概略
平和は無い。休息も無い。慰めすら無い。
赦しなど、ある筈も無い。
暗黒の遠未来に唯一残ったもの。それは──戦争。
「ウォーハンマー40,000」は、英国のゲームメーカー、「ゲームズワークショップ」社(以下GW)が展開する、戦争だけが残された遠未来の銀河を舞台としたミニチュアバトルゲーム、または、このゲームを元とした派生作品のことである。
我が国では展開開始から日が浅い( 展開開始は2006年より )事もあり、知名度は決して高くないものの、このゲームは1987年から展開しており、本家本元の英国をはじめ、ヨーロッパおよび米国における本作の人気は高く、ビデオゲームや小説の題材としても度々取り扱われている。
ウォーハンマー40,000
41千年紀( 紀元40000年台 )の銀河戦争を扱うシリーズで、40k( フォーティーケー )等とも呼ばれる。
現在最新のルールは第7版。
ダークな狂気や悲壮さが強調されており、皮肉めいた描写も盛り込まれており、皇帝への狂信的な信仰や、驚異的な破壊力を持つ巨大兵器など、ファンタジーバトルとはまた違った魅力を持つ。
かつての世界設定では、混沌に侵されつつある中世という設定のファンタジーバトルと世界観を共有していたこともあり、オールドワールド世界の宇宙で行われている戦争という設定であったり、その四万年後という設定であったりした。そのため異種族や混沌勢力なども、オールドワールドと共通しているものがあり、そういった部分でニヤリとさせられる部分も多い。
しかし現在では両者の繋がりは曖昧にされ、プレイヤーが推測を楽しむ程度に収まっている。
【Warhammer 40,000】ルール遍歴
Rogue Trader
このゲームの初版であるウォーハンマー40K:ローグトレーダーは1987年に発売された。
このゲームはブライアン・アンセルとリチャード・ハリウェル、リック・プリーストリーの3名により作成された。ちなみにこの3人はファンタジーバトルのデザイナーである。
おそらくファンタジーバトルの第3版を基準にしたと思われるが、初の小規模バトルゲームの為にルールが混乱した状態で、ダイスの数で圧倒するゲームとなってしまう。
GWの雑誌「ホワイトドワーフ」で追加アーミー( 駒となる軍隊 )が次々に発表され、ルールを修正、サポートしていった。
第2版
第2版は1993年に発売された。
このエディションからはアンディチェンバース( 作家、ゲームデザイナー )の元に開発が進められ、大規模戦闘を可能にするルールやミサイルやスペースマリーン及びオルクの兵器を追加した。
また、アートワークや背景史などの資料がBoxセットに含まれた。
第3版
第3版は1998年に発売された。
第2版で拡大された戦場の規模を合理化して大規模戦闘をスムーズにする為のルール改正がなされ、ディーモンハンター、タウ・エンパイア、ディーモンの3種のアーミーが追加、それぞれのアーミー資料、新アーミーのアートワーク、アーミーリストがBoxセットに含まれた。
ちなみにこのルールで追加されたタウ・エンパイアの反響は良く、それによりウォーハンマー40,000の人気が上がった。
第4版
第4版は2004年に発売された。Boxセットにはスペースマリーンとティラニッドが戦うシナリオ、【Macragge(日本語名:マクラーグの攻防)】が附属。
それまでのルールの追加により機能しなくなった第3版のルールを見直し、円滑にゲームが出来るよう改良した。
改めて銀河史やアーミーの背景などを整理した形となり、新しいアートワークをふんだんに盛り込んだBoxセットとなった。
更に、このルールにおいてそれまでの設定であったオールドワールドの40,000年後と言う設定が改められ、別世界( パラレルワールド )と位置付けがされた。
ちなみに日本語版はこのルールから。
第5版
2008年7月12日に発売された。Boxセットにはスペースマリーンとオルクが激突する【Assault On Black Reach(日本語名:ブラックリーチ強襲)】 が附属した。
第6版
このルールは2012年6月30日に基本ルール以外の補足ページが追加されたハードカバールールブックとして販売された。
ただし、Boxは発売されていない模様。
第7版
2014年5月17日に発売された。
Boxセットには6版から続いてダークエンジェルとケイオススペースマリーンが激突する【Dark Vengeance(日本語名:ダークヴェンジェンス)】 が附属。
なお、執筆時点では各アーミーコデックス(ユニットを使用するためのルールが記述された説明書のようなもの)を7版用に開発中。
アーミー概略
この項目ではこのゲームにて用いる駒となるアーミーに関して説明を行う。
スペースマリーン
