概要
蟻の中でも巣を作らずに隊列を組んで前身し、進行先にいる生き物に襲いかかって餌食にしてしまう獰猛な習性を持つ、グンタイアリ属を含めた3亜科7属がそのように呼ばれる。
主に熱帯雨林に生息し、その有り様から軍隊に喩えられ名付けられた。
※擬人化漫画
グンタイアリ属の頭部は顎を含めると胴体と同じくらいの大きさで、目が退化しているため盲目であるといわれる。
移動の際は振動と匂いで周囲を探知して先導の蟻の残したフェロモンをたどって前進する。
サイズは普通の蟻より大きい1.5~2㎝程度で、女王アリ、雄アリ、働きアリの三つの階級に分かれている。
さらに働きアリは隊列を見守るメジャー、荷物を運ぶサブメジャー、獲物に襲い掛かり狩りを行うメディア、進行先の橋になるマイナーの4種類に分類され、それらの分業によりフェロモンが高温で蒸発しない午前中や日没後に時速1㎞ほどのスピードで、数十万~百万匹のコロニーで形成された長さ20メートルくらいの隊列を組んで移動する。
産卵期には石や倒木の下などに定住をし活動は抑えられるが、幼虫が孵化すると活動を再開する。
狩りの対象は小動物だけではなく、何らかの理由で逃げ遅れた家畜や人間も犠牲になることがあるという。
ただし現地の住民は食料を持って避難し、ゴミ掃除やネズミや害虫駆除に利用している。
新世界のアマゾンの種が有名だが、旧世界のアジアやアフリカ、日本の西表島にも同属の蟻が生息する。
グンタイアリ属以外の同様の習性をもつ科は、収斂進化によるものである。
遭遇すると南米最強の肉食獣ジャガーですら逃げ出すが無敵なわけでなく、アリジゴクや体から忌避物質を出すテキサスホソメクラヘビなどの天敵も存在する。
また強い蟻として有名なパラポネラすらも多勢に無勢で餌食にされてしまうが、高度な社会性を持つハキリアリには負けることがあるという。
フィクションでの扱い
1954年に公開されたアメリカの昆虫パニック映画。特殊効果はジョージ・パルで、撃退シーンは1985年のドラマ『冒険野郎マクガイバー』にも流用された。
原題は「The Naked Jungle」。アマゾンで農園を経営する夫婦に数百年ぶりに発生した人喰いアリの群れ「マラブンタ(スペイン語で群れの意)」が襲い掛かる。
※なおゲーム『メタルマックスシリーズ』に同名のモンスターが登場している(このタグが使用される)。
※マラブンタは架空の種であるがゴリラがコング、サメがジョーズと呼ばれるようになったのと同様にグンタイアリを表す代名詞となった。
- マラブンタ
1998年に公開された上記の架空の蟻の名を冠したアメリカの昆虫パニック映画。
舞台は寒冷地のアラスカだが、火山活動の影響で生息可能になり人々を襲う。
- ドラゴンクエストシリーズ
『ドラゴンクエスト2』から登場したアイアンアント系に、仲間を次々に呼ぶ「ぐんたいアリ」が登場。
敵組織改造実験帝国メスの戦闘員ゾローはグンタイアリの遺伝子で造られた存在である。
超越生命体アントロードをモデルにグンタイアリが創造されたという世界観。
体液を交換した者の自我を支配し兵隊として操る能力を持つ、組織の刺客「軍隊蟻(グンタイアリ)」が登場。
- 怪奇大作戦ミステリー・ファイル
第2回「地を這う女王」にて、地球から男性という種族を根絶する目的で特殊なマイクロチップで操られた殺人グンタイアリが登場。
その他熱帯雨林が舞台の作品では罠や試練として人を襲ったり、敵集団を倒すための切り札として登場する場合もある。