概要
ソーシャルゲームとはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で動作環境が提供されているブラウザゲームを指す言葉。ソシャゲとも略される。
英語では「Social network game」というらしい。
ウェブブラウザ上で動作するため、一般に専用のクライアント等をダウンロードしなくても遊べる。この特性を生かし、携帯電話上で遊べるゲームとして人気を博した。
携帯端末ゆえに操作が限定されることを逆手に取ったシンプルな操作システムにより、プレイヤーは短い時間でも手軽にゲームがプレイできるようになった。
パソコン上で動くウェブブラウザを利用したゲームについては、ブラウザゲームを参照のこと。
ひとりに一台レベルの普及率を誇る携帯電話やスマートフォンでコンピューターゲームを遊べるようになったため、
「携帯電話やスマートフォンが日本一売れているゲームハードである」という言葉も、あながち皮肉ではないといえる。
その一方で、現金を使っている気になりにくい仮想通貨を使うシステムと、プレイヤーの射倖心や欲求を刺激する課金システムによって、プレイヤーはより手軽(かつ無自覚)に、お金をゲームへと支払うようになった。
ソーシャルゲームの収益モデルが従来のゲームと大きく異なる点は、従来のゲームは1プレイ100円といったある種の従量課金制を採用しているアーケードゲームを除けば、全てのユーザーから平等な対価を得る仕組みが基本であり、プレイヤーのやりこみ度合いに関係なくソフトの購入や月額制料金などにより等しく対価を得ている。それに対し、ソーシャルゲームは基本無料であるがゲームを有利に進められる特定のアイテムやカードが一部有料とされている点である。ゲームタイトルにもよるがおおまかに全プレイヤーの6~8割程度が無課金プレイヤーで、残る2~4割の課金ユーザーのうちのさらに2割程度が重課金者(月額1万円以上を注ぎ込むユーザー)と言われており、全ユーザーの数%が売上の8割かそれ以上を支払っている現状にある。平等的ではなくゲームのやりこみ度合いに応じた課金制度という収入モデルを打ち立てたものと言える。
勿論、商売である以上ゲーム制作者側にお金が還元されることは必要でありつつも、そのコンテンツに見合った対価を支払っているのかどうかを判断するのは個人に委ねられるが、プレイヤーの射倖心を煽りつつも、コンコルド効果(サンクコスト効果とも。それまでの投資が無になってしまうことを惜しみ、さらなる追加投資がやめられなくなる人間心理のこと)を巧妙に利用しプレイヤーから数万円単位の金銭を支払わせる手段が問題視されている事は確かである。
(MTGのように定期的に大会を開催して100万円単位の優勝賞金を用意しているなら話は別なのだが)
発展途上ゆえにモラルなども確立しきれておらず批判的な意見が多いのも確かだが、ソーシャルゲームの構造はクラウド時代の社会行動を先取りした重要なサンプルとして、ゲーミフィケーションの分野では世界的に注目も浴びている。
結局、「ソシャゲは札束で殴りあうゲーム」である
言葉の意味とその変化
もともとソーシャルゲームはフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)特有のジャンルだったのだが、スマートフォンが普及し始めの頃はApp StoreやGoogle Play経由でインストールされる「SNSをプラットフォームとして必要としないネイティブアプリ」にもその言葉が使われることが多かった。
スマホによって本来の意味での「ソーシャルゲーム」は勢力を大きく減退しているのだが、「ソーシャルゲームで培われた収益構造を一部取り入れた本格的なアプリゲーム」もソーシャルゲームと十把一絡げにされてきた歴史がある。
(例:『パズル&ドラゴンズ』『白猫プロジェクト』『チェインクロニクル』など)
ゲームに詳しいはずのゲーマー界隈でさえ「ガチャがあればソシャゲ」とまったくソーシャルの言葉の意味を無視して使っているケースも多々あり、原義が失われてしまったまま、ソーシャルゲームという言葉はスマホに対して使われていった。
ところが、中学生や高校生あたりを中心にスマホファースト世代が出てきてからは状況が激変している。
彼らの世代はそもそもガラケーでのソーシャルゲームというものを知らない。その一方でSNSなどを通じて正ソーシャルの言葉が意味するところをなんとなく理解はしている。彼らは「うp」ではなく「シェア」を使う世代なのだ。
