ビリーバット
びりーばっと
『BILLYBAT』お前は黒か白か?
現実とは少し違うパラレルワールドを舞台に繰り広げられるアドベンチャー。
本来の世界との違いは、そう世界的に有名なキャラクターがネズミではなくコウモリなのである。
さらにアメリカのシンボルであるドリンクはコカ・コーラでなくゴールデンコーラだった。
はるか太古よりこれまで歴史の裏側で暗躍してきたのは「BILLYBAT」、コウモリであった…
手塚治虫の火の鳥に影響を受けた作品で、太古→(近代1)→古代→(近代2)のように過去と現在がコウモリを軸に絡み合っていく。
『BILLYBAT』年表
第一部あらすじ
戦国時代初期の日本 | 百地三太夫の命で忍者・カンベエはある巻物を運ぶ… |
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1950年代 アメリカ | 第二次世界大戦も終わった1949年のアメリカ。ソ連邦との冷戦が始まり、「赤狩り」の嵐が吹き荒れていた。日系アメリカ人、ケヴィン・ヤマガタ(以下ケヴィン)は自分の連載漫画「ビリーバット」とよく似たコウモリ漫画が日本にある話を聞いて単身向かうことに。だが漫画の仕事を止めるわけにもいかず、助手のチャック・カルキンに代筆してもらうことに |
1960年代前半 アメリカ | ふとしたことでチャックの描いた「かわいい瞳のビリーバット」がテレビアニメ化され、ついには遊園地が建てられるくらいの人気ぶりになっていることに気付く。いつの間にか「ビリーバット」の作者は“チャック・カルキン”だといわれるようになってしまっていた。一方のケヴィンは、南部の片田舎へ身をひそめ新作を執筆していた。 |
1963年 アメリカ・ダラス | ケヴィン、ダラスへ赴きオズワルドに接触し警告を与えるなど、奔走する。ジョン・F・ケネディ暗殺を阻止できなかったものの一人の少年を助けた。その名はケヴィン・グッドマンだった。 |
1964年 日本・紀伊半島 | 再び日本を訪れるケヴィン。一方、光森(コウモリ)村なる辺鄙な村に、ビリーランド建造のために村を売ってほしいとアメリカよりデヴィヴィエと名乗る男が訪れていた。そこにはなんとケヴィンが師と仰ぐ雑風がいた!日系アメリカ人ジャッキー・モモチ親子もコウモリ村を目指していた。 |
第二部
1981年 アメリカ・ニュージャージー州 | ゴールデンコーラ社の子息ケヴィン・グッドマン青年を中心に新章突入。大学生のケヴィンは、真面目に登校せず夜な夜な街に出て壁に絵を描く生活を送る。だが自分の描く壁絵が次から次へと取り壊されはがされる事態に疑問を持つ。そんな彼の前に、美女オードリーとスミス老人が現れた。 |
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主な登場人物
※付きは「コウモリ」が見える人
第一部
ケヴィン・ヤマガタ※
初代・主人公。日系アメリカ人で日本名は「山縣金持(やまがたきんじ)」
元進駐軍で日本語通訳を行っていた漫画家。
「ビリーバットに似た漫画が日本で連載されている」と聞き日本へ向かった事で、下山事件をはじめとする様々な陰謀に巻き込まれる。
ビリーバットに翻弄されついに1964年、日本・和歌山コウモリ村にて狙撃され死亡。
彼の描くビリーは「タンタンの冒険」を想わせる探偵冒険モノだった。
ジャッキー・モモチ※
日系アメリカ人の少女。名字の「モモチ」は「百地」と書く。
偶然手に入れたケヴィン名義のコミックを読んでいるときにビリーバットの幻影に語りかけられ、
彼に導かれるまま父・ランディと共に日本へ向かうこととなる。
また、父子二人ともビリーバットの声が聞きとれる。
さらに作中に登場する戦国時代の侍、百地三太夫直系の子孫。
唐麻雑風(カラマ・ゾフー)※
時期的にケヴィンより先にコウモリの漫画を描いたとされる男。
昔、戦争前の時期に見たコウモリの落書きがきっかけで漫画家になった。
彼もまたビリーバットの幻影が見える。現在、行方不明。
彼の描くビリーが無事に連載されていればのらくろのような漫画になっていたかもしれない?
