概要
服部半蔵とは、伊賀忍者の頭領である。服部家代々で襲名される名であるため歴史上では「服部半蔵」を名乗る人物は複数いる。
中でも徳川家康に仕えた2代目半蔵こと服部正成(はっとり まさなり/まさしげ)が有名で、普通「服部半蔵」と言えば彼を指すことが多く、本稿で記述する。
忍者と言えるのは初代半蔵の服部保長だけであり、2代目以降は忍者というより武士と言った正確である。
「服部半蔵(歴代)」の記事も参照
2代目服部半蔵の概要
江戸幕府初代征夷大将軍・徳川家康の家臣。
徳川十六神将の一人。通称は半蔵。諱は正成。
忍者として語られることが多い人物だが、あくまで忍者を統率する立場にあっただけで、彼自身は影働きではなく戦場での槍働きが多かったため忍者ではなく武将であるとされる(ただし、忍者としての訓練も受けていた可能性は高く、実際に戦での働きにおいても忍者の如き俊敏さがあったとされている)。
槍の達人で、同時代の渡辺守綱(槍半蔵)と並び、「鬼半蔵」と称された。
服部氏は千賀地氏、百地丹波の百地氏、藤林長門守の藤林家の先祖であり、この三家は「伊賀の三大上忍」と呼ばれた家柄である。
生涯
父・服部保長は伊賀の出身で、元々の姓は千賀地であったが、一族を引き連れて伊賀を離れ室町幕府の12代将軍である足利義晴に仕えた際に旧姓の服部に改め、その後は衰退した室町幕府に見切りをつけ、三河に移り松平家に仕えた。
通称は半三または半蔵とされる。正成はその保長を継ぎ、服部家の2代目として家康に長く仕えた。
忍者のような工作や諜報は「影働き」と呼ばれ、戦場で直接的に戦う「槍働き」に比べ著しく評価が低かったため、保長は正成を武将として育て、上記の槍半蔵こと渡辺守綱と並び称される槍の名手となり、戦場で多くの勲功を挙げた。
半蔵の墓のある西念寺には生前愛用した槍が奉納されているが、現存する部分だけで258cmという、忍者のイメージに全くそぐわない巨大なものである。
そんな剛槍を振るい猛る姿から、正成は「鬼半蔵」と呼ばれる近在でも名の知れた猛将であった。
とは言え情にも厚く、信康事件で家康の長男・松平信康が切腹する際に自身で介錯するに忍びず同行していた他の武士に頼んだとされる逸話がある。
本能寺の変が起こった時、正成は堺にいた家康の明智光秀勢から逃れる「伊賀越え」の先導を務めた。これ以降、伊賀者を率いての影働きが多くなったといわれる。
これ以前、織田信長の「伊賀焼き討ち」に際し、そのアフターケアに回ったのがほかならぬ家康であり、正成はこの時の恩義に伊賀者たちが報いてくれることに賭け、その賭けは見事成功することになる。
このことから正成はさらに家康の信頼を高め伊賀組同心の統率者となるが、慶長元年(1596年)に亡くなり子の服部正就(半蔵)が職務を継いだ。
余談
服部家は息子の正就の器量が父に到底及ばなかった上に、伊賀組同心達を家来扱いして恨みを買ったのが原因で職を解かれ、首謀者を殺害したついでに無関係な者を人違いで殺害した為、改易し浪人となった(ただし、これに関しては近年に創作説が出始めている)。
兄に代わって半蔵を継いだ旗本で弟の服部正重も妻の父の大久保長安の関係者として改易され浪人になった。
服部兄弟の子孫はのち、正就の妻の実家の久松松平家(桑名藩)に仕えた。ちなみに「半蔵」の名は正重の子孫が継承している。
ちなみに半蔵正成が住んだ屋敷が江戸城の西側の門前にあったことからその門は「半蔵門」と名付けられるほど、家康の信頼は厚かった。
創作作品における服部半蔵
個別記事有り
史実の歴代服部半蔵をベースとしたキャラクター
- 『サムライスピリッツ』のキャラクター。→服部半蔵(侍魂)
- 『ワールドヒーローズ』のキャラクター。→ハンゾウ(ワールドヒーローズ)
- 『戦国無双シリーズ』のキャラクター。→服部半蔵(戦国無双)
- 『パズル&ドラゴンズ』のキャラクター。→服部半蔵(パズドラ)
- 『モンスターストライク』のキャラクター。→服部半蔵(モンスト)
- 『にゃんこ大戦争』のキャラクター。→服部半蔵(にゃんこ大戦争)
- 『戦国 A LIVE』のキャラクター。→服部半蔵(戦国ALIVE)
- 『Fateシリーズ』のキャラクター。→服部半蔵(Fate)
服部半蔵をモデル・元ネタとする関連キャラクター
- 『銀魂』のキャラクター。→服部全蔵
- 『キン肉マンⅡ世』のキャラクター。→ハンゾウ
- 『NARUTO』のキャラクター。→半蔵(NARUTO)
- 『名探偵コナン』のキャラクター。→服部平蔵
- 『忍者ハットリくん』のキャラクター。→ハットリカンゾウ
- 『とある魔術の禁書目録』のキャラクター。→服部半蔵(とある魔術の禁書目録)
- 『妖怪ウォッチ』のキャラクター。→ハンゾウ(妖怪ウォッチ)
戦国乙女シリーズ
アニメ版『桃色パラドックス』に「服部ハンゾウ」というくノ一が登場。
全員同じ顔をしたチーム。
ガンリュウ
柳生宗矩と手を組み他流剣術廃絶を推し進める「柳生忍軍」の頭領として登場。目的のためなら手段を択ばない冷酷な人物。
相手の体内に直接打撃エネルギーを撃ち込む「波動拳」「波動脚」を使う。
しかしその正体は戦国の世の怨霊「禍鏤魔」の器にすぎず、禍鏤魔が柳生十兵衛(半蔵に深手を負わせた)に乗り移ってからは別人のように痩せ衰えてしまった。
BRAVE10
CV:櫻井孝宏
徳川幕府の忍頭。真田十勇士達にとって目下最大の宿敵である謎の青年。
伊賀異形五人衆を従えている。
家康や秀忠との年齢差を見る限り、正成ではなく三代目・服部正就と思われる。
なお、巻末に収録されている大場快の『殿といっしょ真田十勇士編』においてもそれらしき人物が登場している。
信長の忍びシリーズ
CV:VALSHE
伊賀上忍の家系の出身だが、既に武士になっているため忍者ではない(忍術は使える)。明るく目立ちたがり屋でハデ好きのため、父(先代半蔵・服部保長)からも武士を目指すよう言われていた。長身で童顔、女受けがよいため助蔵からは激烈な嫉妬を受けている。
家康とは同い年のため同輩や兄弟のように貴賤なく扱っている。
『軍師黒田官兵衛伝』では本能寺の変を受け、家康の伊賀越えをサポートした。
タイムボカン24
CV:石田彰
元々は忍術も使えるようだが、イリュージョニストとしてハンゾパワーを披露し、この時代でエンタメを提供していた。
それ以外の詳細は真歴史の項目を参照の事。
ラヴヘブン
乙女パズルゲームの攻略キャラクター。初期レアリティはRでの登場。
黒髪三白眼の男性。異世界の危機を救うため、主人公により召喚された。
真田丸(大河ドラマ)
伊賀越えのシーンで登場。
「全力で押し通ります!」の台詞は有名。
忍び、恋うつつ
CV.石川界人
乙女ゲームの攻略キャラ。
どうする家康
演:山田孝之