MASK
ますく
冴えない主人公「スタンリー・イプキス」が、不思議な力を秘めたマスクをかぶることで、ハイテンションな怪人へと変貌して活躍する物語。
日本では実写映画版の方が有名だが、原作はコミックである。
「MASK」でのタグ登録数は少なく、ただの仮面の画像などがヒットするため、「ジム・キャリー」「映画」タグなどと一緒に検索すると良い。
MASK
ある意味変身アイテムとも言えるこのマスクは、見てくれは古びた木の仮面だが、実は北欧神話史上最大のろくでなしであるロキの力が宿った呪物である。
人の邪悪な面・破天荒な面・隠された面を倍増させて表に引きずり出す力を秘めており、これを被ると、普段とは似ても似つかない怪人へと変貌してしまう。
変貌した後の怪人はだいたい「マスク」と呼ばれる。
マスクは超人的な力を持っており、あらゆる法則を捻じ曲げたりなど、魔術と思われる力でぶっとんだ奇跡を次々に起こす。
基本的に不死身であり、たとえ体中を穴だらけにされようが、ぺしゃんこになろうが、全くダメージを受けない。
マスクに変身した者に共通する特徴として、顔が黄緑色一色になる。また、変身する際やどこかへ移動する際に、体が高速回転して竜巻のようになる。
変身する際、たびたび、ロキのあらぶる力を表すかのように、雷雲がどこからともなく現れる。
そのほか、原作・映画・アニメで設定が異なる。
原作のマスクはどちらかというとフレディ・クルーガーに近い悪趣味さを持ったダークヒーローであり、マスクに変身したものは皆、殺人願望のようなものに支配されてしまい、たちの悪いジョークのような暴虐を働く。
映画・アニメのマスクは、邪悪な心の持ち主が被るとだいたい原作のそれと同様になるが、それ以上に、陽気で破天荒な怪人になる性質が強い。特に、普段は冴えないながらも善人である原作版以外のイプキスが被ると、彼の性格を受け継いでか、はっちゃけた正義の味方になる。
また、アニメのマスクは、イプキスがマスクの状態の自分のまねをして成功を収めた途端、マスクへと変貌できなくなるという面倒な性質を持っている。イプキスが、プライドなどない冴えないダメ男としての自分を持っているときのみ、マスクへと変身可能である(最終回ではダメ人間へと戻ることでマスクの力を取り戻し勝利した)。
スタンリー・イプキスは、恋人キャシーへのプレゼントを探して入ったアンティークショップで、自らに語りかけてくる不思議な仮面を見つけて購入する。
ある夜、それを被った彼は、恐ろしい力を持った怪人へと変身し、日頃恨んでいた人々を片っ端から惨殺する。
緑色の大きなスキンヘッドと、歯の目立つ笑顔が特徴の怪人は「ビッグヘッド」と呼ばれ、恐れられることとなる。
次第にマスクの暴力性に支配されていく彼は、とうとうキャシーにも暴力を奮い、通報によって駆けつけた警察官をもまたマスクの力で持って惨殺してしまう。
自らの行いに耐え切れなくなったイプキスはキャシーの前でマスクを脱ぎ、ついに彼女の手で殺されてしまう。
しかし今度は、キャシーからマスクを預かったケラウェイ刑事が、好奇心からこれを被ってしまい、新たな怪人と化して虐殺に手を染めていく。
あらすじの通り、映画版とは似ても似つかないサイコホラーである。
暴力シーンがきついため、映画版しか知らない人は注意が必要。
だが、これはあくまで1993年まで続いたオリジナルシリーズのあらすじである。
後述する実写映画版があまりにも人気になってしまったため、これに引きずられる形で、この原作シリーズも1995年以降は映画に併せたギャグ作品になっていった。
また、2014年に発表されたミニシリーズ"Itty Bitty Comics"はタイニー・タイタンズなどで知られるアート・バルタザールが手掛けたこともあり、コミカルな内容となっている。
第一作目
絶好調ッ!!