人類の国家「帝國(インペリウム)」に属する軍事的組織であるが、独立した命令系統を持ち、「戦団(チャプター)」と呼ばれる千人単位の集団で活動を行っている。
パワーアーマーと呼ばれる装備に身を固め、人類の敵にボルトガンの嵐を食らわせる。
このアーミーはウォーハンマー40,000を代表する勢力であり、人気も高い。
ゲーム上でも総じて個々のユニット能力は高め。少数精鋭を誇り、高い防御力、優秀な火器、最後の一兵まで戦うルール等を持つ、まさに人類最強の存在であるうえ、”チャプタードクトリン”と言うの特殊なルールによって、戦術的にはかなりの柔軟さがあるものの、その反面、40,000に多く存在する、「防御力を無視できる兵器類には弱い」こと、更には「1ユニット辺りのコストも高く設定されている」ために、
気を抜けば、一気に戦力を減らされてしまう。
創始戦団( ファーストファウンディングチャプターズ )
スペースマリーンには”コーデックスアスターテ”と言う教条がある。しかし、数が少ないがコーデックスを完全に従わないの戦団も存在する。それは「ダークエンジェル」戦団、「スペースウルフ」戦団と「ブラッドエンジェル」戦団の三つの戦団であり、彼らは創始戦団と言う一番長い歴史をもつ戦団である
元々は軍団として編成された彼らは、他の戦団と違う戦術、ドクトリンと単位を持つ、他のコーデックスを従う戦団にはない特別なルールもある。例えば「ダークエンジェル」の「デスウィング」と呼ばれるルールがそれである。
その結果、三つの創始戦団にはスペースマリーンの柔軟さを捨てているものの、様々な特長(例えば「ダークエンジェル」は「ターミネーター」専門で特殊な陣形がが存在)が存在する。
インペリアルガード
インペリアルガードは「帝國(インペリウム)」の正規軍であり広大な「帝國」の各惑星から徴集された、膨大な数の兵から成る。
スペースマリーンは人類最強の兵士であるが、その数はあまりに少なく「帝國」の領域全てをカバーすることは出来ない。
対してインペリアルガードはいわば「只の人間」であり、装備も量産性を重視したものである為、個々の兵は強くはないが、その数は多く、「帝國」全土に防衛線を構築している。
なお、「帝國」には多種多様な惑星が存在する為、編制される連隊にも、特徴的な部隊が数多く存在している。
ゲームでは、「とにかく数を多く入れられる」ルールが存在し、総兵力で敵を圧倒できる。
また、戦車や自走砲など、ビークル戦力が豊富に揃っているため、人で壁を構成し足止め、戦車や自走砲の強力な火砲で敵を吹き飛ばす戦い方が基本戦法となる。
宇宙においては只の人間が一番弱い存在である。だが、人間にも意地があるのだ。
ディーモンハンター(グレイナイト)
「帝國(インペリウム)」の秩序を守る「悪魔審問庁」。その中でもケイオスの悪魔(ディーモン)を狩る事に特化した組織が彼らである。
グレイナイトと呼ばれる対ディーモン専用のスペースマリーン戦団と協力し、また必要とあらば、インペリアルガードを徴収するだけでなく、他のスペースマリーン戦団にも協力を依頼し、ケイオスの悪魔(ディーモン)を滅する為に戦う。
長らく、コデックスの日本語翻訳がなされないままであったが、現在では翻訳が完了しており、全てのユニットとルールを使用可能。
ゲーム上の性能は、より強くよりコストの高いスペースマリーンといったところ。
ウィッチハンター(シスター・オヴ・バトル)
皇帝陛下を崇拝し、その教えを広める「聖教会」、その「聖教会」の武装組織がバトルシスターである。
彼女らは異端審問庁の人類の異端者を狩る部門と協力関係にあり、共に皇帝陛下に逆らう反逆者を皆殺しにする使命を持つ。
長く日本語翻訳がなされなかったが、現在は簡易コデックスが存在する。スペースマリーンと同じく、防御力に優れたパワーアーマーを装備しているが、「中身は所詮人間」である為、能力は高くない。廉価版マリーンとも言える性能。
ティラニッド
外宇宙からやってきた謎の生命体。「ハイヴマインド」と呼ばれる共有意識を持つエイリアンであり、捕食した生命体の遺伝子を取り込む能力を持つ。
ひとたび惑星に侵攻すれば、ありとあらゆる有機体を惑星ごと喰らい尽くしてしまう。しかも獰猛な上、本能のみで行動している為、説得や懐柔は不可能。
助かりたければ、徹底的に殺し、滅ぼす以外にその術はない。
ゲームでの性能は、接近戦寄りの性格を持ち、足が速く、数が多い。また遺伝子を取り込む設定を再現した、能力をカスタマイズできるオプションがある。
ただし「シナプスクリーチャー」と呼ばれる指揮官ユニットから、遠く離れてしまうと、本能に支配され、簡単に統制を失ってしまうため、シナプスクリーチャーの配置と生存が、ゲームの鍵を握る。またビークルに相当するユニットをほとんど持たないアーミーであるため各ユニットの役割分担が重要になる。
