魔剣X
まけんえっくす
主人公は「魔剣」と呼ばれる意志を持った武器。
「ブレインジャック」と呼ばれる魔剣の能力により、パッケージに描かれているケイや、後述するその他のブレインジャック可能なキャラクターの肉体を乗っ取り、必要に応じてキャラクターを変えながら、ワールドマップを進めていく。
キャラクターの強化要素は無く、ステージに合わせて強い肉体に乗り換えるか、敢えて相性が良い弱い肉体にするか等の戦略的な要素がある。
シナリオはマルチエンディングで、封剣士と共に人類を守る為に戦ったり、三業会と手を組んで世界を征服したり、あるいはケイを救う為だけに戦う、自らが天尊流星に取って代わって世界を滅ぼす等と、選択肢や攻略順によってシナリオが分岐する。
1999年に発売されたゲームだが未来予測として、金沢市の寿星女学館の制服を含め、中国(中華人民共和国)の経済的発展と世界への影響力から中華風なデザインが席巻している設定。
日本、金沢総合学術研究所。
そこでは証明された別次元に存在する自我であるイマージュの研究、それに基づいたイマージュ工学による画期的な医療機器、人工生命体・魔剣の開発が進められていた。
しかし、魔剣のイマージュを覚醒させたその日、研究所は香港を拠点とする犯罪シンジケート・三業会に襲撃され、研究所所長・相模広光が連れ去られてしまう。
そして、相模広光の娘・相模桂は父を助ける為に魔剣を覚醒させるも、その精神を魔剣と融合させてしまうのであった。
連れ去られた父を救う為、桂は魔剣と共に、混沌に向かっていく世界へと踏み込んでいく……。
移植版
漫画版
『魔剣X ANOTHER』
1999年から2001年にかけて『月刊マガジンZ』にて連載された林田球氏の漫画。全3巻。
2008年には、エンターブレインより『魔剣X Another Jack』(全2巻)のタイトルで再版されている。
基本的な世界観は原作ゲームに準ずるが、本作オリジナルの設定も少なくない。
林田氏初期の傑作と評される作品で、回想シーン等コピーで済むところも細かく描き直されており、金子一馬氏をはじめとする原作スタッフを驚愕させた。
小説版
『魔剣X アフターストレンジデイズ』
2000年にファミ通文庫より発売。
本作の後日談を描いた作品。
魔剣計画の最終形態「魔剣Z」を中心に、同型機である魔盾Yやイマージュ・スラッシャーと呼ばれる新たな存在等が登場する。
※八卦は歴史上の人物から、それ以外の主要人物は刀剣類や酒類の関連語句から命名されている。
メインキャラクター
魔剣
主人公。
名前はプレイヤーが設定可能で、デフォルト名は「マキーナ」。
イマージュを切り離して修正する機能を持つ、画期的な医療機器として開発されていた人工生命体。
しかし、それは表向きの顔。実際は人類浄化計画に着手する天尊流星のレプリカとしての存在であり、オリジナルである天尊流星を滅ぼし、世界の秩序を保つ封剣士の目的の為に開発された。
その為、天尊流星と同等の能力を持つ、互角の存在として作られている。その意味でタイトルコール通りのデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)である。
ブレインジャックと呼ばれる人間の脳を乗っ取る能力により、通常のRPGで人間が様々な武器を持ち替えてゆくように、様々なキャラクター達の身体を乗り換えながら戦ってゆく。
ブレインジャックされた人間は魔剣にイマージュ(=精神)を吸収され、自我を喪失する。
ただし、イマージュが消滅しても対象の脳には記憶などの情報がそのまま残されており、抽出・記録などの形で利用ができる。
最初は両刃剣の形をしているが、肉体を変更するたびにその肉体が得意とする武器へと姿を変える。
その形状は扇、スタンロッド、フランベルジュ、大鎌、ジャマダハル、スピンクロー、鉄球と多種多様。
相模桂(さがみ けい)
魔剣X(魔剣爻)
本作の主要人物。
前述のとおり魔剣とイマージュが融合してしまっている為、精神体としてストーリーに登場はするが、彼女自身を操作する意味では魔剣の器の1つに過ぎない。
生まれてすぐに母親と死別。父親に溺愛されて育った為、ストーリー序盤では自己中心的な面を見せる。
武器タイプは両刃剣(諸刃の剣)。
シナリオのルートによっては、魔剣にイマージュを完全に取り込まれ消滅する。
