概要
ソーシャルゲームとはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で動作環境が提供されているブラウザゲームを指す言葉。ソシャゲとも略される。
英語では「Social network game」というらしい。
本来のソシャゲ
もともとソーシャルゲームはフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)特有のジャンル、ガラゲーのひとつだった。ウェブブラウザ上で動作するため、スマホのように自由にアプリが扱えないガラケーでも、専用のアプリ等をダウンロードしなくて遊べる。この特性を生かし、携帯電話上で遊べるゲームとして人気を博した。
携帯端末ゆえに操作が限定されることを逆手に取ったシンプルな操作システムにより、プレイヤーは短い時間でも手軽にゲームがプレイできるようになった。
その一方で、現金を使っている気になりにくいデジタル通貨を使うシステムと、プレイヤーの射倖心や欲求を刺激する課金システムによって、プレイヤーはより手軽(かつ無自覚)に、お金をゲームへと支払うようになった。
なお、パソコン上で動くウェブブラウザを利用したゲームについては、ブラウザゲームを参照のこと。
言葉の意味とその変化
スマートフォンが普及し始めの頃はApp StoreやGoogle Play経由でインストールされる「SNSをプラットフォームとして必要としないネイティブアプリ」にもその言葉が使われることが多かった。『パズル&ドラゴンズ』『白猫プロジェクト』『チェインクロニクル』などがそれである。
しかし、スマホはアプリを自由自在に扱えるので、PC同様にアプリでインストールするゲームのほうが一般化した。
スマホによって本来の意味での「ソーシャルゲーム」は絶滅していったのだが、大手メディアはもちろん一般ゲームライターなどにとってガラゲーは関心の乏しい題材であり、情報が不足していたとみられ、「ソーシャルゲームで培われた収益構造を一部取り入れた本格的なアプリゲーム」、さらには「その作品自体をSNSのように見立てた作品」「ゲームアプリ内にSNSが付属する作品」「SNSでのバズりを重視した作品」もソーシャルゲームと十把一絡げにされてきたという歴史がある。
またSNSに広告を出すことが多かったり、依存性ゆえに社会(ソーシャル)問題になることも。
ゲームに詳しいはずのゲーマー界隈ほどライト層が主軸であったガラゲーとは縁遠く、「ゲームとしての水準が低ければソシャゲ」「スマホの萌えキャラゲーでガチャがあればソシャゲ」とまったくソーシャルの言葉の意味を無視して使っているケースも多々あり、原義が失われてしまったまま定着してしまった。
特に現代の「スマホで遊べるゲーム」=「ソシャゲ」と言っている人ほどその概念が安定せず、以下のいずれか、あるいは全てを満たせばソシャゲと断定づける者も多い。
・ガチャ
・スタミナ(ゲームを遊ぶのに必要)
・ギルド/クラン、PvP、協力戦、フレンドなどのマルチ要素
・基本プレイ無料
・期間限定イベント
・ログインボーナス
これらの中で、スタミナ以外はWindows専用のMMORPG時点で既に存在していることもあり、概念は破綻していることが多いが、極端な意見だと「スマホで遊べるゲームであればソシャゲ」と言う者もいる。
逆に「買い切りであればソシャゲじゃない」という者もいたり、クロノトリガーのような名作もスマートフォンに移植してることもあり「スマホで遊べるゲームであればソシャゲ」意見は破綻している。
特に基本プレイ無料でも上記の要素がほとんどないゲームもある。
ゲームに詳しいメディアは「モバイルゲーム」という言葉を使うのが一般的。実際に遊んでいる層にしても新聞や経済誌のようなメディアはソーシャルゲームという言葉を安易に使わなくなった(ネットに詳しく無い層には「ソーシャル」の言葉自体が理解不能な横文字扱いされやすいというのが大きいのだが)。
原義を重視するならばゲームに応じて「モバイルゲーム」「スマホゲーム」「基本無料ゲーム」「F2P」などと表現すべきだろうが、語が原義から離れた形で定着することは古今東西多く見られる現象でもある。
スマホ時代になってからは意味の相違が大きくなったため、「みんなと協力してプレイするからソーシャルゲーム」という定義変更が行われている傾向にあり、もはや原義のソーシャルゲームを知る人は数少なくなっている。
ひとりに一台レベルの普及率を誇るスマートフォンでコンピューターゲームを遊べるようになったため、
「スマートフォンが日本一売れているゲームハードである」
という言葉も、あながち皮肉ではないといえる。
主要なソーシャルゲーム
※厳密な意味でのソーシャルゲームのリスト。つまり課金の有無でなく「SNS経由でインストール不要なもの」ということです
GREE
バイオハザードアウトブレイクサバイブ
モバゲー
仮面ライダーレジェンド
Ameba
ソーシャルゲームの長所
- 専用のゲーム機や場所を必要としない
