「えぇい!まくら返し、力を貸せ!」
「ハァ?!力って?!」
「鬼太郎ーッ!!」
「どいつもこいつも無茶しやがってクソーッ!! ネムネムネムネムネムネムネムネム…ヤァーッ!!」
「鬼太郎ーッ!!」
「すまんのう鬼太郎…わしがこんな姿になってしまわなければ、お前に全うな子供時代を送らせてやれたかもしれぬ…だがそれは叶わなかった…」
「出来れば…お前を守り、お前にもっとのびのびと、お前に子供らしい夢を見せてやれる父親でありたかったよ…」
「くっ…お前は…何者だァ!!」
「子供を守る為なら何でもする…ただの父親だ。」
「夢はいつか覚めるからこそ尊いもの…」
「この夢、終わらせてもらう!!指鉄砲ッ!!」
概要
目玉おやじの説明は当該記事を参照。
TVアニメ第6期14話・『枕返しと幻の夢』で、夢の世界に登場した目玉おやじの現在の目玉だけになる前の姿である。
夢の世界に魂を囚われ廃人となってしまった、マサシの父アキノリを救うため、鬼太郎たちは妖怪枕返しの助けを借りて(※1) 夢の世界に入り込む。
しかし、『夢繰りの鈴』を持つ少女の霊に心を縛られ、子供の姿となって心地良い夢の世界で遊び続けていたアキノリは、スケッチブックに書き込んだ絵からロボット・魔神ガンナーを具現化させて抵抗する。
空想したことをそのまま具現化できる夢の世界では、子供らしく常識にとらわれない、途方もない夢があるほど、より強い力を形にして戦うことができる。
だが、不幸な生い立ちゆえに子供らしい夢を持つ余裕などなかった鬼太郎には、普段通りの攻撃しかできない。
いつもとは勝手の違う戦いに戸惑った鬼太郎は隙を突かれ、鈴を操る少女の力に絡め取られる。ついには、あたりを覆いつくす奔流と化した彼女の毛髪に飲み込まれてしまった。
鬼太郎を助けるために、目玉おやじは枕返しに力を貸せと喝を入れると、毛髪の奔流へと飛び込む。そして彼の、「こんな姿ではなく、鬼太郎を守り、もっとのびのびと子供らしい夢を見せてやれる父親でありたかった」という強い想いが、枕返し(※1)が放った妖術により、病を得る以前の力強い姿となって具現化された。
(※1) 本作の枕返しは、謎の高僧(余談参照)に成敗されて改心した味方妖怪であり、彼から間接的に力を奪った少女の悪霊が敵として登場した。
容姿
砂かけ婆が思い出しただけで惚れ惚れするほどの端正な容姿(※2)。
原作の田中ゲタ吉(高校生となった鬼太郎)をも彷彿とさせる、銀髪(白髪)に赤い瞳を持つ壮年(人間だと40~50代)の男性(余談の項目も参照)。
彼は鬼太郎の様な隻眼ではなく、「目玉おやじ」の元となった目玉も左目なのだが、この時見せた容姿は鬼太郎同様に左目を隠して右目を露わにしている (唯一失われなかった左目以外が復元する形で具現化した可能性もある)。
服装は着流しで霊毛ちゃんちゃんこ(※3)を羽織り、足には下駄を履いている。
全体的に、鬼太郎をそのまま成長させたような感じの姿である。
(※2)鬼太郎と年齢の近いねこ娘は、このエピソードで初めて、目玉おやじの今の姿が本来のものではないと知った、と設定されている。
(※3)鬼太郎が攻撃に使用した際に手放してしまい、直前まで目玉おやじが魔法の絨毯のような移動手段として用いていたところを、枕返しの能力で肉体ごと彼の服装として組み込まれた(一族に代々伝わる家宝であり、現実世界においても、息子の鬼太郎に譲る前は目玉おやじ自身が着用していたはずである)。
戦闘能力
かつて地球を支配していた幽霊族、その王族の末裔で、しかもまだ子供の鬼太郎と違って大人である彼は、鬼太郎以上の戦闘能力を誇っている。鬼太郎を抱きかかえた状態でも敵の猛攻を易々と避け、息子のそれとは比べものにならないほど高威力の指鉄砲を片手で放ち、敵のガードをものともせずに勝利を収めた。ただし、この力は目玉おやじの「子供を守れる父親でいたかった」という願望が具現化されたものであるため、元から同様の戦闘力を持っていたかは不明。
