要となっている。
Windows、Linux、MacといったPCのほか、iOS、Androidといったモバイル機器まで対応している。さらに、カスタムビルドとしてOSのない機器や特殊機器への組み込みも受け付けている。
音声は同じく音声合成ソフトウェアであるAITalk(VOICEROIDやA.I.VOICE)、Cevioのような、声優など「生身の人間の声」をライブラリとして利用するものではなく、完全に機械だけで作られた声をライブラリとして利用しており、独特の素朴な響きのある声が特徴である。
テキストをリアルタイムで音声に起こすことが可能であり、またシステム実装も容易であることから、幅広い場面で使用されている。身近なところではセルフレジや受付などの音声案内、電話機の通知読み上げなどに使われており、意外と耳にする機会は多い。
SofTalk(※2022年7月に契約打ち切りとなり、現在はAques Talkの音声ライブラリが使用できない)や棒読みちゃんなどの音声読み上げソフトでもエンジン・ライブラリが活用されており、(開発を除く)個人利用目的であればこれら読み上げソフトを活用した方が使い勝手が良いと思われる。
ちなみに、UTAUにデフォルト収録されている「唄音ウタ」も、実はAques Talkの音声が使われている。本記事メイン画像が彼女なのもこのため。
とくにインターネットでは「ゆっくり」の声として知られており、現在ではニコニコ動画やYouTubeなどでキャラクター画像と組み合わせた形で利用されることが多くなっている。また、ゆっくり実況などのゆっくりを利用した動画に特化した動画編集ソフト「ゆっくりMovieMaker」では、動画編集と並行して音声出力が可能となっている。
非営利使用(アクエスト側は「個人の趣味での利用」と定義している)にあたっては無償となっているが、商用利用には年間ライセンスを購入する必要がある。ただし、2011年1月以前のバージョンは商用利用でも無償である(※例えば現状旧バージョンのライブラリを利用している棒読みちゃんは無償となっている)。
商用利用は、例えば企業のシステムへの利用のほか、個人でもAques Talkの音声を利用した動画を制作し、広告を付与して(=収益化して)投稿する場合などが該当する。仮にAques Talkのシステムを採用している読み上げソフトそのものは無償利用可能であっても、収益が発生する場合はアクエストからライセンスを購入しなければならない。
詳しくはアクエストのF&Qを参照のこと。