概要
deSPIRIA(デスピリア)とは2000年発売のドリームキャスト用ゲームソフト。開発は電脳映像製作所、発売はアトラス。
愛情・憎悪・信頼・嘘など人の心の光と闇を覗き、次々と起こる事件の真相を暴いていくRPG。
心を読んだり破壊したりする「マインド能力」を駆使して次々に起こる事件を解決するのが目的。
グロテスクな表現が多く、ネットでの画像検索は閲覧注意。
また、CERO設立前のためレイティングは行われていないが、パッケージ表面には「この作品には暴力・流血・ホラー表現などが含まれています」などの注意が記載されていた。
メインストーリーは鬱展開が多いものの、サブイベントではシュールで狂気的で個性豊かな登場人物たちとブラックユーモアな表現も多い。
元々は『ダークメサイア』の続編として開発がスタートした。
タグの使用は「デスピリア(Pixiv検索ページ)」が多い。
物語
2070年、終末戦争が起こり、大陸の殆どが焦土と化し、世界人口の三分の二は死滅してしまった。
人類は大戦に起因する遺伝子異常──心を持たない子供の誕生により絶滅の道をたどっていたが、「教会」がマインドによる治療法を確立したことで世界を救う。
教会は人類のよりどころとなった一方で、教会の教えから外れた者たちは「異端」として弾圧されている…。
「詩篇戦争」から数十年後、大阪。
異端者暗殺の任務を帯びた「教会の剣」と畏怖されるマインド使いアルーアは、列車内でターゲットの思念を走査し抹殺するため列車に乗り込む。
しかし不運にも事故に巻き込まれ、さらに世界を飲み込む巨大な陰謀の渦に導かれていく。
登場人物
※ネタバレ注意
本作の主人公。18歳。「教会の剣」「娘」と畏怖される教会のマインド使い。敵からは「教会の魔女」「死神」と呼ばれる。
異端者の暗殺などを行う『武装侍女団』のメンバー。教会最強の呼び声が高く、その強さと美貌から彼女に憧れる武装侍女団メンバーも多い。
性格は冷静沈着。基本的に無表情で笑顔を作るのが苦手だが、次第に人間らしい感情を見せていく。
ヴィ・ラザフォード
生物工学社WILの元技術主任。
残忍な性格で、趣味は殺人のホログラフを集めること。
アンドロイドに感情を与える実験を行い、アンドロイドを操って大量殺人事件を起こさせた。
教会
今の世界を支配している組織。大戦によって荒廃した世界を救ったとされる人間を教皇とし、その教えから外れた者たちは「異端」として弾圧している。
大司教ラーベン
教会の実務を取り仕切る事実上の指導者にあたる大司教。教皇オルデラはラーベンを通してしか会うことすらできない。
神の代弁者として信徒に敬われているが、彼の意に逆らった者は姿を消すという。
本来ならアルーアが任されない、子供の誘拐事件やスピリア売買の調査などの任務を命じた。
聖職者とはとても思えない性癖の持ち主。
司祭セス
アルーアやアイラの師匠。かつて教会最強のマインド使いとして活躍していたが、ある事件がきっかけで引退し、現在は教会内の草園の管理を任されている。
信者以外にも分け隔てなく慈悲をもって接する人格者だがそれ故に教会内では眉をひそめる者も多い。アルーアもその一人。
最近出回り始めた「物質化した記憶」ともいうべき奇妙なものの調査を独自に進めていた。
司祭ボイス
マインド使いを否定する「根源派」の有力司祭。
目的のためなら手段を選ばないやり口に不快感を感じる信者も多い。
ラーベン達主流派の失脚を狙っていたが……。
マルタン神父
3年前にミナミ・セントラルに赴任した神父。
頼りないところがあるが正義感ある真面目な性格。
スピリアの件で教会に不信を抱き、アルーアに「私に何かあったら教会を疑え」と告げて教会の調査に向かう。
リシュアン神父
ミナミ・セントラル近くのミディアン司教地区の神父。
かつては教会の殺し屋で「聴罪師リシュアン」の異名を持ち、死神ビリーとのコンビで恐れられた。
記憶が消えていくというマインド使い特有の病で精神と肉体を蝕まれており死期が近い。
教皇オルデラ
人類再生の盟主たる宗教組織「教会」の最高位。
元はラザロ率いる技師の一人。プロスペロとの確執により同志を連れて再生の塔を離脱し現在の教会を設立、教皇の座に就く。再生の塔周辺を異端の地として封印する。
武装侍女団
教会が異端弾圧のために組織した特殊ミッション実行部隊。
基本的に若い女性のマインド使いで構成されており、シスターズとも呼ばれている。
トウコ・エリ・マガツハラ
情報処理のエキスパート。教会の教えに忠実であり、そのためならどんな汚れ役も買って出る。
アルーアに憧れており、戦闘では序盤のアルーアと同じマインド・アルマとダークエッグを操る。
