ゴース星人
ごーすせいじん
概要
「通常では観測不可能」とされる事から幽霊惑星の異名を持つゴース星からやって来た侵略者。
極めて高度な科学力を持っており、地球防衛軍は海と空の守りは堅いが、地底からの攻撃には何の備えを持っていないことを利用し、秘密裏に地下に大要塞を築き上げ、地底ミサイルを配備した。
そしてこの大量のミサイルを使用し、各国の首都を攻撃し地球全人類の抹殺計画「30億人皆殺し計画」を実行し、パリやモスクワに壊滅的な被害を与え、全人類を人質に防衛軍に降伏を迫るシリーズ史上稀にみる大規模な侵略作戦…サブタイ通りの『史上最大の侵略』をやってのけた恐るべき侵略者である。
戦闘能力は低いが腕から「ゴースバルーン」という球体を放ち包み込んで、敵を捕らえることが出来る。
姿は顔立ちが幽霊のようであり、地球上では大気の影響でボゥーとした蜃気楼のように透けてみえる。
また、地球言語が話せないため、人類とコンタクトを取る際は拉致したアマギ隊員をマインドコントロールして交渉にあたっていた。
防衛軍の警戒網を無理やり掻い潜り、地球に頻繁に侵入しては着々と侵略計画を推し進める(そのため、セブンが絶不調で命の危険があるため、セブン上司が帰還命令を出すものの、彼がそれを無視したのはこのため)。
そして、母星から用心棒及び基地の護衛として大型宇宙船スペースキャリアーでパンドンが到着すると、怪獣にウルトラ警備隊、セブン双方の注意がそれている隙に建造を推し進めていた熊が岳の噴火口に前衛基地を完成させ、遂に「30億全人類皆殺し作戦」を決行する。
その後、セブンに倒されたパンドンの死骸を秘密裏に回収し、義手と義足を付けて蘇生し、万が一の切り札にしようとしていたようだが、最後は時間稼ぎの末、基地の所在を掴んだウルトラ警備隊によって時限爆弾を搭載されたマグマライザーに急襲されてしまう。自爆したマグマライザーに基地ごと跡形もなく吹き飛ばされなす術も無く全滅、捕虜のアマギ隊員も寸前の所でセブンに救出された。
余談
彼らの宇宙言語を翻訳すると次のような事を言っているそうだ。
例
ゴース星人A「オヤブン、ナグリコミデゴザイマス‼」
ゴース星人上司「ナニ、ナグリコミダト?ソンナバカナ‼」
何故に関西弁?
因みに翻訳のやり方はスロー再生する事。
第48話の決定稿脚本ではダンが体育館でバスケットボールや鉄棒を行う様子をゴース星人の偵察隊が覗いており、これは地球侵略の障害となるセブンを監視している描写だったが、完成作品ではアンヌに変更された。
その後の扱い
上記の通り、(ウルトラセブンの絶不調という幸運もあったとは言え)地球占領と人類滅亡まであと一歩まで迫り、(画面での描写は限定的ながら)複数の大都市で甚大な被害をもたらすなど、ウルトラシリーズでも屈指の侵略者。登場回も「シリーズ最高の感動作」の呼び声高い名エピソードで、ファンの心に深く刻まれた宇宙人である。
一方その後のテレビシリーズでの登場は、後述のウルトラマンタイガまで無かった。
このエピソードは『スーパーヒーロー作戦』でも収録されているものの、メフィラス星人が作戦のすべてを執り行っており、作中での登場は無かった。
『ウルトラボーイのウルころ』や『ウルトラ怪獣かっとび!ランド』のような番外篇的作品などで、いわゆるカメオ出演的な“顔出し”の機会はあるものの、シリアスな作品では、コミックの『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦(てれびくん版)』くらい。
ただ、近年では『ウルトラ怪獣散歩』や『怪獣倶楽部』で番外ではあるが映像作品に久々に登場してきている。
上記のように映像作品ではさっぱりだが、実はアトラクショーでは動きやすいスーツのため、悪役としてそれなりに活躍している(平成シリーズでやけに出番の多いシャプレー星人などもこの辺が抜擢の理由)。
そして、「ウルトラマンライブステージ2・宇宙恐竜最強進化!」ではなんと主役のような扱いとなっている。セブン最終回で爆死した連中の内の一人がゾフィーから卵を託されて、その卵から生まれた子供を育てる事を条件に生き返った。その卵から生まれたゼットン星人の子供を育てるもそれをクローンゼットンの進化に利用しようとするセミ人間たちのせいで宇宙を揺るがす大事件が発生してしまう。ゼットン星人とゴース星人はどれも最終回の敵宇宙人であり、この親子はまさに最終回の敵宇宙人繋がりの共演だったと言える。
「君の母親を怪我させたのは、俺じゃない!」
『セブン』での初登場から約半世紀余り経ち、『ウルトラマンタイガ』第21話「地球の友人」にて、実に51年ぶりにテレビシリーズに登場。しかも、良心的な宇宙人としての登場である。
原点と同じく地球の言語を話せないので、宗谷ホマレを介して会話していた。自身を「俺」と言っている為、性別は男性と思われる。
街中ではひょっとこの面を被って骨董市の看板を下げながら、明らかに挙動不審な様子で活動していた(宣伝役のチンドン屋もどきでもしていたのだろうか?)。
第18話に登場したバット星人小森らとは仲間で、革命を起こす為に使役する怪獣を譲渡した張本人。
ただ、彼自身は地球に愛着を持っていて侵略の意思は無く、怪獣を譲渡するにあたっても利用は威嚇目的と聞かされており、この事の罪悪感から地球をいずれ去るつもりでいた。
バット星人小森が送り込んだゼットンの一件で宇宙人を憎むようになった青年・田崎修に侵略目的の冤罪をかけられいたぶられても逃走と弁明以上の抵抗をせず報復の意図を最後まで持つことはなかった。最終的には自らの過ちに気付いた修と和解し、地球を去ったようである。
ただし自分に懐いているペット同然のパンドンはともかく地底ミサイル付属の宇宙船を隠し持ってきており、それをウルトラマントレギアに悪用されてしまった。
言葉通りなら騙されて持ち込んだ事になるだろうが、それが本当かどうかは最後まで明言されなかった(霧崎=トレギアに使用を持ち掛けられた際すぐに殴ったほど激怒した事から、少なくとも使いたくなかったのは間違いない)。一部視聴者からは「最初は侵略目的で来たが地球に潜伏している内に愛着がわいてしまったのでは?」とも推測されている。
余談
『ウルトラセブン』撮影後、スーツは頭部を赤くリペイントされ『戦え!マイティジャック』の友好宇宙人モノロン星人に流用された。
デザインを担当した池谷仙克氏の画集には、巨大化して怪獣のような姿になった「ゴース星人変身体」が掲載されているが、結局このデザイン画が存在する理由は不明である。
『タイガ』第21話でゴース星人の声を演じたのはホマレ役の諒太郎氏であり、デジタル加工により初代の雰囲気を再現している。また、スーツは新期に造形された。
言葉が通じない宇宙人が、宇宙人は悪いものだと決め付けている少年と最終的に分かり合える話にするため、人間の言葉を喋らないゴース星人が選ばれた。また、パンドンの登場が決定したことも理由の一つだった。