……だったが、その後48話において、現在の目玉に手足の姿でも鬼太郎をはるかに上回る威力の指鉄砲を披露しているため、どうやら夢の世界でも、実際の戦闘力が再現されていたようである。
正直、仮にこの姿で歴代の目玉おやじが本気を出そうものなら5期の小賢しい盗人なぞ一瞬で消し飛び歴代鬼太郎の強敵ですら下手をしたら単騎撃破しかねない程である。
目玉おやじの元の姿について
これまで目玉おやじの本体の姿が描かれたのは、原作やアニメ『墓場鬼太郎』の第1話くらいである。この時は病に侵されていたことから「全身を包帯で包んだ大柄な『ミイラ男』のような容姿」で描写されていた。
健康だった頃の姿については原作に描かれたことはなく(詳細は幽霊族のリンク先参照)、アニメでオリジナルに描写されたのも6期が初となる。
包帯から除くその目は鬼太郎に似た三白眼で、顔も爛れていかにも恐ろしげな雰囲気を漂わせている。
一方、夢の世界で具現化された健康体の姿は、前述の通り赤い大きな瞳で、口元にそれなりの年齢を感じさせる小さな皺は目立つものの、かなりのナイスミドルなルックスとなっている。
なお、永富プロデューサーの談話によると、水木プロ側からはこのデザインについて
「ああいうことをやるんだったら、事前に言ってくださいよ」と笑いながら言われたとのこと。
……幸いというか、水木プロにも大ウケしたようである。
余談
目玉おやじ、ネットを制す
本邦初公開となったこの姿と活躍ぶりは、視聴者に凄まじい衝撃を与えて大きな反響を呼んだ。
ツイッターでは「目玉おやじ」がトレンドワードとなり、3万件に迫るリツイートが行われたほどで、放送日(2018年7月1日)のうちにGoogleの検索予測で目玉おやじと打つと、すぐ下に「生前の姿」「イケメン」等がサジェスト候補として表れるようになった。
声優の意志
かつて1期・2期・墓場編で鬼太郎を演じ、本作で目玉おやじの声優を務める野沢雅子は、自ら「(6期の目玉おやじは)鬼太郎が成長して父親になった気持ちで演じる」と発言していた。それを受けて以前から一部では「愛息子の危機を救うため、全盛期=初代鬼太郎の姿を取り戻す目玉おやじ」という設定での二次創作が行われ、ピクシブ内でもそういった作品が投稿されていた。
が、公式で限りなく近いことが実現した。
- 野沢雅子は、「ドラゴンボール」の孫悟空役でもよく知られている。このためピクシブでもCV発表直後から中の人つながりネタが賑わっていたが、今回の「息子を守る強き父親」「エネルギー波の様な指鉄砲」「普段と違う低い男らしい声」などの点から再び悟空を想起した視聴者も多かった。
小ネタ
- 冒頭の台詞の様に、目玉おやじは自身の事を「ただの父親だ」と呼んでいたが、これはアニメ第一作・第二作での目玉おやじのクレジットが、『父親』だった事も想起させる。
- 実写版のウエンツ瑛士が演じた青年鬼太郎は髪が白(銀)髪に近く、当然ながら身長や体形も成人男性のもので、もしかしたら、こちらもモチーフにしているのかもしれない。なお、6期のスタッフはこの実写版にも参加している。
その他
このエピソードには他にも、
- 知り合いの親子を救うために一芝居打ったまなのゲス顔
- 犬猫コンビの妄想の炸裂っぷりと八頭身の鬼太郎
- その昔各地で妖怪退治をしていたらしい謎の高僧が枕返しの話にも登場し、その僧侶が少女を人柱として捧げる儀式に噛んでいた様子
- 一度は夢の世界へ逃避しながらも、息子への愛のために父親としての自分を取り戻し、命がけで我が子を救ったアキノリの活躍
など、様々な要素が詰め込まれていた。
しかし、全部目玉おやじに持っていかれてしまった。
全国の視聴者よ、どうか彼らのことも思い出してあげてください。