監督・ばんざい!
かんとくばんざい
これまで北野映画の主流でもあるギャングバイオレンス映画から一転し様々なジャンルの映画に挑戦しては失敗し、それを繰り返しながら、最終的に全てのジャンルを融合させたカオス映画となっている。
因みにキャストにはたけし軍団や北野映画の常連に加えて、蝶野正洋、江守徹、木村佳乃、内田有紀など豪華有名人等を揃えたスペシャルキャスティングになっている。
相変わらずギャング映画を制作し続けるたけしだが、ある日のインタビューにおいてたけしは勢い余ってギャング映画は二度と作らないとマスコミに宣言してしまう。たけしの映画はギャングをモチーフにしたバイオレンスがモットーであったが、それを二度と作らないと行った以上、以降は別のジャンルの映画を作るしか無い。
しかし、今まで彼が作成した映画の殆どがバイオレンスやお笑い映画ばかりであり、ましてやお笑い映画はウケがイマイチだった為、それ以外のジャンルの映画の作成は案の定難航し、中止や打ち切りを繰り返すばかりだった。
なお、劇中でたけしが案を出した映画は以下の通り。因み主人公は全てたけし。
定年
小津安二郎をモチーフにした庶民派の家庭映画。主人公が定年を迎えたサラリーマンを演じ作画も昭和風にシフトチェンジ。
結果
序盤から何も物語の進展のないまま30分も過ぎる映画に程無く見飽きられ、主役のたけしもサラリーマンでは無くバカな職人にしか見えないと指摘された上、小津安二郎と比べて風格がないと批判され制作中止。
恋愛映画
記憶を失った主人公とそれを支えるヒロイン。事故で失明した画家とその弟子のヒロインが支えるという2パターンで制作。
結果
双方とも序盤は良かったものの、片方は映画とは全く関係の無い脚本家が作成したことが問題となり、もう片方は目の見えない画家が描いた絵はどういうものなのかという疑問が湧き、結局解決できないままどちらも制作中止。
恋愛映画(パート2)
今度は男が女に尽くす方に作風を転換。
運転手の主人公が令嬢に恋する物。ワルの主人公がブティックの女性店員を口説く物という同じく2パターン作成。
結果
主人公が運転手だと全く話が進まない、ギャング映画は禁止されているのにギャングを出しては意味がないと次々に指摘。結局そのまま制作中止。
昭和映画
昭和時代の下町をモチーフにした映画。飲んだくれのペンキ職人の主人公が繰り広げられる家庭のドタバタ風景と当時大流行したプロレスにちなんで『コールタールの力道山』ど題して昭和の庶民日常とその光景を描いた作品。
結果
作風はそれこそ良かったものの、当時の時代は庶民という曖昧な言葉は存在せず、あるのは金持ちか貧乏しかないという現実に直面してしまう。その上、中には学校にも通えず荒んだ生活を営む残酷さを目の当たりにしてしまい、結果バイオレンス以上に酷い映画となってしまいそのまま制作中止。
ホラー映画
今まで制作しなかったたけしが初めて試みた作品。『能楽堂』というタイトルで作成し、主人公の探偵が仮面を被った怪物と遭遇する映画。
結果
怪物を表現したメイクの割には全くホラー感が無く、キャストの中には女子高生や水着美女など全く関係のない登場人物まで含まれていた。更に能楽堂というタイトルの意味もよく分からず、結局そのまま制作は頓挫し大失敗に終わる。