勘兵衛※
戦国期の人物で百地丹波守からコウモリの巻物を運ぶ密命を受けた伊賀忍者。
優れた忍者であり、特に上忍達からは(本人は無自覚なフシがあるが)「卑怯さ」を評価されていた。
任務の為ならば同郷の友人すら斬らねばならない忍の世界に嫌気が差し、巻物を隠して隠居。その場所が後のコウモリ村となった。
師匠(本名不明)※
胸にコウモリの刺青をしたスキンヘッドの巨漢。
留置所にて日本の敗戦を予言した事で投獄された紙芝居屋時代の雑風と出会い、壁に描いた絵に感銘を受けた彼から師匠と呼ばれるようになる。
ある目的からアメリカに渡るが…。
ヘンリー・チャールズ・デヴィヴィエ
一見、不動産の代理業者かとおもいきや、実はチャック・カルキンの部下で冷酷な殺し屋。
目的は雑風が手掛けたビリーバット作品の始末、そしてコウモリ村にあるとされる「お宝」の発見。
日本人に父親を殺されたという生い立ちを持つ。
ゲイリー・デヴィヴィエ
ヘンリーの父である刑事。
1924年にL.Aの日本人街で起きた日系人連続殺人事件の捜査を担当するが、実は彼こそがその犯人だった。
師匠と刺し違えて死亡。
シシー
ロサンゼルスの花売り。ヘンリーの母。
助手のチャック・カルキン
彼こそが本物の助手、メガネをかけたデカ鼻男。
漫画の代筆をした途端、作風は変わり人気は下がり打ち切り寸前のところある人物にスカウトされる
しかしそれは豪邸にほぼ軟禁状態に…ついに2代目ケヴィンと接触する。
チャック・カルキン
カルキンエンタープライズ最高責任者。ケヴィンの知るチャックとは似ても似つかない別人の男
本物をうまくだまして漫画の連載を描かせて大富豪となった。
その正体はナチスの残党。脱走兵として収容所で処刑される所をヒトラーにその商才を見込まれ、「コウモリの絵」を世に広めるためアメリカへ送り込まれた。
チャーリー・イシヅカ
ケヴィンの進駐軍時代の旧友。
焚書する古文書を調べる仕事をしていたが、コウモリに関する写本を持ち出したため暗殺された。
スミス
CIAのエージェント。
思想的に疑惑のあったチャーリーについて調査するうちにケヴィンと出会い、以後彼を取り巻く事件と度々関わる事になる。ケヴィンの漫画のファン。
第二部にも登場。老齢で度重なる戦いで片方の目をなくして眼帯をしている。
フィニー
コウモリが見える人物と古文書を追うエージェント。
シズコ
逃亡中のケヴィンを匿った娼婦。来栖により殺害される。
第二部
ケヴィン・グッドマン※
ゴールデンコーラ社の御曹司
昼はニュージャージー州の不真面目大学生、夜はゲリラアーティストの青年。
幼いころからビリーバットの幻影と会話ができる。
オードリー・カルキン
自称画商の女、かなりグラマーな白人女性。名字の通り実は“ニセ”チャックの娘である
彼女もビリーバットを手掛けているのが父ではなく本物のチャックであることを知る数少ない人物
グッドマン夫妻
かつてゴールデンコーラの製造工場に務めていた黒人女性が、
現場監督として出向していた白人男性に見初められて結ばれた。
いまや父親である白人男性が現在ゴールデンコーラ社長にとなっている。
ランディ・モモチによって破局しかけた恋仲を立て直してもらった過去がある(第2巻参照)
コニー・アケチ
本名・明智小太郎。日本特撮映画の巨匠。
アメリカ政府の要請で偽の月面の映像を撮るが、本物の月面の映像とそれに写ったコウモリの落書きを見てしまった事で秘密機関の監視を受ける事になる。現在はアメリカでB級ホラーの製作に携わっている。
