BROTHER(映画)
ぶらざー
お笑いタレント兼監督のビートたけしこと北野武が初の日米合同によって制作されたバイオレンスアクション映画。
本作の特徴は日本の極道による仁義やアメリカのマフィアによる闇社会を入り交ぜたエンターテイメントがモチーフとなっている。
その為、映像の中には指詰めや切腹、自殺等の過激なシーンも多数披露されている。
タイトルの「BROTHER」とはヤクザ関係、異母弟との関係、日米のギャングとの擬似的関係などにおける複数の「兄弟」を意味している。
武闘派ヤクザの山本は花岡組にてその冷徹さ故に身内からも一目置かれる存在。ある日、ヤクザ同士の抗争によって組長である花岡を殺害されたことから、警察の介入もあって穏便な解決策として花岡組は解散となる。山本一派は行き場を失うが、一方で兄弟分である原田は生活のため、子分らを引き連れて敵対組織に吸収されることを選ぶのだった。やがて組織から山本を殺すよう命じられた原田は、それだけは避けたい一心で、密かに山本の海外逃亡を手引き。代わりにホームレスを殺し山本の死体に偽装する。
居場所を追われた山本は、米国留学したまま消息が絶えてしまった弟のケンを頼りアメリカへ渡る。ケンはジャンキー相手のドラッグ売人に成り下がっており、しかもドラッグ・トレードのトラブルに巻き込まれていた。山本はケンの仲間であるデニーらアフリカ系アメリカ人やメキシカンと手を組み、白人マフィアのボスたちを血祭りに上げ、裏社会でのし上がっていく。出会い頭、山本に絡んで痛い目に遭っていたデニーも、日本流のやり方に戸惑いながら徐々に彼のカリスマ性に惹かれていった。山本を慕い日本から追いかけてきた舎弟の加藤も加わり、彼らは人種や言語を超えて絆を深めていく。そんな中「兄貴に命を賭けている」という加藤は自らの命と引き替えに、日本人街のボス・白瀬たちをも山本の傘下に収めることに成功する。
ところが、この判断が組織の命を縮めることになった。白瀬たちは山本の警告を無視して過激な勢力拡大をエスカレートさせ、それが巨大イタリアン・マフィアの怒りを買った結果、凄惨な抗争に発展。「もう終わりだな、みんな死ぬぞ」という山本の言葉通り、抗争の発端である白瀬自身も外出中にマフィアの手によって死亡、仇を取るためマフィアの屋敷に押し掛けた白瀬の配下たちも返り討ちにされた。さらにマフィアは山本の傘下の者にまで手を伸ばし、一人残らず消し去っていく。
そしてケンはそのまま街を後にし、たった一人で逃げるものの結局そのまま殺された。山本もデニーと共に逃亡し、途中で別れ単身で逃げるものの、最後は逃亡先で敵のマフィアの包囲網に囲まれ、山本は抵抗することもなくそのまま一斉射撃を浴びて戦死を遂げた。
家族も殺され、ひとり生き残ったデニーは別れ際に山本から着替えの入った鞄を渡されていた。不本意ながらもメキシコへ向け単身車を走らせるデニーは、鞄の中から意外なものを見つける。
それは、かつて山本と初めて出会った時に遊んだ博打の勝ち金であり、その中には「お前の兄貴"山本“」と契りの手紙も添えられていた。国籍等関係無く今まで義理の兄弟として接していた山本にデニーは涙し「アニキ、愛してるぜ!」と綴った。