マニ50形
日本国有鉄道(国鉄)が製造した荷物車。当時老朽化していたマニ60形やマニ36形(戦後、木造客車を鋼製とした客車である60系客車のグループであり、60形は直接改造や郵便車などからの改造、36形は60系優等客車からの改造、旧客の一種)など旧形車の置換え用として開発された荷物車で、1977年から1982年にかけて236両が製造された。50系客車は赤一色の車体が特徴であったが、このうちのマニ50形に関しては青一色(青15号)の車体となった。
1986年、国鉄における鉄道小荷物制度(託送手荷物のうち鉄道を用い、荷物を送るもの)がごく一部(都心部での新聞輸送)を除いて全廃(これは労働組合の国鉄との衝突による運行の停滞による顧客の信頼喪失や宅配便の登場によるもの)となったため、用途を失い多くの車両が廃車された。
ただしごく一部が生き残り救援車(事業用車の一種、災害や事故現場に復旧のための資材や人員を運ぶ車両)や控車(この車両の場合連結器が異なる車両を連結するためや建物内に機関車を入れないように車両を押し込むために用いられている)などに転用され、国鉄分割民営化の際、63両がJRグループ各社へ籍を移した。
民営化後本来の目的である荷物輸送として使われた例はあり、MOTOトレイン(上野駅-青森駅間旅行先でのツーリング目的のため寝台急行八甲田に荷物車を連結し、オートバイを旅客と同時に運搬する形式、運用の問題や営業面の問題があり1986年から1994年まで定期運行その後臨時列車となり1998年に消滅)およびモトとレール(大阪駅~青森駅間の日本海(列車)に荷物車を接続しオートバイと同時に移動可能としたもの、1986年より行われ、廃止時期は不明であるが1998年ごろと思われる)としてバイクの輸送に使われていたこともある。
特筆事項
マニ50 2186
485系のジョイフルトレイン「リゾートエクスプレスゆう」が1991年に登場し、非電化区間はマニ50形を電源車(客車や電車等のサービス用電源を供給するため発電機を搭載したもの)として連結・運用させるよう、JR東日本所属の2186号車に改造工事を行った。外部塗色は「ゆう」編成と同一の配色とされたため、マニ50形のなかでは一番注目を集めている。通称「ゆうマニ」。
マニ50 2236
オリエント急行の控車。ワゴン・リ客車は全てEUのネジ連結器を使用しているため、ソ連(当時)以東の各国は控車がないと自国の機関車と連結自体できない(EU内では直に連結可能なはずであるがなぜかソ連(現ベラルーシ)・ポーランド国境までSNCFの荷物車が挟まっていた)。単なる控車ではなく、ベッドシーツなどリネン類の保管庫として活用されていた。