「ならば一世之雄たらんとす蜥蜴人が 余力を残すなどありえん」
「おお!恐るべき竜よ、大いなる父祖よ!末裔の戦働きを御照覧あれ!!」
CV:杉田智和
概要
『ゴブリンスレイヤー』に登場する冒険者で、戦闘民族である蜥蜴人(リザードマン)の神官。階級は第三位の銀等級。
元々、それぞれの種族の長同士の会議の折、雇われたことで妖精弓手や鉱人道士と共に一党(パーティー)を組んでおり、しばしば両者の喧嘩の仲裁役にも回る。
とある依頼から辺境の街のゴブリンスレイヤーや女神官らとも組むことになり、以降パーティー内での常識人かつまとめ役となっている。
一人称は「拙僧」で、ゴブリンスレイヤーのことは当初から「小鬼殺し殿」と呼んでいる。他の人物に対する二人称も基本的には「~殿」という敬称で、「巫女殿」・「野伏(レンジャー)殿」・「術師殿」などといった具合。
風貌
冒険者の中でも珍しいとされる蜥蜴人の冒険者。作中に登場する冒険者の中で最も大きな体躯(少なくともゴブリンスレイヤーの2倍近く)に、蜥蜴人族特有の異形の姿を併せ持つ。
鱗でおおわれた肌は緑青色で瞳は黄色。太くたくましい尻尾はむき出しで、靴も履いておらず常に裸足。
更に頭部には皮膚でおおわれた2本の角と、その見た目は2足歩行の恐竜又は竜に近い(実際、彼はその類を目指している)。
加えて、米国西部と先住アメリカ人を合わせたような民族衣装のため、ひときわ存在感のある外見である。
蜥蜴人である事に加えて南洋の種族出身のため寒さには弱いが、本人曰く蜥蜴人は恒温動物らしく、変温動物と違って行動不能には至らない。
また、他の種族と比べて毒気の類はあまり効かないらしい。
人物像
厳かで落ち着いた口調でしゃべり、だれに対しても礼儀正しい態度で接する。その見た目に反して常に落ち着いた態度を崩さない真面目な常識人であり、己の主張を述べたうえで自身の非はきちんと謝罪する。個性豊かなパーティメンバーのまとめ役で、それた話題を元に戻したり、時には諫めたりもする。
”恐るべき竜”と呼ばれる存在を先祖に持ち、蜥蜴人特有の宗教的観念を備えている。その教えに従い、「異端(モンスター)の命を奪って位階を高め竜へ転身する」ことが目標であり、彼が冒険者となった経緯でもある。
ただし他の宗教への理解もきちんと持ち合わせており、剣の乙女の神殿へ赴いた際には、自身を「異教の者」として遜って挨拶を行った。
また、「命を奪う」という経緯があるものの、犠牲者の遺体や殺したモンスターの死骸には手を合わせる。
上記のように厳格と礼節を重んじるが、愉快なことを目にしたり称賛されたりしたら牙をむきだして高らかに笑う、好物のことになると目の色を変えてテンションが上がるなど、意外と豪快でノリの良い性格である。
獣は狩るものとしてとらえる種族の特性上、畜産の文化にはあまり触れたことがなく、ゴブリンスレイヤーたちと出会ってから食べたチーズにハマった。特に牛飼娘の牧場のチーズは非常に気に入っており、初めて食べた際にはいきなり立ち上がって「甘露!!」と何回も叫んだ。
その後の協力報酬にもチーズを要求するほどのハマりぶりであり、牧場が襲われると知った際には驚き、迷うことなく協力を快諾した。ギルド内の酒場でも専ら、チーズを使った料理を注文している。挿し絵ではラクレットチーズを一塊、まるごと齧りついている。
爬虫類系モンスターと対面すると、鉱人道士などから「お前の親戚だろ」と言われるが、その度に「出家してよりこちら、親戚づきあいもないもので」「あのようなものは拙僧の親戚にはおらん」とかわしている。