週刊デスペリアによると、公式にはアルーアと同じように戦争被災児とされているが、本当は妻帯を禁じられている司教と女性信徒の子。"誰よりも教会に忠実であろう"とする彼女の真面目すぎる性格は、教会を裏切った両親の行為を憎んでいるため。
アイラ・バニングス
アルーアの親友で、兵器システムのスペシャリスト。
華やかな容姿と明るい性格で「教会の華」と謳われる。
セス司祭に好意を抱いていた。
週刊デスペリアによると、元々信心深い資産家の娘で5歳の侍女団適性検査を合格してからは、教会の子として親元から離された。他の侍女団の者がどちらかと言えば堅い性格の者が多い中、彼女の快活な性格は家族の愛を十分受けて育った結果という。
チャニ・マハラチャニ
オセアニア大学の学生。
15歳で博士号を3つ取得した天才少女で武装侍女団の新人団員。
アンドロイド暴走事件の容疑者ヴィ・ラザフォードを調査中にトンネルでの列車事故に巻き込まれる。
ミナミ・セントラル
ビル・コルヴェノ
マフィア「ロッコ・ファミリー」のボスで、ミナミの悪党の間で「死神ビリー」と恐れられている。かつては一体を仕切っていたが、スピリア売買でのしあがった別のマフィアに押され、現在は構成員3人にまで落ちぶれている。
聴罪師リシュアンに救われた過去があり、彼に自分が思い描いた英雄の姿を合わせ見ている。
福西模型店主
精巧且つ人間のような言動をする人形作りに定評のある福西模型店の店主。
アンドロイド三姉妹を店員とし、自身は開発に専念している。
技術の腕は世界的工業メーカーWIL社が何度もスカウトするほど。
マリア
福西模型の誇るアンドロイド三姉妹の長女。
お淑やかだが一度決めたことは曲げない芯が強くしっかり者。妹達に店をまかせ、リーザの看病をしている。
パルマ
福西模型の誇るアンドロイド三姉妹の次女。
ミーハーなお調子者、よく店番を放り出して遊びに行く。
ベス
福西模型の誇るアンドロイド三姉妹の三女。
真面目な働き者で商売熱心、姉パルマの遊び癖に悩まされてる。
リーザ
1年前、ミナミを恐怖に陥れたハーメルンの惨劇の被害者。
強いマインド攻撃を受けたせいで精神防壁をなくし寝たきりになっている。
罪悪感から生きる意味を見失って起きることを拒否していた。
尼崎ブレイクタウン
セントラルの外れに位置する工業町。かつてはセントラルの基幹を担う工業ブロックの繁華街として栄えていたがいまや見る影もない。
ムーダンのママ
会員制の高級クラブ『ムーダン』のママ。
クレメンス、ゲンと共に各地からさらわれてきた子供たちを受け取り、セクター12に送っていた。また子供に強い恐怖を与える役割もあり、食べたと思われる描写がある。
マスターのゲン
バイオレンスパブ『地獄月』のマスター。
「NO.1の毒美」「食べちゃうサオリ」「引っかいちゃうミユキ」などクリーチャーをホステスとして雇うという斬新な手法で成功を収めた。
スピリア製造施設にするために工場長をスピリア付けの廃人にして屑鉄再生工場の一角を奪った。
売人のクレメンス
多くの廃人を生み出しているスピリアの売人。
その「材料」を入荷するため子供の誘拐事件にも関わっている。
セクター12
尼崎ブレイクタウンの工場地帯にあるスピリア製造施設。
数々の非道な実験が行われていた。
ドク
スピリアの技術で記憶の物質化を試していた尼崎のスピリア精製工場「セクター12」の責任者。
生物工学社WILの元技術主任ヴィ・ラザフォードと瓜二つの容姿だが、性格は冷静。
さかさハエ男
スピリアの思念実体化実験により身体がハエになってしまった男。
強くハエになりたくないと思ったことで逆に身体を変容してしまった。
虫の少女
あるクリーチャーに少女の記憶を収めたスピリアを注入することで生まれたもの。
アルーアに自分を殺すよう懇願する。
こたつ少年
高圧処理されたスピリアによって複数の人間が融合してしまったもの。
全てが合一した後で少年の意識だけが残っている。
溶けゆく男
スピリアによる肉体の思念化に成功したものの、再生に失敗し体が溶け出した男。
マトリョショカ
詩篇戦争時に製造された、白兵戦用ハードシェルをもとに造られた多機能アンドロイド。
作中ではヨショアという子供の脳を入れられた状態で、生きて帰るという強い思いからアルーアに襲い掛かる。
ソロス、ミカル、ヨアヒム
各地で誘拐され、セクター12に連れてこられた子供たちの中で生き延びていた3人。
ソロスは、スラムのハンナの息子。
ミカルは、バザールのドリーの娘。
ヨアヒムは、そえもん町のキャシーの孫。子供たちのリーダー。
