概要
大マゼラン星雲と小マゼラン星雲に跨る星間国家ガミラス帝国の総統。
CV:伊武雅刀(アニメ「宇宙戦艦ヤマト」、実写版「SPACE BATTLESHIP YAMATO」)
CV:石塚運昇(パチンコ「CR宇宙戦艦ヤマト」)
CV:若本規夫(PCソフト「特打ヒーローズ 宇宙戦艦ヤマト タイピング波動砲」)
CV:山寺宏一(アニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」)
旧作
経歴
ガミラス帝国崩壊後、打倒ヤマトの執念と救出された恩義から白色彗星帝国軍に客将として身を委ねていた。ガトランティス戦役からの戦線離脱、暗黒星団帝国軍との遭遇戦でのガミラス本星消失後、放浪の中でガミラスの同祖民族であるガルマン民族をボラー連邦から解放、ガルマン・ガミラス帝国を建国し総統に就任した。
性格
紳士的で口調も丁寧だが、傲慢で冷徹な統治者であり反対者を躊躇なく粛清する冷酷で慇懃な独裁者として描かれているが、その行動は私利私欲の為ではなく、国家の繁栄と自民族の存続の為である。地球の敵役ではあるが悪ではない(悪のオーラ漂う描写もあるが、全体的に悪役とは言い難い)のが、ズォーダー大帝を始めとする以降の敵役たちとの相違点である。その為、物語の進行と共に地球の存亡に命をかけるヤマトとガミラスのために戦う自分を重ね合わせて共感し始め、沖田十三や古代進に敬意と友情を感じるようになってゆく。そして次第にヤマトとともに戦う場面が増えていき、『III』で古代と仲良く談笑したり、『完結編』でヤマトが自沈した際にシリーズで初めて涙を流すなど、人間性の豊潤化も描かれた。ある意味、本作におけるもう一人の主人公ともいうべき存在である。
モデル
一見その名称やガミラス自体の元ネタからからモデルは独裁者アドルフ・ヒトラーと見られることも多いが、旧作のプロデューサーである西崎義展氏は、「あんな卑小な男じゃない。ローマ帝国の軍人皇帝をイメージした」と後に語っており、次第にガミラスプロデューサーと名乗るまでに入れ込みだした同氏は、お気に入りのキャラクターであったデスラーを主人公とした「デスラーサガ」や「デスラーズ・ウォー」なる企画も計画していた。残念ながらいずれも実現することはなかったが、『新たなる旅立ち』では彼の見せ場が多数盛り込まれ、事実上主人公と言っても過言ではないほどの活躍を見せた。
宇宙戦艦ヤマト2199
宇宙戦艦ヤマト2199において、アベルト・デスラーというフルネームが設定されている。年齢は地球の年齢に換算して32歳ほどとなっており、キャラクターデザインも現在で言うイケメンに該当するレベルへと変更されている。
これについて、デザインを担当した結城信輝氏は、パンフレットに掲載されたインタビューにおいて、
「旧作のデスラーが何歳なのかわかりませんが、古代のライバルキャラとするには、やや年齢が上じゃないかということが、当時から個人的に引っかかっていたんです。もうひとつ、今回はデスラーにローマ帝国皇帝のイメージをダブらせたのも、若くしようと思った理由でした。デスラーはあのガミラス帝国を一代で築き上げたのか、それとも代々世襲されてきた総統の地位を何らかの形で手に入れたのかはわかりませんが、いずれにせよ知略謀略なしには為し得なかったわけですから、そうした非情な辣腕家、若きネロやコモドゥスの様なカリスマであることを感じさせたかったんです。」
と語っている。
経歴
現在のガミラス帝国の前身であるガミラス公国の指導者であった叔父の後継者として公国の指導者となり、長く続いたガミラス星の戦国時代を制した英雄。
「イスカンダル主義」の信奉者であり、イスカンダル主義をガミラスに広め、民衆の統率の手段としている。イスカンダルとの大統合と同時に遷都も目論み、終盤にて「建設中の第二バレラス(スペースコロニー)の工区の一部を帝都に落下させ、惑星内に侵攻してきたヤマトもろとも帝都を消滅させる」という外道極まる手段で実現に移そうとした(ただし、臣民に多大な犠牲者が出ることは理解しており、さらにそうした手段を使うことへの罪悪感もあった。それ故に自分の手で実行してその罪を一生背負い続ける覚悟もしてはいた)。しかし、ヤマトの波動砲により落下させたバラレスの工区は破壊され、計画は失敗。デスラーはなおもデスラー砲を使って帝都を消滅させようとするが、雪とオシェット伍長が第二バレラスの波動コアを暴走させたことでこちらも失敗に終わり、第二バラレスの崩壊に巻き込まれて消息不明となった。