「桂」の名はディレクターの橋野桂(はしの かつら)氏に由来する。ちなみに、橋野氏本人は乗り気ではなかったとか。
『魔剣X ANOTHER』
主人公の一人。基本的な性格はゲーム版と差はないが、彼女の精神描写や漫画版オリジナルの展開がいくつか存在する。
武器タイプは両刃剣(諸刃の剣)etc……。
協力者
相模広光(さがみ ひろみつ)
魔剣を開発した金沢総合学術研究所の所長でケイの父親。三業会に襲撃を受けた際に連れ去られ、天尊流星にイマージュを抜き取られ、半死半生に陥ってしまう。
アン・ミラー
金沢総合学術研究所研究員で、マキーナのイマージュの遺伝的アルゴリズムの開発を担当したアメリカ人女性。
J・J・ジョーンズ
アンと同じく金沢総合学術研究所研究員で、マキーナの人工脳の制御システムの開発を担当したアメリカ人男性。態度は悪いが根は善人で、ケイと弘の身を案じ協力する。
山城弘(やましろ こう)
大富豪の息子でケイの幼馴染。ケイを救うべく世界中を巡る。
ケイの救出を最優先したルートの時のみ、プレイアブルキャラとして使用可能することになる。イマージュブースターを装着し、竹刀型に変形した魔剣で戦う。この時の魔剣はシステムが再調整された状態になっており、弘はブレインジャックされていない。
ケイを見捨てる選択をした場合は敵として戦うが、プレイヤー仕様と違ってイマージュブースターを装備していないし、一般人そのものの動きであるのも合わさり、道中のザコより硬いぐらいの強さでしかない。
ダブリン・ギネス
イマージュ理論を提唱した老科学者。しかし魔剣開発については反対しており、ブラジルの密林に隠居していた。魔剣のイマージュと融合したケイを救う方法として『逆ブレインジャック』を提案する。
封剣士
肉体の一部を失っており、自らのイマージュを高め補って超常的な能力を獲得、世界の秩序を守ろうとする組織。
李護手(リー・フーショウ)
表向きは華僑の大富豪であり魔剣開発のスポンサーであるが、その正体は暴走を始めた天尊流星に対抗する封剣士の長老である。特徴的な髪型に三つ目のサングラスを着けており、ルートによっては対立する。武器は徒手空拳で、瞬間移動能力を持つ。
李飛爪(リー・フェイチャオ)
ケイの家庭教師を務めている青年で、ケイからは「フェイ」と呼ばれている。本来の任務は封剣士としての研究所と魔剣の警護である。内臓を捨てる苦行を課している。八卦アンドレイの襲撃の際ケイを守り命を喪った。
李飛扇(リー・フェイシャン)
李飛爪の妹で、カティの弟子の見習い封剣士。八卦シャージャを倒すため、自身の肉体を魔剣に提供する。
『X』では序盤の繋ぎ程度のキャラだが、『爻』では優れた防御性能により長く活躍できる。
封剣士カティ
雑技団団長の仮面の女性で、火を司る封剣士。目的の為には手段を選ばない苛烈さを持ち合わせている。子宮を捨てる苦行を課している。
漫画版では原作以上に高圧的な言動を見せ、上記の飛爪の苦行の原因となっている。
封剣士アキナス
アテネで学芸員をしている女性で、風を司る封剣士。八卦ダルの居場所を知るバーリンカと接触していた。右腕を捨てる苦行を課している。
封剣士ラムロッド
DJを生業としている男性で、氷を司る封剣士。恋仲だったマルガレーテが八卦となってしまい、愛と使命の狭間で苦悩している。耳を捨てる苦行を課している。
彼の苦行には「音は聴こえているのか? 音を絶つのを含めての苦行なのか?」などと謎が多い。その点について攻略本のスタッフインタビューでは「ビートを感じている」とぼかされていた。
封剣士バデレール
ジャーナリストの温厚な男性で、雷を司る封剣士。実はケイの母の異母兄弟。電子ロック解除の技能を持ち、彼の力を借りなければならないステージがまま登場する。右足を捨てる苦行を課している。
三業会
天尊流星が自らの手足として興した組織。
ヒエラルキーは天尊流星をトップに、後述の幹部集団の八卦から、十六卦、三十二卦、六十四卦と下がってゆく。
上位階級の存在程、イマージュ注入の影響で異形化している。
八卦
それぞれが持っている悩みを付け込まれ、天尊流星により過去の人物のイマージュを注入され、異形と化した者達。肉体的に過剰な部分を持つ。
八卦アンドレイ