本ジャンル最大の利点。専用のゲーム機とROMを用意する必要が無く、携帯端末に無料アプリとして無線ダウンロードするため、買い手も売り手も店舗を介する手間・時間が必要なく、売買のコストや試遊のハードルが徹底的に下がる。
同時に媒体が普段生活に使い持ち歩く物であるため、学校/仕事の休憩時間や通退勤時に悪目立ちせずプレイしやすく、自宅にいる時間が少ない多忙な現代にもマッチしている。
また基本、クラウドサーバーを利用するため、利用者数の増加率と経費の増加率は比例せず、ゲーム会社にとっては利用者数が増えれば増えるほど利益率が向上するメリットにもなる。
バグや不具合などが発生しても、メンテナンスで修正したものを即ユーザー達にも反映させられる等、構造上リカバリーもし易い。
- 幾らでもボリュームを拡張していける
買い切りであるコンシューマは、大ボリュームと呼ばれる作品でも入れられる内容に上限があるが、こちらはサーバーを母体としている為、Verアップデートという形式でどんどん新要素を増やして行き、何年でも飽きることなくプレイできるゲームにすることが可能。
近年ではコンシューマ側も「追加DLC」というシステムを採用し、いち作品の長期化を実現しているが、それにも限界がある為ソシャゲには及ばない。
- 複雑な操作や腕前を必要としない
基本ガラゲー→スマートフォンをゲーム機代わりにする事を想定し作られている為、システムは片手のキーやタップ操作で不足なくプレイできるシンプルなものが多い。
比例して難易度も、主要な部分は簡単にクリアできるストレスフリーな仕様に調整されている場合が殆どなので、ゲーム操作が苦手な人間でも楽しみやすい。
- 人気・実績のある作品は大衆性が高い
近年では上記メリットの発展と、コンシューマ側のリリース数が減少したこともあり、ソーシャルゲームもゲームという文化の主要格として大衆に受け入れられるようになった。
人気のある長期作では、実装キャラや作品の動向がSNSのトレンドを占めることも珍しくなく、継続的に「熱」を供給できることもあって、TVCMや大体的なリアルイベントも開催される等、下手な過去作品より大きなコンテンツへ成長したケースが多数見られる。
ソーシャルゲームの短所
広義的に見るとオンラインゲームの性質と共通しており、従来の家庭用ゲーム機ではなかった問題も多い。
また、操作性の観点からプレイ可能なジャンルが限られることも多い。
- 最大限楽しむのに相応の課金や運が不可欠
詳細はアイテム課金の項目を参照。
- プレイヤー間の格差が激しくなりがち
詳細はイベント上位報酬などの項目を参照。
- いつかはサービス終了が訪れ、それにより失われるものが多い
詳細はサービス終了の項目を参照。
- 一日でやり込める量に明確な上限がある
詳細はスタミナ制の項目を参照。
- 性質上、ストーリーとの相性が矛盾レベルに悪い
「いつでもどこでも気軽にプレイ出来る」というのがソーシャルゲームの強みであるが、これが「少しずつ量や人気を積み上げていく連載型のシナリオストーリー」と見事に噛み合っていない。
本編の質がしっかりしたものである程、キャラの追加や退場、主人公を取り巻く状況の変化などで設定環境が変わっていきがちな為、話が進む程イベントシナリオとの兼ね合いが困難になり易い。
最新章まで読んだ古参からすれば、時系列上挟まる余裕のない矛盾を孕んだものになってしまい、途中から入った新参からすれば、まだ知らないキャラ・描写が普通に出てくるネタバレになってしまうのである。
また、人気・実績次第ではストーリーが完結する前にサービスが終了し打ち切りに終わってしまうものも多く、本気で好いていたファン程より強いダメージを受けてしまう事になる。
- 粗製乱造
所謂流行りに群がる形で「タップゲー」「美少女カタログ」と揶揄される、ビジュアル以外クオリティの低いものが横行してしまった。
これらは遊戯を楽しむと言うよりはエロゲーやギャルゲーの代替品として遊ばれていると思われるが、そちらとしても水準が低い下位互換でしかなく、実績のあるシリーズの系譜であろうと、鳴かず飛ばずのまま消滅し汚点にしかならなかった作品は枚挙に暇がない。
スマートフォンゲームではかなり軽減された方だが、かつてのガラケー時代はシステムの使い回しが酷く「ガワだけ変えてゲームそのものは全く代わり映えしない」事がやたらあった。それどころかそんなのを複数展開していたなんて事もある。
- ゲーム性そのものの更新が不可能
数年~十年レベルの長期作にしか起こり得ない問題だが、ボリュームを拡張しシステムを改修できても、ベースとなるゲームは同一である為UI自体の更新は出来ず、今年の技術レベルと比較して古臭い内容になろうが変えられないという構造上の欠陥を持つ。
マンネリにも繋がるこれを打破するためには、全くの別ゲームとして再リリースするほか無く、コンシューマでは当たり前にやっている新陳代謝だが、ソシャゲではサービス終了でそれまでの繁栄を手放すことを意味するため、リスクが甚大になり易い。
関連項目(関連タグ)
スクフェスイベント報酬 イベント上位報酬(シンデレラガールズ)
ガラゲー(ガラパゴス携帯電話であそぶコンピューターゲームの略。)