「さぁ、選ぶのだ!私か、死か」
これが私の概要だ
ヴィクトル・ユーゴー作『ノートルダム・ド・パリ』と、それを原作としたディズニー映画『ノートルダムの鐘』に登場する人物。
役職はそれぞれ異なり、原作ではパリのノートルダム大聖堂の助祭長で、アニメ映画では判事としてパリの治安維持を務めている。
何れの作品においても、主人公カジモドを養育し、ヒロインのエスメラルダへの愛情と神への忠誠の狭間で葛藤する姿が描かれている。
※年齢は原作に基づく。ディズニー版での設定年齢は不明だが、見た目からして原作の年齢より明らかに老けている。
性格そのものは実直で真面目。アニメ版ではとにかくジプシーが嫌いで、彼らの排斥を推し進め、自らも邁進している。但し当時は『ジプシーは動く犯罪者集団』とみなされていたため基本殺しても罪には問われなかったので、彼の行動も彼自身の立場から見れば正義の行為に他ならない。
劇中での活躍と顛末?どのようなものだ?
正義の為に 〜20年前〜
本編開始から20年前、船でパリに密入国して来たジプシー達を有無を言わさず逮捕し、そのうち一人の女性の抱えていたものを『盗んだ物』と信じて没収しようとし、追跡の末に殺してしまう。
彼女の抱えていたものは、幼いカジモドだった。
布に包まれた彼を怪物と称し、『地獄に送り返す』為に井戸に投げ込んで殺そうとするが、現場がノートルダム寺院の前だったことであまりもの非道を見かねた司祭に制止され、「(母親が)逃げなきゃこうはならなかった」「罪など犯してはいない」とシラを切るものの司祭の指摘で自らの行為が「神の怒り」に触れていことを感じ、渋々その子にカジモド(出来損ない)と名付け、寺院内で世話をすることになる。
「この化け物もいつかはきっと 役に立つ」
変わらぬ正義
彼はカジモドに『外の世界は暗くて冷たく、お前を認めない』と言い、『母に捨てられたお前を私が助けた』と信じこませ、寺院に閉じ込めていた。
さらに、戦地からフィーバス隊長を呼び寄せ、パリ市内のジプシーを根絶やしにするために彼らの隠れ家『奇跡の法廷』を潰すことに協力させようとした(このとき、ジプシーを裁判所の外壁にいた虫に例えていた)。
狂気に囚われて
道化の祭り内で晒し物にされたカジモドを助け、鮮やかな逃走術で自らに恥をかかせたエスメラルダを『聖域』であるノートルダム寺院でフィーバスに逮捕させようとするが、司祭に制止されたこともあり「石の壁の中では耐えられない」寺院内に綴じ込めておくことにする。
だがこの時既に、フロローの心情に変化が現れていた。彼はエスメラルダに恋をしてしまったのだ。
しかし、自らが悪とみなしていたジプシーの女に恋心を抱いたという事実に懊悩し、彼女を手に入れようとして暴走を始める···。
彼女が落としたスカーフに頬ずりをしたり、カジモドの助けで脱出したエスメラルダを探すために、彼女を匿った粉屋に住人を閉じ込めた状態で、見せしめにするために家に火をつけて焼き殺そうとしたり、その命令を拒んだフィーバスを死刑にしようとしたのだ···。
結果的にエスメラルダ捜索の為にパリ中に火が放たれ、街が火の海となった。
狂気の果てに
死刑にされかけ、エスメラルダに救われたフィーバスを隠したカジモドの下へ訪れ、「ようやく見つけた『奇跡の法廷』に、翌朝1000人の兵隊で攻め込む」と伝えその場を後にする。しかしそれはブラフで、焦ったカジモドが『奇跡の法廷』に辿り着くのを予期しており、その目論見通りカジモドを利用してジプシーの『奇跡の法廷』を見つけだし、そこにいたジプシー全員やフィーバスを逮捕、翌日にノートルダム寺院前で全員の処刑を実行すると宣言した。
カジモドは寺院の柱に鎖で拘束し、エスメラルダに「このままでは火炙りになるが、私になら助け出せる」と自分の女となるよう要求。
しかしエスメラルダがそれを拒否したので、火炙りを決行。
だが、自らの力で鎖を引き千切ったカジモドが彼女を救出し、寺院内に逃げ込ませてしまう。
カジモド「ここは、『聖域』だー!ここは、『聖域』だー! ここは、『聖域』だぞー!!」
激怒したフロローは寺院への攻撃を決行。
しかしその隙に、囚われていたフィーバスの解放を許してしまいフィーバスの呼び声に応じた民衆が武装蜂起し、ジプシー達を解放された上にノートルダム寺院前で大規模な戦闘が発生。カジモド・フィーバス・ガーゴイル達の活躍で兵士を殆ど撃退されてしまった。
大激怒したフロローは、カジモドを殺すことを決意。止めに入った司祭を突き飛ばし、カジモドがエスメラルダの看病をしているところをナイフを持って襲いかかるが、カジモドの反撃にあい失敗。更にカジモドから「暗くて冷たいのはアンタじゃないか!!」と自身の本質を指摘され、その後目を覚ましたエスメラルダを守ろうとしたカジモドに、自らが(結果的に)殺したカジモドの母を重ねているその事をカジモドに告白する。
「そんなジプシー女の為に命まで懸けるとはな…お前の為に命を捨てた母の姿を見ているようだ!」
カジモド「何…!?」
「お前も始末しておけば良かったんだ、20年前にな!!」
動揺した隙にマントで視界を奪い寺院から落下させようとするが、自らも落下しそうになった為にマントを利用し隣の柱に移動する。
「今度こそ神は魔女を滅ぼし、地獄の炎に叩き落としてくれるのだ!!」
カジモドの手を掴んでいたエスメラルダを斬りつけようとするが、『神の怒り』を買ったのか、彼はノートルダム大聖堂の獣の像の怒りの顔を見た。そして乗っていた足場が炎の中へと落下し絶命する。
最期まで自らの正義を信じて疑わなかった男が、『神の怒り』を見て何を思ったのか。そして、『神の怒り』は動くガーゴイル像達のようにこの世に具現化したのか、それとも彼が見た幻だったのか…?
私の余談だ!
- 某動画サイトでは彼のエスメラルダに対する歪んだ思想と性格よろしくでかなり壊れたフロローが人気である。キャラ崩壊が凄まじい物もあるので、公式設定との混同は絶対にしないように。