概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場回はTC8巻収録「進化退化放射線源」。
光線銃型のひみつ道具で、この道具から照射される光を生物や物体に浴びせると、それらを進化させたり退化(厳密には祖先の姿に変化)させることが出来る。
例えば現代のラジオを進化させた場合、未来で使用されている「腕ラジオ」(テレビ、テープレコーダー、トランシーバー機能を内蔵した腕時計型ラジオ)に変化させることが出来る。逆に退化させた場合は鉱石ラジオあるいは蓄音機といった過去に使用されていた頃のラジオに変化させることが出来る。
ドラえもん曰く「本来は生物の祖先を探ったり、進化の行方を探る為の道具」であるらしい。
作中ではドラえもんやのび太はこの道具を使い、鉛筆、電灯、ドアを進化させて「自動タイプえんぴつ」(入力した声の通りの文字が書ける)、「天井と壁全体が光る照明」、「自動ドア」に変化させたり、他にもネズミを退化させて哺乳類の先祖である生物に変化させたりと、様々な物を進化・退化させた。
水田わさび版では前述の脱走したネズミを対処しようと猫にも浴びせたのが同じ祖先の段階まで遡ってしまったため互角の体格の二匹が暴れだしてしまった。共通の祖先の段階まで難なく遡れる事が分かるが猫やネズミではなく犬や猿など枝分かれした別系統の進化の先にも辿らせられるのかは不明。
極め付けは、のび太が「頭の古いパパを進化させて未来人にしたい」と考え、パパを進化させたのだが、その姿が非常に不気味なのである。
未来人に進化したパパは脳ばかりが発達して大頭になり、汚れた空気を吸わないよう鼻毛が伸び、機械に頼り過ぎたせいで手足がヒョロヒョロに退化してしまうという、とんでもない姿になってしまった(上画像参照)。
また、上記の初登場エピソードのように姿形を含めた全てを進化・退化させるだけでなく、生物の場合は外見はそのままで知能のみを進化させたり(原作「のら犬『イチ』の国」)、無生物の場合は外観はそのままで機能のみを進化させる(大長編『太陽王伝説』)等といった、細かな調整も行える。更に『翼の勇者たち』では現実世界に存在しない生物だろうと一匹しか確認できずまず間違いなく絶滅して子孫が生まれない生物だろうと進化させている。
スピンオフ漫画『ザ・ドラえもんズスペシャル』では、ドラえもんがマンモス(正確には、現代の科学者が過去に滅びた冷凍マンモスの死体の遺伝子を研究し、復活させることに成功したマンモス)に対してこの道具を使用したのだが、その際マンモスは現代の象と変わらない姿に変化した。ドラえもん曰く「氷河期に適したマンモスが温かい現代まで生きていた場合、長い牙と毛が退化し、普通の象と似た姿になる」とのこと。上記の「翼の勇者たち」で用いたケースも踏まえるに自然界においては子孫が存在しない生物であっても効果は得られるのが分かる。
原作漫画以外の作品では『ドラえもんのひみつ道具使い方事典1』にて、ドラえもんがこの道具で退化させられた際、400年前のからくり人形に変化してしまった。ただしこの状態のドラえもんはのび太に対して「進化放射線で早く元に戻してくれ~!」と言っている為、進化あるいは退化して姿が変わっても変化前の意識は残っていることが分かる。一方パパに用いた場合進化でも一度退化に間違えた場合でも変化に気づいていた描写はなく上記の変化させられた生物達もすぐ順応しており自我はともかく生物としての自意識は変化した種族に引きずられる可能性が高い。
正式名称は「進化退化放射線源」であり、初登場エピソードはもちろん『創世日記』、『太陽王伝説』(大長編版)、『翼の勇者たち』、『ワンニャン時空伝』(大長編版)ではこの名称が使われているが、原作短編ではエピソードによって「進化放射線」、「進化放射線源」という名称に変わっていることもある。
余談
原作でも何度か名称を変えて登場している進化退化放射線源だが、2000年代以降に放送されたアニメ・映画版では「放射線」という単語が引っかかる為か、映像化する際は必ずと言って良いほど名称が変わっている。
上記の通り『ワンニャン時空伝』は大長編(漫画)版では「進化退化放射線源」という名称が使われているが、映画版では「進化退化光線銃」という名称になっている。
水田わさび版アニメでは「放射線」という単語が一切使われなくなり、上記の「進化退化光線銃」を始め、「進化退化ビーム」、「進化活性光線」という名称になっている。