そのためガミラスでは公的には死亡扱いとなったが、実際はデウスーラII世共々健在であり、ヤマトを鹵獲するために亜空間内で最後の戦いに挑む。ところが、鹵獲の方はガミロイドがアナライザーと新見のサイバー攻撃で全滅したため失敗。自身もヤマト艦内に乗り込んだ際に精神感応能に過剰反応してセレステラを誤射するという取り返しのつかない失態を犯してしまい、絶望した彼女の反撃で負傷したため帰艦を余儀なくされる(当人の方もまさかセレステラを撃ってしまうとは思わなかったらしく、誤射した直後のデスラーは気の毒に思えるぐらい動揺していた)。結果、完全に引くに引けなくなってデスラー砲でヤマトを沈めようとするも、三式弾の雨でデウスーラII世の艦体が大打撃を負い、艦橋にいた部下たちも全滅、自身も重傷を負う。それでもなお、デスラー砲を発射しようと引き金を引くも、波動エネルギーの暴走に耐え切れずデウスーラII世は爆沈。母艦共々亜空間に散っていった…。
性格
旧作と比べると部下に対して寛容で意外と情もあり(その特殊能力故に囚人惑星に不当収監されていた幼い頃のセレステラとミレーネルを保護・引き取った点が顕著)、加えて全宇宙の平和を実現するために敢えて侵略という手段を選ぶなど理想の上司的な面が強化された一方で、かなり冷めた人物としても描かれており、「この星にしがみついて、何になる」と言うなど、ガミラス星への愛着もほぼ皆無。実際、ガミラス統一後は、どうも施政に倦んでいる様であり、その事もあって自身の誕生祭の催しの中で思いがけぬ敵手として目の前に現れたヤマトに強く興味を抱いている模様。また、劇中では一度自身の暗殺未遂事件が起こっているが、これに関しても退屈しのぎ程度にしか考えていなかったようだ。
また、旧作同様スターシャを愛しており、侵略という手段も彼女の思想を最大限尊守して導き出した答えである。セレステラを誤射した際の動揺ぶりから、彼女とミレーネルに対して保護者的な情愛を抱いていたのは確かであると思われる。
一方で、宴の席で乾杯の音頭に入る前に酒に酔って醜態をさらした官僚の1人(この人にはドーテム・ゲルヒンという身も蓋もない名前が設定されている)を、「ガミラスに下品な男は不要だ」と言って容赦なく粛清するなど、原作と同様の非情な面を覗かせたこともある。ただし、このような面は滅多に見せないらしく、その際はヒスはおろかセレステラですら引いていた。
633工区の落下について
2199版のデスラーにおいて、視聴者の間からは『美貌が綺麗なだけの小物』等と言う感想を持つ者も少なくない。その理由の一つとして、冷めた性格や政治を丸投げしている所からきていると考えられる。そして極め付けが633工区の落下という暴挙も含まれている。
アニメにおいては、この行為はイスカンダルとガミラスの大統合のための通過儀礼である、と当人は明かしているが、やはり尺の都合上からか、さらに詳し事は述べられていない。しかし、小説版における宇宙戦艦ヤマト2199(下巻)では、この行為に対して補足されている。
デスラーが言うには、自己保身にひた走る官僚や、再び権力を得ようとする旧貴族に呆れていた。さらに帝国臣民は、勝利を続けるガミラスは無敵であると信じ、逆に敗北に対する恐れや恐怖と言った危機感を知らないでいる。勝利には対価を必要とするのに、彼ら臣民はそれを支払おうともしない。
怖いもの知らずな臣民を目覚めさせるためにはどうするべきか。それを解決する方法が、自国民のいる都市を攻撃に晒すことであった。自国に対する攻撃は、臣民に対して危機感をもたらす重要な薬となる、と彼は考え、実行のために温存していたのである。
そして、そこにヤマトという絶好の存在が現れた。デスラーはヤマトが自分の所(総統府)に来るであろうことを考慮しつつ、予め考えていた自国民の通過儀礼をこなそうとしたと考えられる。
実際、アニメ版では、デスラーが総統府を脱出した後に『予定通りだ』と発言する辺り、ヤマトの襲撃を考慮していた可能性が高い。
関連イラスト
旧作版
2199版
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西崎義展 - (総統のモデル!?)