そんな若い世代に対して、スマホのネイティブアプリのソロ要素が強いものまで「ソーシャルゲーム」などと呼んでいると、全く意味がわからないという顔をされてしまう。そしてスマホのアプリゲームはそういう若い世代にも人気である。
そんなわけで「ソーシャルゲーム」という言葉は現在急速に死語になりつつある。
2015年現在では、ゲームに詳しいメディアは「モバイルゲーム」という言葉を使うのが一般的。実際に遊んでいる層にしても「スマホゲーム」というような言い方をすることが多く、新聞や経済誌のようなオールドメディアでさえソーシャルゲームという言葉を安易に使わなくなった。(ネットに詳しく無い層には「ソーシャル」の言葉自体が理解不能な横文字扱いされやすいというのが大きいのだが)
ツィッターやLINEなどでもそういう「若い世代」が年々入ってきてることで、この言葉の使用頻度は年々下がっている。
あと数年もすれば仮想通貨を用いたアイテム課金型ゲームアプリをソシャゲと表現する人は、プレイステーションを「新しいファミコン」と言っているオカンやオトンのような扱いになっていくのだろう。
なお実際のところ、古いタイプのソーシャルゲームと現代的な課金型スマホアプリは、マネタイズの考え方が大きく異なる。
古いタイプのソーシャルゲームは「同じSNS内のほかのゲームやほかのサービスでも使いまわせる仮想通貨」を使えるゲームだが、現代的な課金型スマホアプリでの仮想通貨は本当にそのゲームだけに特化し、完結したたものである。
単体のゲームに特化し完結した仮想通貨ならば、ゲーム運営側はゲーム内の仮想通貨の価値基準を変動させることが可能になる。
通常、アイテム課金型のゲームというのは有料でどれだけ有利になるかを設定するゲームである。しかし、現代的な課金型スマホアプリの最大の特徴は全く逆に無料でどれだけ有利になるかを運営側がコントロールできるのである。通常時に100円かけてジェムに交換したユーザーよりも、ある特定のイベントがある日に無料でガチャ引換券やジェムをもらったユーザーの方がはるかに有利になり得る。単に金をかけてもあまり有利にならず、情報を集めてプレイの効率化を考えた無課金者の方が有利になるという、ゲームの入れ込み具合で有利不利が決まる形式がとられやすい。これは「無課金ユーザー」には特に大きい恩恵となり得る一方、課金する側には不利になり得る。
だが、この形式の方が不利を取り返すために重課金をするユーザーがごく少数だけ増え、そして大多数のユーザーは無課金である程度楽しめるから、全体では文句も出にくいという環境を作り出すことができている。
金を使わない方を有利にするというのは、ゲーム内の貨幣価値を運営側がコントロールできるが故である。古いタイプのソーシャルゲームではこの方法論は取りにくい。
この違いは相当大きいことは理解しないとならない。
主要なソーシャルゲーム
※厳密な意味でのソーシャルゲームのリスト。つまり課金の有無でなく「SNS経由でインストール不要なもの」ということです
GREE
バイオハザードアウトブレイクサバイブ
モバゲー
仮面ライダーレジェンド
サクラ大戦forMobage
100万人のモンスターファーム
Ameba
ソーシャルゲームゆえの問題点
(アイテム課金の項目も参照)
コンプリートガチャ(もしくは期間限定ガチャ)問題
2012年5月にコンプガチャ(絵合わせ)と言う景品表示法違反に触れる不正行為を行っていた事が発覚した。他社が慌てて対策を考える中でバンダイナムコゲームスも【ワンピースグランドコレクション】のコンプガチャイベントの禁止、【ガンダムカードコレクション】のイベントの延期という処置を行ったが、【アイドルマスターシンデレラガールズ】は(なぜか)予定通り"期間が終わるまで"コンプガチャを続投した(いつも通りにやっていた)為に外部から批判を浴びた。
現行法に触れる方法で消費者に確率の誤認を与え、消費者が想像する以上のお金を取っていた為に消費者には返金を行うのが企業として当然という批判もあるが、明確な見解が示されていなかった時期の問題については責任の不遡及の原則もあってか、6月時点では一切の対応はない。モバゲー、グリーなどを含めコンプガチャと言う不正を行っていた企業に対して被害者の会が返金訴訟に向けて行動をしている。