アンドレイ・チカチーロのイマージュを口から注入された兌の八卦。かつてはロシア軍に所属していたが、戦闘パラノイアに罹患し軍を追われる。自身の身長に匹敵する巨大メスが武器で、バレエのような特徴的な動作の技を持つ。口が裂けており言葉が喋れない(『爻』の攻略本では、彼のモノローグらしき文章が記載されている)。最初に戦うボスであり印象深いが、漫画版ではコミカルな姿も見せた。
八卦シャージャ
シャー・ジャハーンのイマージュを腕から注入された艮の八卦。インドの国民的大スターになるも夢を叶えたために、今後の希望を見出だせなくなった折りに天孫流星の傀儡にされ、メディアを通じてインド国民を無気力にする。国内版はシヴァ神モチーフの多腕姿だったが、海外版はヒンズー教信者に考慮して、サングラスにファンネル状の腕を持つ姿に変更された。
八卦ダル
ヴラド・ツェペシュのイマージュを耳から注入された坎の八卦。かつては伝染病の治療法を発見し称賛された医科学者だったが、副作用で新たに生まれてしまった病から隠棲していたが、天孫流星の傀儡になってからはその病を発展・悪化させた『石死病』を欧州全域に蔓延させている。杭が武器。
敵として戦う際は妨害装置で透明になって戦う。ステージの4つの時計を攻撃すれば装置を止められる……が、実は装置を止めなくてもうっすら姿が見えており、攻撃も普通に当たる。その点を抜きにしても、攻撃パターンを見切り易く、それほど強い敵ではない。更に『X』ではラムロッド使用時に限り即死を狙える。
『X』のプレイヤー時は火力が低い代わりに体力に優れ、加えて敵の大半の攻撃がガード可能、感電・石化の完全耐性を持つ(ただし、石化攻撃はダル当人しか使えない都合上、石化耐性は死に要素)上、敵の飛び道具を無効化する鉄壁ぶりを誇った。『爻』では石化耐性が実際のゲームに反映されるようになった一方、それ以外の防御特性がほぼ全て没収され、一部では「最弱」扱いされる程に弱体化してしまった。
八卦マルガレーテ
フリードリヒ・クルップのイマージュを脚から注入された震の八卦。夫であるスミス議員を愛しながらも、ラムロッドに心惹かれている己の不誠実に不安に陥った隙を突かれ、天孫流星の傀儡に成り下がって以降は、夫から欧州連合党首の座を簒奪し、BS(Brutal Stigma=完全たる恥辱)党を結成、党員全員をBS改造兵と呼ばれるサイボーグ部隊にし、欧州全域でテロを引き起こしている。非常に足が速く、蹴り技と乗馬用のムチ(ブレインジャック時はビームロッド)、障害物に当たると反射するエネルギー弾を武器に戦う。敵として戦う際は、巨大な木馬型ロボットとの2連戦となる。
海外版および『爻』ではナチスを連想するマークが、漢字の「無」をあしらったマークに変更された。
八卦ドン・マルカラ
カラカラ帝のイマージュを股から注入された巽の八卦。マフィアのドンとして我が世の春を謳歌していたが、子を成せない体質だと判明して以降は荒んでいき、自棄になった所を天孫流星の傀儡にされてしまい、欧州の飲み水に毒(自身の部下・モスギャングをすり潰して作り出した)を混入している。前述のコンプレックスが反映してか、爆弾人形を作り出す能力を有している。漫画版では恐ろしい姿を見せる。
八卦レイ
ジル・ド・レのイマージュを目から注入された離の八卦。次期枢機卿候補のメシア教の大司教でありながら、神の存在に疑問を覚えてしまい薬物に逃避していたが、天尊流星の傀儡になって以降は彼の指示により、人々に自殺を説いている。海外版ではキリスト教の天使的なデザインから、黒い翼に般若心経が書かれた姿に変更されている。補助タイプのEX攻撃を持つ珍しい肉体で、『X』では一定時間無敵になる技、『爻』では体力回復技が使用可能。
八卦ユースフ
サラディンのイマージュを腹から注入された坤の八卦。アラブの石油王だが、実兄を中心に一族郎党を追放して地位を得たせいで、常に復讐への恐怖に晒される毎日を送っていたために精神を病んでいた折りに、天孫流星の傀儡に陥り中国以外に石油輸出を禁止しエネルギー危機を引き起こしている。異形と化した腹から火炎弾や触手を出し攻撃する。海外版ではシンボルが炎の文字になった。
八卦ウィリアム
