概要
一般に「エノク書(The Book of Enoch)」といえば『第一エノク書』を指すが、『第二エノク書』『第三エノク書』を含むこともある。
複数の文書から集成されたもので、『第一エノク書』の成立は紀元前1世紀~2世紀頃とされ、当初はアラム語かヘブル語で記述されていたとされる。
現存するのはエチオピア語に翻訳されたもので、エチオピア正教会では現在もこれを正典として扱っている。
10世紀~11世紀ごろに、ギリシア語版の『第一エノク書』からスラブ語に翻訳された『エノク秘蹟書(Secrets of Enoch)』が『第二エノク書』『スラヴ語エノク書』と呼ばれるもので、エチオピア語の『第一エノク書』とは内容の一部に相違がある。
『第三エノク書』は『第二エノク書』より早い段階で成立しており、 "The Third Book of Enoch" と題されたのは近世になってからと言われる。『ヘブル語エノク書』『イシュマエルの書』『メタトロンの啓示』とも呼ばれる。
内容
「天界と地獄」「最後の審判、ノアの大洪水についての予言」などが語られており、天使、堕天使、悪魔の記述が多い。