ケイオススペースマリーン
かつて皇帝に反逆し、ケイオスの神々に寝返り、「帝國(インペリウム)」没落の引き金を引いた裏切り者達。その後もケイオスの魅力に取り付かれ、転向するマリーンが後を絶つことはない。
堕ちたマリーン達は、それまで守ってきた、厳格な規律や階級を捨て去り、力で力を支配する方法を取る。
ゲームでは、「帝國」と皇帝を裏切った事による技術の遅れが再現され、スペースマリーンよりも武器の性能が悪くなっている。
代わりに、ケイオスの神々に祝福された、新たなユニットが加わっており、高い能力はそのままに、より接近戦向きのアーミーとなっている。
ケイオスディーモン
歪みの向こう側より飛来する、ケイオスの悪魔(ディーモン)達であり、ケイオスの領域を更に拡大する為、破壊と戦争を銀河中で繰り広げる。
ゲームではワープ空間から突如出現することを再現した特殊な初期配置を行うため、(色々な意味で)予測困難な戦闘を展開することができる。
ユニットは概して高コストだが、高い能力と、強力な特殊能力を持つものが多い。
ちなみに、ミニチュアはファンタジーバトルと共用( ベースの形は異なる )で、キャラクター等も共通している。
エルダー
人間よりも遥かに進んだ文明を持ち、かつて栄華を誇っていた、滅び行く種族。
ケイオスの神々の一柱である「スラーネッシュ神(Slaanesh)」の誕生に関わっており、その際に故郷と多くの同胞を失って以来、「クラフトワールド」と呼ばれる巨大宇宙船を住まいとし、銀河を流浪している。
ゲームでは優れた(そして彼等独自の)技術力を生かした、機動力のある反重力ビークルを持cち、また鍛錬を積んだ優秀なスペシャリストが多く、編成次第で多様な戦術が取れる。
ダークエルダー
かつてエルダーの故郷が崩壊した際に、スラーネッシュ神に隷属した者達。宇宙海賊をしており、銀河各地で襲撃を繰り返しては、資源を略奪し、奴隷狩りを行っている。
長らく、コデックスの日本語翻訳がなされないままであったが、現在では翻訳が完了しており、全てのユニットとルールを使用可能である。
オルク
戦う為に生き、ヘンテコだがスゲーメカを乗り回す、銀河(ギンカワ)最強の緑色。
徒党を組み、スクラップから作り出された兵器で武装しては惑星を襲い、命が尽きるまで戦い続ける。というか死の瞬間を迎えるまで戦争をエンジョイしまくる。更に死んでも胞子が撒き散らされ、そこから再びオルクが生えてくる。
「帝國」側勢力と同じくらい、皮肉や哲学が散りばめられている一方、突き抜けた「なにか」が面白いアーミーでもある。
ゲームでは、接近戦を重視した能力設定になっており、防御力は低めだが、それを補って、余りある数を編入することが可能。
下手な射撃も、得意な白兵も、とにかく数と勢いで解決してしまうことができてしまう。
また、「ビークルを赤く塗る(書いて字のごとく!)とビークルが速く動くようになる」など、オルクらしさ全開で魅力たっぷりなルールもある。
ネクロン
銀河でもっとも古き存在と言われている者達。エルダーよりも更に古くに栄え、銀河全体にその版図を広げていた。
だが、「ク・タン」なる存在に騙され、彼らの手先となるように機械化されてしまい、それ故に、彼等は個別の感情を持たない。( ※これは古い設定であり2011年に行われたコデックスの更新の際、設定が変更され、なんとネクロンはク・タンに支配されるどころか逆にク・タンを支配する事に成功したり、上流階級のネクロンは、自己の意思を保ったまま、身体の機械化を果たしたりしている )
ゲームではガウスウェポンと呼ばれる武器を使用し、倒されても再生する能力を有するなど、射撃戦に向いた能力設定になっているものの、スペースマリーン並みにコストが高く設定されている。
また、一定数が倒されると、自動的に敗北するルールを持つことがネックであり、運用上いかに数を減らさずに戦うかが求められる( なお、2011年のコデックスの更新で、一定数が倒されると自動的に敗北するルールは削除され他のアーミー同様、ゲームの勝利条件に従う形に修整された )
タウエンパイア
比較的最近になって登場した、異種族の国家。高度なテクノロジーを駆使して版図を広げ、急成長し、『大善大同』の理想の下、あらゆる異民族をその勢力下に置き、大帝国を築いている。
ゲームでは、なんと接近戦では、人間にさえ後れを取ってしまうものの、反面、強力な射撃武器や、独自ユニット「バトルスーツ」に支えられた、優れた射撃戦能力を有している。
そのため、徹底した射撃戦に持ち込むと強力。
また、同盟関係にある異種族のユニットを迎えることで、「接近戦が不得意」という弱点も、ある程度だが補える。