解説
主に宗教的意味において尊敬の対象となる(過去の)人物を指す。
一口に聖人と言っても、宗教・教派によって位置づけは異なる。
キリスト教
キリスト教のうちカトリック、正教会、聖公会などは特筆すべきキリスト教徒を崇敬するものとして聖人,Sanctus(羅),Saint(英),Святой(露)を公に認めている。
ただし、これらの教派でも崇拝の対象となるのは神のみであり、聖人は「神をよく崇拝して、その教えに従ったので崇敬の対象と認められている」のであって、崇拝とは全く別の概念である事には注意が必要である。また、イエス・キリストは三位一体の考えにより神の位格の一つとされるので、「崇敬の対象」である聖人とは違う。
加えて、聖人を認める教派では職業や地域に応じて一種の担当範囲を定めた守護聖人の考え方も採用されており、例えば「インターネット利用者及びプログラマー」にはカトリック公認の守護聖人(聖イシドールス)が設定されている。
聖人認定(列聖)は司教(主教)たちの審査と認定を必要とし、近現代でも列聖を行っているカトリックや正教会では1世紀に十数名程度のペースで新規に列聖される。
カトリックと正教会では分派以降では認める聖人は大きく異なっている。
プロテスタントのうち聖公会は稀に聖人認定を行う。
ルーテル教会は基本的に分派するまでの聖人のみを認めている。
福音派などは聖人崇敬そのものを認めていない。
余談ではあるが、Saintという語は一種の肩書であり、DoctorやPresidentと同じカテゴリの言葉であって、形容詞的に使うのは間違いである。
イスラム教
イスラム教もキリスト教同様に崇拝の対象は神(アッラー)のみであるが、それとは別に尊敬すべき宗教指導者という形で聖人と見なされる(過去の)人物があり、ムハンマド本人やイマームたちが相当する。
キリスト教におけるイエスと異なり、イスラム教におけるムハンマドは神の位格ではなく「神の言葉を預かって伝える預言者」という位置づけなので、崇拝ではなく崇敬の対象となる。
また、イスラム教の中でもサウジアラビアのワッハーブ派は神への崇拝を不純にするとして聖人への崇敬を厳しく規制している。
仏教
仏教では宗派と呼ばれるレベルでの分派の開祖となった人物が聖人(しょうにん)と呼ばれることがある。
最澄(天台宗)、空海(真言宗)、法然(浄土宗)、親鸞(浄土真宗)、日蓮(日蓮宗など)などが聖人号をもって呼ばれる。
儒教
儒教では、教祖である孔子のほか、孔子が理想とした周王朝までの古代国家の(伝説的)建国者(堯、舜、夏王禹、殷湯王、周武王、周公旦)が聖人と呼ばれる。
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「聖人」の例
サンタクロース(聖ニコラウス、ミラ・リキヤの大主教奇蹟者聖ニコライ)
架空の聖人