概要
型式番号RX-75。地球連邦軍の対MS戦闘車両「RTX-44」を『V作戦』によってMSにリファインした機体。連邦軍初のMSでもある。
搭乗者はリュウ・ホセイ(操縦手)、ハヤト・コバヤシ(砲手)。
頭部と胴体にコクピットを備えるという、モビルスーツとしては珍しい複座式である。
複雑な二足歩行システムの完成を待たずに開発されたため、戦車の下半身に人型の上半身を乗せたようなフォルムを持つ。
もっとも大型の機械を二足歩行させることは非常に困難なため、履帯移動は実は意外と理にかなっている機体でもある。
また、底部スラスターと姿勢制御バーニアを装備しているため、宇宙空間でも運用が可能。ただし、その際はAMBACとしての機能を有さないキャタピラが完全にデッドウェイトとなってしまうので、とりあえず宇宙でも使えるというものでしかない。
そのため劇場版では、ホワイトベースが宇宙へ上がる際にジャブローに残され、代わりにガンキャノンがもう1機補充された。
白兵戦用のガンダム、中距離支援用のガンキャノンと連携して運用するため、本機は長距離砲撃支援に特化した設計になっており、MS本来の白兵戦による近接戦闘は重要視されていない。
そのため、機動力が低い本機は敵機が接近してきた場合はマトモな自衛ができないと言う弱点を持つ(放送当時に発売されたガンダムかるたではそのものズバリ「かくとう 苦手な ガンタンク」という絵札があったほど)。
加えてコア・ブロック・システムの採用によってターレット機能を装備できなかった。
結果、胴体が旋回しないためキャノン砲を横方面に射角を変えて撃つためには、キャタピラを動かすことで機体自体の向きを変えなければならなかった。
そのため、本機は自走砲に近いとされる(後継機であるガンタンクⅡは局地戦用戦闘車両に分類されている)。
しかも急増設計の悲しさで、コア・ファイターのジェネレーターが本体の駆動に活用できないという難点もあった。
リュウが戦死した後は一人乗りに改修され、コア・ファイター側の操縦系が使用できなくされてしまったので、コア・ブロック・システム採用の意味はほとんどなかったといえる。
ただ、このおかげで、キャタピラ部を損傷した際に上半身を強制排除し、それ自体は固定砲台として用いながら、腹部のコア・ファイターを戦闘機として活用する、という運用法も見られた。
長距離支援機として簡易量産型が少数量産された。ガンキャノン、ジムなどと比べ本格的な量産は行われなかったものの、キャタピラで移動するという特性は慣れない地球圏の重力下での戦闘時に安定性を発揮しており、同時に砲撃時の反動及び衝撃を緩和できた。
これらの点では地上戦向きのモビルスーツと言えるだろう。
また、1stのリメイクである機動戦士ガンダムTHEORIGINでは、MSに先立って開発された大型戦車としてRTX-65 ガンタンク初期型が登場している。
機動戦士ガンダムサンダーボルトでは4基の履帯を採用した原作よりも戦車らしい形をしたガンタンクが登場している。
武装
120mm低反動キャノン砲
両肩部に2門を装備。いくら旧式とはいえ全長300mのパプア級補給艦をたやすく沈めるなど、拠点攻撃等において圧倒的な火力を持つが、有視界距離を超える射程での攻撃は他の兵器との連携が必要となる。有効射程は260Km(ちなみに戦艦大和の46cm三連装主砲の有効射程は約42Km)。自衛隊の富士駐屯地から、東京タワーを撃ち抜けるのである。
40mm4連装ボップミサイルランチャー
両腕に内蔵された小型ミサイル。主にドップ等の対空兵器を相手にする時に使用された。
対MS戦では威力が足りないため、牽制用として使用された。
ゲームでの活躍
一部ゲームでは、高い火力と長い射程で敵射程外から一方的にドカドカ撃ちまくるという「強いガンタンク」を見ることができる。
ガンダムVSガンダムでは7強に次ぐウザ機体として名が知られており、キュベレイMk-Ⅱと同時に出現した際には多くのプレイヤーの涙を誘った。
ただし足は遅いため、ガンダムを前衛に、ガンキャノンが中衛としてガンダムを援護し後方からガンタンクが砲撃……という、V作戦本来のフォーメーションが理想である。