3人とも特殊な情動特性を持っていたため多くの実験が行われ、体がスピリア化してしまっている。
アルーアの前に思念体として現れ、「終わらせてほしい」と頼む。
アラム
誘拐され、セクター12に連れてこられた子供。尼崎にいるアリシアの息子。
さらわれた子供たちの中でも特に非道な実験をされていたが、他の子たちを元気づけていた。
母親の記憶をなくしたことで、セツという邪神を信じるようになり壊れていき、加工処理された。パック詰めにされても死ねずに意識を保っており、アルーアを自分を迎えに来た母親と思いこむ。
セツ
アラムが作り出した邪神。
ただの妄想の産物だが、アルーアの行動次第では実体化して襲い掛かってくる。
エデン
忌むべき地、呪われた地とも呼ばれる場所。
教会設立以来、異端の中で特に反教会的な者が集まる場所とされている。
中央には「再生の塔」と呼ばれる人類再生の拠点があり、かつては『通天閣』と言われていた。
イオ
リーシュと共にアルーアを狙う暗殺者の少年。
心がなく損得だけで物事を判断する。マインドを持たないため、思念戦闘を得意とするアルーアを窮地に追い込んだ。
かつてマインド移植手術を受けるがプロスペロ技師長のミスにより失敗。二度と手術を受けることのできない状況となっている。
リーシュ
イオと共に行動する暗殺者の少女。
あどけない少女に見えるが戦闘力が高い。
イオと同様心がないが、彼と違いマインド移植手術を拒否しているだけである。
中西!
エデンのきらわれ者。
プロスペロ技師長
再生の塔の技師長。元はラザロ率いる技師の一人で、他のメンバーが去った後もただ一人再生の塔に残り、心がない子供たちへのマインド治療を続けている。技師の一人だった教皇オルデラの確執がある。
エデンの住民からは「先生」と呼ばれ親しまれている。
レンドルフ支配人
天狗堂の支配人。元はラザロ率いる技師の一人。
非常に変わり者でいつも奥の支配人室にいて、滅多に人前にでてこない。
ラザロの娘メノウに深い愛情を抱いており、彼女を助けるため強力なマインド使いを探していた。
メノウ
ラザロの一人娘、マインドを移植された最初の人間でもある。
父親の実験により思念を集めるためのサイバーネット「アゲート」と融合させられ、生かされ続けている。
レイベン
アルーアに謎のビジョンを植え付けた謎の男。
かつてメノウと意識がリンクしたためにラザロの実験によって「マインド」に変えられた。
ラザロを倒せるほどの強いマインドを持った人間を探していた。アルーアに希望を託し、彼女の精神と同化することで、アルーアをパワーアップさせた。
ヴィクトル・ラザロ
「生命の技師」を名乗る技術者。マインドの創造者であり、作中の全ての元凶。
ヴィ・ラザフォード、ドクと同一人物。
自身の身体をマインドと化し、アゲートを通じてマインド使いの喰らった記憶を喰らうことで自分の考えとあらゆる人間の考えを統一し、自らが神となって導くことを目指した。
用語
※ネタバレ注意
マインド
神から授かったとされる力。
感情や記憶が具象化したもので普通の人間は見たり触れたりすることが出来ない。マインドを操る者はマインド使いと呼ばれ他人の心を読んだり記憶の破壊、修復、受け渡しなどや、ものに残った残留思念を読み取ることなどが出来る。
人や残留思念の心を覗く「マインドダイブ」で思念戦闘が始まることがある。
本作における戦闘時の仲間、外見はグロテスクなものも多い。
マインドは「怨」「愛」「死」「絶」の属性と様々なアビリティを持っている。
但し経験値によるレベルアップはしないため、マインドの強化及びレベルアップは主にイベント戦闘で得られる「記憶素子」を付加することで行うことになる。
正確には、”マインド使い”によって生み出される、人の記憶が実体化した生命体。その存在は大戦後に確認された。
詩篇戦争で様々な実験が行われた結果、人類は肉体的な異常全てを除去することに成功したが、同時に感情、生きる欲求すら持たない子供が生まれるようになった。そんな中、ヴィクトル・ラザロ達が疑似的な生命体を移植することで人の記憶を喰う代わりに感情を放出する思念的な共生生物「マインド」を作り出し、子供たちに感情を取り戻した。
人類に救済をもたらした技師と施設のある「再生の塔」は教会と呼ばれるようになり、感情のない子供たちにマインドを移植し心を持たせる治療を行うようになる。
スピリア
蔓延しつつある新種の薬物。記憶溶剤と言われる。
強い依存性と精神や肉体を崩壊させる副作用がある。
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