あらすじ
人形浄瑠璃が上演されている。演目は近松門左衛門の「冥途の飛脚」。出番の終わった二体の人形が遠くを見やると、そこには人間たちがいた。
一本の紐でつながれた男女が、当てもなく歩いていく。傍から見た子供は「つながり乞食」だと囃し立てる。
松本は佐和子と結婚を誓い合った仲だったが、社長の娘に見初められて裏切った。自殺未遂をした佐和子は、子供に帰ってしまい、口も利かない。結婚式から逃げ出した松本は、佐和子を連れて放浪の旅に出た。佐和子を拘束するためにつけていた紐を、松本は自分にくくりつけ、二人はただ歩き続ける。
一方で、ヤクザの親分がいた。自分の命が長くないことを悟った親分は、若いころに別れた恋人との思い出の公園へ赴いた。そこには別れ際にした約束通り、毎週土曜日に弁当を作って待っている恋人の姿があった。
また一方で、アイドルがいた。温井は長年、アイドル春奈の追っかけをしていたが、春奈はある日、交通事故で顔を失い、芸能界を引退した。かつてのファンが訪ねてきても、春奈は会おうとしない。そんな彼女のために、温井は盲目になっていた。
季節はめぐり、三組の男女は時間を共有していく。しかし希望が見えかけた瞬間、突然の暗転が男女を襲う。
概要
北野武の監督10作目。北野のフィルモグラフィでも特に芸術的な面が強い、異色の作品。
3作目の『あの夏、いちばん静かな海。』の系譜を組むラブストーリーでもある。なお、同作から今作まで北野映画の音楽を務めてきた久石譲は、今作以降、北野と別れることになる。理由は浅草キッドいわく、「久石の音楽が高く評価されたから」。
人形浄瑠璃の場面は、国立文楽劇場で撮影された。
今作も海外では高い評価を受けたが、特にロシアでは2年におよぶロングランを達成した。
キャスト
佐和子 - 菅野美穂
松本 - 西島秀俊
親分 - 三橋達也 / 津田寛治(青年)
良子 - 松原智恵子 / 大家由祐子(青年)
春奈 - 深田恭子
温井 - 武重勉
兄弟分の息子 - ホーキング青山
松本の同僚 - 大森南朋
春奈の叔母 - 岸本加世子
春奈のマネージャー - 大杉漣
スタッフ
プロデューサー - 森昌行 / 吉田多喜男
撮影 - 柳島克己
衣裳 - 山本耀司
編集 - 北野武 / 太田義則
製作会社 - バンダイビジュアル / TOKYOFM / テレビ東京 / オフィス北野
配給 - オフィス北野 / 松竹
データ
公開 - 2002年10月12日
上映時間 - 113分
製作国 - 日本
言語 - 日本語