ビリー・ザ・キッドのイマージュを首から注入された乾の八卦。現アメリカ大統領だが暗殺未遂事件が原因で、弱腰になって以降は人望を失い、そこを天尊流星に心のスキを突かれ、第三次世界大戦を引き起こそうとする。ロボット好きでボディガードとしてロボットを製造・重用している……に留まらず、自身の体までロボットに改造しており、戦闘の際は自らの首を外し、戦闘用のボディに首を移し替える。戦場は電流が迸るコーナーロープが張られたリングで、第1形態(通称:ウィリアム・ロボット)の攻撃パターンは後述のX‐66と変わりないが、第2形態(通称:ウィリアム・スマート)は一転、へヴィー級ボクサーさながらのインファイトを見せる。合間にアメフトのようなタックルを繰り出してくるが、それが弱点の1つとなっている。
劉嘉伸(リュウ・カシン)/天尊流星(テンソンリュウセイ)
中国の若き総書記だったが、天尊流星によって操られている。人類を適切な数まで減らしたユートピア建設が目的であり、ルートによっては和解や賛同も有り得る。
第1形態は寄生した劉嘉伸の肉体を用いて、第2形態では本来の姿・盤古虫に戻って戦う。
一般人
稲葉郷(いなば ごう)
三業会に襲撃された飛空艇リンカードンの副操縦士。
ブレインジャックするとスタンロッドで戦う。
完全な一般人の為『X』では最弱キャラとして有名だったが、『爻』では成長に伴い最強クラスのキャラに大化けする。
バーリンカ
石死病患者の少女で、八卦ダルの娘。ファンの間では「可愛らしい」と人気があった。
ブレインジャックすると鉈で戦う。
『X』は攻撃速度に優れる一方攻撃力が極めて低く、『爻』では威力こそ高めだが攻撃速度が劣化した他、父のダルと同じ石化属性のEX攻撃を持つようになる。
サミュエル・スミス議員
元欧州連合の党首で、マルガレーテの夫。
囚人として幽閉されているが、八卦ドン・マルカラの居場所を知っている。
ブレインジャックすると鉄球で戦う。
トップクラスの攻撃力を誇る半面、体力面ではワーストクラスと、色々極端な性能の持ち主。『爻』ではEX攻撃として攻撃力バフを習得する。
サブキャラクター
三業会ソードブレイカー
三業会バズーカ
三業会クロウ
三業会ローラーブレイド
三業会キャノン
三業会グレネード
三業会アマゾン
三業会ダンサー
三業会の構成員。それぞれ動物のイマージュを注入されており、上記の通り位が上がる程に異形と化している。クロウは女性型だが元は女性とは限らず、最上位のダンサーに至っては最早、人間の姿をしていない。
シヴァ歩兵
八卦シャージャに従うリンガの頭部を備え、大盾を持った甲冑の兵士。敵よりはステージギミックの一部に相当する。
ゴーレム
アイアンメイデン
石死病患者の死体から作られ、八卦ダルに操られるゾンビ兵。
ゴーレムは大包丁を持った大男と吹き矢を持った小男が杭で串刺しにされ繋がれた姿で、両者のコンビネーションにより遠近両方の距離に対応した攻撃を仕掛けてくる。アイアンメイデンは鉄の処女による拷問を模した女性の姿で、普段は置物に扮しているが、接近すると立ち上がって蓋を開き体を貫くトゲで攻撃してくる。
ちなみに、アイアンメイデンは国内版では全裸だが、海外版では水着状のインナーを装着している。
BS改造兵・男
BS改造兵・女
BS改造兵・犬(マッドドッグ) 全てイラスト中段
八卦マルガレーテの部下で、ナチスを思わせる制服を着た覆面の兵士達。男は腹部からバルカン砲を生やし、接近すると逆卍型に手足を曲げ独楽のように回転攻撃をする。女は片手のアームを伸ばして遠距離から攻撃してくる。
犬は背中に取り付けられた爆弾で自爆攻撃を仕掛けてくる特攻兵器。装備した爆弾側に注入されたイマージュが犬を支配している。海外版では動物虐待問題への配慮から、犬を模したロボットに変更されている。
モスギャング
八卦ドン・マルカラの部下。スーツを着た蛾の姿をしたマフィア構成員。空を飛びまわり、マシンガンと蹴り技を武器に戦う。
メシア教信者
八卦レイに従う異形の狂信者達で、注入されたイマージュにより下半身が多脚のマネキンと化している。
モーターブラーク
八卦ユースフに操られた車輪のついたメカに乗る兵士達。海外版ではイスラム教風のシンボルが炎の漢字に変更された。
X‐66
八卦ウィリアムの警護を担当するロボット兵。移動速度は遅いが非常に装甲が厚く、こちらのほとんどの攻撃を受け付けない。近距離で鉄拳を振り回し、遠距離ではミサイルを放つ。ミサイル発射時に露出したミサイルポッドが弱点で、この時だけダメージを与えられる。
封剣士兵鉄弓
封剣士兵影脚
修行中の封剣士達。ルートによっては敵対する。鉄弓は箱状の鎧、影脚は『クラゲ』と呼ばれる小型の多脚メカと、敢えて身体の動きを制限する装備を身に付け、それを利用した体術で戦う。