あげく、沼鰐(アリゲイタ)を「長虫(ワーム)」、大海蛇(シーサーペント)を「魚」やら「鰻の仲間」と、竜ではないモンスターには結構辛辣。その一方で、竜脚類のような生物であるモケーレ・ムベンベを目撃した時にはテンションをあげていた。
戦闘能力
普段は落ち着いた態度の彼だが、戦闘時にはゴブリンスレイヤーとともに前衛に回り、その強靭な体躯と数々の奇跡を用いて勇猛に闘う戦士となる。優れた膂力と頑強な尻尾を振るって豪快な大立ち回りを披露し、その実力は接近戦において、パーティの中でも随一である。
戦闘以外では、岩を動かしたり扉を塞いだりと、力仕事をよく担当する。
直接的な攻撃力だけでなく、蜥蜴の暗視を活かし地図を作製する、窮地の際に咄嗟の状況判断で援護や指示を飛ばす、更に戦力の補充や回復も務めるなど、バランスの取れた冒険者である。
奇跡の使用回数は4回。
奇跡一覧
- 竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー)
「《禽竜(イワナ)の祖たる角にして爪よ 四足 二足 地に立ち駆けよ》」
自身と似た爬虫類の全身骨格を召喚し、使役する。救助したエルフを抱えてエルフの里まで送り届ける、戦闘時には前衛の攻め手や後衛の守りを務めるなど汎用性が高い。
ただし骨などの触媒を必要とするため、奇跡の回数にかかわらず制限がかかる。妖精弓手には「結構かわいいやつ」と言われたりしている。
- 竜牙刀(シャープクロー)
「《伶盗龍(リンタオロン)の鈎たる翼よ 斬り裂き 空飛び 狩りを為せ》」
高い切れ味を持ち、それを持続することのできる短剣。鋭利に湾曲した骨のような見た目。接近戦の際に呼び出して振るう。
- 治療(リフレッシュ)
「《傷つき尚も美しい蛇發女怪龍(ゴルゴス)よ その身の癒しをこの手に宿せ》」
対象の治癒力を増し傷を癒す回復の奇跡。ゴブリンにかみちぎられた傷を塞ぐレベルの治癒が可能。疲労などは回復できない。
- 擬竜(パーシャルドラゴン)
「《おお 気高き惑わしの雷竜(ブロントス)よ 我に万人力を与えたもう》」
服がはちきれるほどに筋肉が盛り上がり、膂力などが増強される。身の丈以上の大鏡を壁から引っぺがすなど、常時のパワーとは一線を画す。
- 腐食(ラスト)
「《白亜の層に眠りし祖父らよ 背負いし時の重みにて 此れ為る物を道連れに》」
第5巻にて初めて使用。 対象を一瞬で腐らすことが出来る。ただし生物などには適用されない。
- 念話(コミュニケート)
「《大地を冠せし馬普龍(マプロン)よ 仮初なれど 我らも群れに加え給う。》」
第5巻にて初めて使用。言語の通じない相手に対しても意思疎通が可能になる。ただし双方に会話の意志がないと成功しない。
- 竜吼(ドラゴンズロアー)
「《偉大なりし暴君竜(バォロン)よ 白亜の園に君臨せし その威光を借り受ける》」
第6巻にて初めて使用。精神に作用する雄叫びをあげて複数の対象を一定時間恐慌状態にする。いわゆるデバフ。
余談
やる夫スレ版での配役は境界線上のホライゾンのキヨナリ・ウルキアガ。
本作はアナログゲームへのオマージュ、パロディが多数散見されるが戦闘における活躍っぷりや竜司祭という特徴から特に彼はNPC専用種族、サプリメント追加種族等がモチーフではないかとしばしば囁かれる。
作者曰く「背景にある設定が一番豊富なキャラ」。彼のいう”恐るべき竜”というのは、奇跡の使用時に口に出す固有名詞から、かつて地上を跋扈した大型爬虫類ではないかと思われる。