概要
2010年代初期に2chに書き込まれた怪談で、洒落怖などネットのあちこちに掲載されている。八尺様やコトリバコなどと同様にWeb怪談を代表する有名な話のひとつ。Web怪談の中でもかなり長い部類で、後日談を合わせればもはや短編小説と言ってもいいくらいの大長編である。
「片田舎に伝わる禁忌の儀式」と「神社や寺によるお祓いの儀式」(この場合は寺)、そして「人外の化け物に取り憑かれる恐怖」「生理的な気持ち悪さ」「生きた人間の業の深さがなせる恐怖」を併せ持った構成になっており、Web怪談によく使われる要素の数多くがうまく組み合わさっている。
Web怪談の化け物には「ヤマノケ」「くねくね」「八尺様」「姦姦蛇螺」など印象的な固有名詞が付いていることが多いが、この話では登場する化け物に対して特に名前は与えられていない。
あらすじ
語り手とその友人2人の男子大学生3人組は、夏休みに海沿いのリゾート地にある民宿でアルバイトをすることになる。到着してみるとその民宿は夫婦二人と一人の女性従業員で切り盛りされており、建物は2階建てであった。2階へは外から別の扉を開いて階段を上る以外入る方法がなく1階の屋内から上がることはできないという変わった構造だったのだが、女将さん曰く現在は「2階は使っていない」のだという。
特に深く考えることもなくしばらく仕事にあたっていた3人だが、やがて女将さんが毎日夕方頃になるとお盆に飯を乗せて2階へ上がっていくことに気づいてしまう。「2階には誰かがいるのか?」好奇心にかられた3人。
そして語り手は、2階へと足を踏み入れてしまう──。