解説
1.牛について
ウシ目の動物の内、ウシ科ウシ属に分類される動物、更に狭義にはその中でもヨーロッパなどに分布していた野生種(オーロックス)から改良されて作られた家畜。
現在オーロックスは絶滅し、家畜種だけが現存する。
楔型の体型、短いが頑丈なツノ、毛の無い鼻面(生物学的には「鼻鏡(びきょう)と呼ぶ)、上顎に歯が無い事が特徴。全て植物食(草食)。
家畜としては、ヨーロッパ系の品種とアジア系の品種(インド牛、ゼブ)の二系統に大別される。古くから乳用・肉用・役用として改良され、現在はホルスタインやヘレフォード、褐毛和種などの品種が普及している。
動きは緩慢で、基本的には温厚。
ただし、興奮状態になった時の突進力は凄まじく、人間程度なら簡単に突き殺せる。
群れを成して生活するため仲間意識が強く、集団内で助け合いながら生きている。
食べた草を胃から戻して再度噛む「反芻(はんすう)」という生態を持つ。
また上顎の前歯がないのも特徴。
角は基本的にオスに生え、鹿などとは違って生え変わらず、基本的には伸び続ける。家畜とする場合には、若牛の段階で切除し、さらに断面を焼き鏝で焼き潰して生えないようにしてしまう。
マヌケそうにも見えるが頭は良く、長年飼育していれば簡単な言葉ならちゃんと理解してくれる。また肉牛として出荷されるときに、自分の運命を悟って泣く牛もいるなど、割と感情も豊か。
古来から肉・皮・(骨)・内臓・角と、あらゆる箇所が利用されてきた。
肉・内蔵は食用、皮は革にして日用品、角は工芸品として利用される。
特に肉はヨーロッパ・アメリカ圏で常用され、日本でも西日本で牛肉文化が強い。
そして牛と言えば『牛乳』。
その乳汁からは多数の加工品が生成され、人間の暮らしを潤してくれている。
なお、「赤いものに興奮する」という俗説が有名だが、本来には「ヒラヒラとたなびく物に興奮する」というのが正解。牛の目には色覚弱く、色を判別することは難しい。
闘牛で牛が闘牛士の振る布に興奮しているのは、元々入場前から興奮状態にさせられているのと、ひらひらと動く布の動きに危機感を感じて攻撃的になっているからにすぎないらしい。
2.ウシ目の動物一覧
蹄が4つの哺乳類(偶蹄類)。なお、現行の分類ではクジラも類縁だとわかったため「鯨偶蹄目」となっている。
ウシの仲間(鯨偶蹄目)
- ウシ(牛、丑)
- シカ(鹿)、トナカイ、シフゾウ(四不像)
- アンテロープ
- キリン
- ヒツジ(羊、未)
- ヤギ(山羊)
- ブタ(豚)、イノシシ(猪、亥)
- カモシカ、レイヨウ、ガゼル
- ヌー、スイギュウ
- バッファロー(バイソン)
- ラクダ、ラマ(リャマ)、アルパカ、グアナコ、ビクーニャ
- ペッカリー
- カバ
- プロングホーン
- ジャコウジカ
- アンテロープ
- クジラ、イルカ、シャチ