代表作は怪獣映画「大怪獣カズラ」(現実世界のゴジラにあたる)。実はこの映画の背景に初代ケヴィンが昔見た落書きが映っている
クルス・セイジ(来栖清志)※
第1部から暗躍している人物。
彼もまたビリーバットの声を聴くことができる。
イタリアのアグレーニ※
直接の登場はなく、会話にて名前がたびたび登場。彼の手掛けた二次創作ビリーバット。
内容が出筆した数年後に実在の事件に…後に不審な死をとげた。(デヴィヴィエによる偽装殺人)
作中に登場する偉人達
下山定則
国鉄総裁。
落書きや雑風やケヴィンの漫画などでその暗殺を予言されていた。
白洲次郎
実業家。
日本橋のサロンで暗殺されそうになったケヴィンを救う。
メシア(救世主)として名を遺した人物。
かつてユダに請われ「神の姿」としてコウモリの絵を描くが、それはユダの頭の中にあるものを写しただけと語る。
幼少期から二人のコウモリが見えていた人物。
師であるイエスを売り渡した事を嘆くが、それすら歴史の筋書きの一つに過ぎなかった。
宣教師。
幼い頃、洞窟の壁画からの啓示を受けて遥か東方を目指す。
コウモリ村の巻物は彼が記したものであった。
ヤジロウ※
勘兵衛を助けた謎の老人。その正体は伊賀忍者にしてザビエルの弟子・耳須弥次郎。
病床のザビエルから巻物を焼き捨てるよう言われるが、巻物の力の誘惑に勝てず日本に持ち帰った事を後悔していた。
百地丹波守
勘兵衛に巻物を運ぶ任務を与えた伊賀の上忍。
丹波守の息子。
老人となった勘兵衛の元を尋ね、密命を放棄した彼を斬ろうとするが、その後ろに現れた巨大なコウモリの影に恐れをなし逃走。
明智光秀※
織田信長に仕える武将。
二代目服部半蔵の放った鷹を偶然撃ち落し、鷹の持っていた「黒蝙蝠寫本」(コウモリ巻物の写本)を拾った事が彼の運命を変えた。
顔立ちから映画監督の明智は彼の子孫である可能性が高い。
天才的な物理学者。
若き日の雑風に世界の真実を教えた。
自称スパイの青年。歴史に名を刻む英雄になることを望んでいる。
ジョン・F・ケネディ暗殺を阻止しようと奔走するが、ケネディを殺した男として世間に名を遺してしまった。
ナチスの指導者。
“ニセ”チャック・カルキンをアメリカに亡命させた張本人。
名前のみ登場。
デビュー作の『新宝島』はケヴィンや雑風にただならぬ才能を感じさせた。
劇中劇
ビリーバット(ケヴィン・ヤマガタ版)
コウモリを主人公とした漫画。カルキン版の台頭で世間では偽物扱いされるが根強いファンを持つ。
ケヴィンが日本に発つ直前には大統領選に関する陰謀を描いたハードボイルドな探偵もの、それ以前には砂漠やジャングルを舞台にした冒険活劇だった。
後にケヴィン・グッドマンにより同様の作風のものがカルキン・エンタープライズから出版されて復権した。
日本出発前はマーブルコミック、ケヴィン帰国後はL.Aのフジヤマ出版から出版された。
ビリーバット(チャック・カルキン版)
ケヴィンが日本へ行っている間にカルキンが代筆した作品。ビリーの目がパッチリしているのが特徴。
人気が急落して打ち切られたが、偽カルキンの手腕により全米を代表する漫画となる。
こうもり小僧の大冒険
唐麻雑風の漫画。
ケヴィン同様にコウモリが主人公で大正時代から出版されている。
テキサス捕物帖ピストルヘアー荒野を行く
ケヴィンの西部劇漫画。
岡っ引のサブキチが群保安官(マーシャル)として十手で西部の無法者と戦う。
「ピストルヘアー」とはサブキチの髷をピストルの銃身に例えたもの。