「十分に熟達した技術は、魔法と見分けがつかないものよ。」
概要
CV:東山奈央
ひょんなことから鉱人道士と蜥蜴僧侶と共に辺境の街のゴブリンスレイヤーと一党(パーティー)を組むことになった森人(エルフ)の女性冒険者。階級は第三位『銀等級』。
一党内での役割は野伏(レンジャー)及び斥候(スカウト)、戦闘ではある蜘蛛の糸を弦としたイチイの弓・木の芽を鏃とした矢を用いての狙撃を本分としており、ひとたび弓を持てば後衛として呪文遣いにも劣らぬ火力を発揮する。矢についてはゴブリンから鹵獲した物も使うが「作りが雑」なので嫌っている。その一方、スリングなどの投擲武器に関しては、森人の投擲能力は只人のそれより遥かに劣るため、苦手である。
接近戦は不得手だが、ゴブリンどもに組み付かれて半裸にされつつも、ほぼ自力ではね除ける程度の力量は持っている。
また森育ち故に木々の間を駆け巡る程の身体能力を持ち、大目玉の《分解》の邪眼の連射を悉く避けたりできる(ただし本人曰く『姉なら避けるついでに攻撃できたのに』との事)。その身体能力から、原作者から度々超トールキン人と称されている。
森人の中でも妖精に近い原種・古代種的な存在である上森人(ハイエルフ)で、老衰でだけはまず死なないほぼ永遠の寿命を持つ途方もない血統の出身。
その為、森人特有の美貌とうら若い容姿とは裏腹に2000歳と一党内では最年長だが、種族的にも成長への貪欲さが少なく故郷の森を旅立ち数年そこらのため、まだまだ見聞は狭く精神年齢も未熟。“未知を知る”事を喜びとし、またそのための“冒険”を好む。
人物
性格はお転婆で好奇心旺盛、じゃじゃ馬で跳ねっ返り。鉱人道士も初対面時は「森人にしちゃあ珍しい」とコメントした。自由気ままで遠慮がなく、その動作は地の文で度々『猫』と例えられている。
「星風の娘」と呼ばれる氏族の長の娘でもあり、書籍7巻では姉と従兄の結婚を祝う為、仲間を伴って故郷であるエルフ王の森を訪れた。
すらりとした華奢な体躯で、白緑色の長髪はリボンで結っている。服装は動きやすさを重視し、意外にも主要登場人物の中では露出度が高い方である。
桁違いの長命種故に未だ成熟途中のスタイルが悩みであり、鉱人道士(と読者や作者)からはその体形を度々金床になぞらえてからかわれている。それに反応して彼と喧々囂々のやり取りをするのも日常茶飯事。
酒も嗜むが、ワイン数杯で酔い潰れるほど弱く、鉱人道士の火酒を飲んで悶絶した。おまけに酒癖も悪く、多くの場合は近しい人間が絡まれる羽目になる。
また、この世界の森人も多くのファンタジー作品同様獣肉食の文化を持たない(チーズ等の乳製品は食べられる)が、それは生態系におけるコスパの観点からと理由付けがされており、彼女の故郷では成長力と繁殖力に優れる昆虫類を用いた料理が主な蛋白源として重宝されている他、絹織物を始めとする虫関連の工業技術に定評がある。
パーティの頭目となったゴブリンスレイヤーの事はエルフ語の『オルクボルグ(小鬼殺し)』という字名で呼ぶ。ゴブリン根絶を“目的”とする彼の人生に哀しみを抱き、自分の知っている冒険の楽しさを教えてあげようと、何かと世話を焼きたがる。
また、彼女の知的好奇心はゴブリンスレイヤー本人にも向けられており、一党を組むようになってからは彼の一挙一動に興味を抱き、積極的に絡んでいく光景も見られるようになる。
今の所ゴブリンスレイヤーに好意を持っているかどうかは不明だが、有象無象に彼を悪く言われる事に対しては明確な不快感を示しており、ゴブリンスレイヤーを見下しつつ自身に言い寄ろうとした冒険者に対しては、当てつけとばかりに彼と親密な様子を見せつけていた。
およそ冒険とは言えないゴブリンスレイヤーの行動に対しては、一般的な冒険者の視点からしばしばツッコミ役に回り(女神官は早々に慣れてスルー気味。鉱人道士もたまにだがツッコむ)、冒険を台無しにするような奇策の使用をその度禁じている。だが、彼と共に冒険していくに連れて彼の和マンチスタイルや合理的思考の影響を受けつつあり、状況的に致し方ない場合に限っては発言を撤回している。
鉱人道士とは種族的にも性格的にも気が合わないため口喧嘩が絶えないものの、冒険中でさえ軽口を叩き合い、戦闘時には背中を預け合える良き仲間。
女神官からは姉のように良く慕われており、キャンプの時は彼女が作ってくれた豆のスープのお礼としてエルフの保存食を分け与えた。徐々に変なの2号と化す彼女に、『オルクボルグの悪影響』と嘆きつつある。
蜥蜴僧侶とも彼のチーズ好きをからかったり竜になるという望みを応援するなど、良き友人である。
持ち前の明るさもあって(特に漫画版ではコミカルな動きと表情も相まって)、本作のダークな雰囲気に対する清涼剤の1つになっている。
ゴブリンスレイヤーのそれ以上に私室はちらかっている。
因みにこれは彼女の姉も同様であり、姉の婚約者曰く「(あの姉妹には)片付けの習慣がない」との事。なお、森人の里に住んでいた時は、洗濯と掃除は水精と妖精に頼んでいたため、森を出てそれらを自分でやらなくてはならないと知って不便だと感じていた。
下着が苦手らしく、日常でもほとんど身につけていない。一度、よりにもよってゴブリンスレイヤーに下着の必要性を訊ねた事があり、彼から『俺に聞くな』と盛大なため息と共に呆れられてしまう。
自分たちの文化では専ら水浴びが主流であるらしく、女神官と一緒に入るまで、温泉(お風呂)につかったことがなかった模様。一度入ってからはハマったのか、王都に訪れる時には逆に女神官を浴場に誘っていた。
ゴブリンの嗅覚を誤魔化すために奴らの血ワタを浴びる事には、諦め混じりに慣れてしまった女神官と比べ未だに抵抗が消えず、臭い消しの香を女神官用も合わせて購入するようになったがうっかり忘れて洗礼を受ける事も……。
前述の通り、何でもかんでも興味を持つ性分故に、臭い消しの香や耳当てといった小道具や、よくわからない玩具や冒険娯楽小説といった趣味に関するものを何も考えずに購入するため、金欠になる事もしばしば。そのため、姉からも『普段から節制しろ』と説教されている。
この性分も、前述の部屋を散らかす癖の原因の一つと思われる。
ゴブリンスレイヤーへの呼び名である“オルクボルグ”は、ホビットの冒険に登場するゴブリン殺しの伝説の魔剣「オルクリスト」を元ネタにしていると推測される。やる夫スレでは、「オルクリスト」と呼んでいる。
余談
- 原作者曰く、彼女の故郷である森人の里に攻め込むとレゴラス級が500人ぐらい出てくるらしい。しかもレッサーレゴラス、グレーターレゴラスなる者も存在するとの事。……何それ怖い。