1994年公開。チャールズ・ラッセル監督。ニュー・ライン・シネマ配給。
主演のジム・キャリーはこの映画で一躍スターになった。吹き替え版担当者は山寺宏一。
また、キャメロン・ディアスの映画デビュー作でもある。吹き替え版担当者は、ソフト版伊藤美紀、日本テレビ版井上喜久子。
コメディアンであるジム・キャリーの起用に併せて、スラップスティックなコメディ映画へと大胆に脚色された。マスクからジェットコースターの如く繰り広げられるギャグはアメリカンカートゥーンアニメのノリそのものであり、畳みかけるようなボケの描写は圧巻ですらある。
あらすじ(第一作目)
冴えない銀行員のスタンリー・イプキスが謎のマスクを拾い、それをかぶるとハイテンションな緑色の怪人に変身する…というところまでは原作と同じだが、マスクを狙うギャングとの戦いを繰り広げるという勧善懲悪のストーリーになっている。また、ヒロインである歌姫とのロマンスも展開される。
登場人物(第一作目)
スタンリー・イプキス
演:ジム・キャリー
普段はお人好しだか冴えない銀行員。そんなある日川で拾った謎のマスクをかぶると、緑色の怪人『マスク』に変身する。
マスク
イプキスが謎のマスクを被り、不死身で超ハイテンションの陽気極まりない怪人に変身した姿。ちなみにこの謎で不思議なマスクは木でできており、ロキを模したものではないかとされている。装着するとゴムの覆面の様に頭全体を覆いつくし、装着者が普段抑圧されている欲望や願望が顕になる。なお、日中にかぶっても変身できない・夜になると効果が発揮するといった制約がある。変身対象は人間以外でも可能。ちなみにマスクは自分の意思で脱ぐことができるので、意識を乗っ取っているわけではない。
なお、装着者の輪郭がそのまま(ただし歯は異様にデカくなる)である為、顔つきは装着者によって変化するが、善良な者だと陽気でお茶目だが、悪人が装着すると醜悪さが際立つ。
ちなみに原作のような残虐さはかなり鳴りを潜めているが、イプキスが初めて変身した時は「彼に塩対応する自動車整備士達に制裁としてマフラーを使ったオーバーホールをかます」「自身が勤めている銀行から大金を頂戴する」といった事をやっている。
ティナ・カーライル
映画版のメインヒロイン。クラブ「ココ・ボンゴ」の歌姫。当初はドリアンの愛人だったが、『マスク』の強烈すぎるアピールとイプキスの優しさ・誠実さに惹かれていく。
マイロ
イプキスが飼っているジャック・ラッセル・テリア。非常に主人思いかつ健気な忠犬で、特にフリスビー遊びが好き。しかしマスクをかぶると、とんでもない猛犬に変身する。
ドリアン・タイレル
映画版のメイン悪役。クラブ「ココ・ボンゴ」の従業員にして、ギャングの一員。暴力的で嫉妬深く、愛人のティナを脅して束縛する。
チャーリー・シューマーカー
イプキスの友人。軽い性格だが、彼の相談によく乗る良き理解者。
ペギー・ベラント
マスクが引き起こす事件を追う女性レポーター。アニメ版では未登場のティナに代わり、メインヒロインとして登場する。
ピーンマン夫人
イプキスが住んでいるアパートの大家で、非常に口うるさい性格。
ミッチ・ケラウェイ
マスクを追う敏腕警部。既婚者でマーガレットという妻がいるが、何故かマスクは「電話して」というメッセージと電話番号が書かれた彼女のセクシー写真を所持していた。
ドイル
ケラウェイの相棒である刑事。
1995年よりアメリカで放映。全54話。
映画版の設定を引き継いでいるが、物語を共有していない。
カートゥーンだけあってめちゃくちゃぶりに磨きがかかっている。
日本では、シーズン1のうち10話がOVAとして発売された。
主人公であるイプキスの吹き替えを、映画に引き続き山寺宏一が担当しており、凄まじい勢いでギャグを繰り出すマスクを完璧に演じている。
2005年公開、キャストを一新した公式続編。
前作でスタンリーが身につけ、最後は海に捨てられた謎のマスクは、彼同様に冴えないアニメーターのティム・エイブリーの元に流れ着き、彼によって拾われる。
あらすじ(第二作目)
ティムは魔法のマスクとはしらず、会社のパーティーでマスクを身に着けて踊り歌い酒を飲み酔ってはマスク着用のまま恋人のトーニャを連れ帰りベッドイン……子供を身ごもり二人は結婚、そしてマスクの魔力を持ったベビーである息子アルビーが誕生してしまった!
仕事と育児でてんてこ舞いの上、アルビーが魔力で悪戯を!
おかげでティムは「近所から気がふれたのか」と思われる始末。
一方、古代博物館を荒らす謎の男が登場。実は北欧神話の魔神ロキその人!
実はオーディンの命令で彼が作成した魔法のマスクを探しにやってきたのだ。
肝心の「魔法のマスク」であるが、ティムが飼っている愛犬のオーティスが着用してしまった。
登場人物(第二作目)
ティム・エイブリー
アニメ制作会社に務めており、アニメ作家志望。愛犬オーティスが川で拾ってきたマスクをかぶって変身する。
ロキ
災いの神。父オーディンからマスクとマスクの力を持って生まれた「マスクの子」を探すよう命じられる。アース神族の中で唯一変身能力を持っている。
トーニャ・エイブリー
ティムの妻で、アパレル会社の取締役。ティムからプレゼントされたパラパラアニメが宝物。
アルビー・エイブリー
マスクをかぶったティムがトーニャと情熱的な一夜を迎えた末に生まれた男の子。作中、唯一マスクなしでスーパーパワーが使える。
オーティス
ティムの愛犬。アルビーが生まれてから家族にないがしろにされ、構ってもらえなくなった寂しさから自身もマスクをかぶって変身し、アルビーを陥れようと企むがことごとく失敗する。