また、これらの問題は各種ギャンブルや某アイドルグループ商法などと同様に、ユーザーの意思で対価を支払ったものであるという自己責任論が常に付きまとうものでもあり、余程の特殊事情でもない限りユーザー側が救済される類のものではない、と見られている現実もある。
その後
なお本当に集金制として効力を発揮しているのは、「コンプ(絵合わせ)」の方ではなく「期間限定」の方であるという意見もある。
現にシンデレラガールズの場合、コンプガチャを自粛した後に始まった「スポーツ祭」ガチャにおいて期間限定Sレアとなったキャラの排出率はコンプガチャの景品以上に低いとされ、当時10万円相当の課金アイテムで取引されていた。
むしろ「絵合わせ」の方はいわゆる「天井」の役割を担っていたという意見もあり、むしろコンプガチャが規制されたことでよりファンからの搾取が進んだケースとされている。
(但し、上記の原因はコンプガチャに代わるガチャを用意できなかったせいであるといった点が大きい)
上位報酬問題
モバゲーやGREEなどでの諸般ゲームの運営は、コンプガチャなどの期間限定ガチャの他にも集金策を用意していた。それは、「イベント上位報酬」である。
もう一つ大きなゲーム性の一つが「イベント」にある。ゲームにもよるがイベントによってはこちらの方がガチャよりも収入源になっている場合すらある。アクティブユーザー数に対し上位報酬の数が少ないと、数万円使っても上位報酬を得ることが出来ない、ということさえありうる。逆に時間や手間は非常にかかるものの、無課金で上位報酬を手に入れることもまた不可能ではないが。
代表的な一例はイベント上位報酬(シンデレラガールズ)などを参照。
なお、これらの問題は、最初から「オレは絶対無課金でしかプレイしない!」とか「月額いくらまでしかプレイしない」と自分で上限を決め、自分で自分を律してそれを厳守することで、(超レアアイテムや上位報酬を諦めるといった代償を支払うものの)全て回避できる問題でもある点には留意しておく必要があるだろう(大金を支払わされたプレイヤーが救済されにくい理由の一つがここにもある)。
それらに伴う「インフレ」
ソーシャルゲーム(特に初期のもの)は単純な数字のパワーゲームという側面が強いため、期間限定ガチャの限定カードや上位報酬といったものはその時点で最強、そうでなくとも最高クラスの性能が与えられることになる。当然、その帰結として「性能インフレ」が引き起こされることとなる。
インフレの弊害としては「インフレに伴い上位報酬、そこまでいかなくても完走報酬を手に入れるために必要な戦力のハードル」が上がることであり、特に長い間休止していたユーザーにとっては致命傷となる。
こうした「ソーシャルゲームの壁」を打ち破る可能性があるかどうかは今後の動きにかかってるといえよう。
サービス終了後に失われるものが多い
従来の家庭用ゲーム機ではなかった問題も多い。
二度と遊べなくなる
当たり前だがサービス終了後はサーバーが閉鎖されるので、オフラインモードのあるゲームでもない限り一切遊べなくなってしまう。仮にそうしたモードがあったとしても、オンラインでのみ入手できるアイテムや、オンラインのみで解除できる実績が取得不能になる等、プレイに多かれ少なかれ支障を来す場合が多い。
購入した商品の効力がなくなる
前述のことにより、課金要素に使用した金も無意味になってしまう。つぎ込んだ額が多ければ後悔や喪失感もそれだけ大きくなる。
場合によっては人々の記憶からも消え、歴史に残らない
有名で人気だった作品ならニュースサイトや攻略wikiなどに記録が残るのでどのようなゲームだったか知ることが出来るが、無名な作品だと記事が書かれにくいので情報が殆ど残らない場合が多い。また、記事があったとしてもwebページはいつ消えるか分からないので保存状態は不安定である。
そして前述のように終了後に遊べない以上、遠い未来でレトロゲームとして久しぶりに遊んでみるといったことすら出来ない。
こうなるとゲームの存在を覚えているのは開発に関わった者だけになり、彼らが忘れたり死んだりすれば完全に歴史から消えてしまうことになる。
このままだと莫大な文化的損失が生じると考え、サービス終了後も合法的に独自のサーバーを立ち上げてプレイできるようにしようとしている団体も存在する。
関連項目(関連タグ)
スクフェスイベント報酬 イベント上位報酬(シンデレラガールズ)
ガラゲー(ガラパゴス携帯電話であそぶコンピューターゲームの略。)