『ジョジョの奇妙な冒険』第2部のラスボスであるカーズと、第7部の登場人物であるマジェント・マジェントの末路。
また、第3部の承太郎とDIOとの最終決戦でも同様のナレーションが挿入されている。
概要
第2部(カーズ)
第2部のクライマックス(単行本12巻)より。
(ナレーション)
地球のパワーを持ってしてもカーズを殺す事は出来ない。しかし地球は! カーズを大気圏外に追放したのだッ!!
エイジャの赤石をはめ込んだ石仮面を装着し、ナチス親衛隊の放った強力な紫外線を浴びたことで、最強無敵の存在『究極生命体(アルティミットシイング)』となったカーズ。
その圧倒的な戦闘力でジョセフを追い詰めるものの、彼が命の瀬戸際で発揮した「ひらめき」によって発生させた火山噴火の勢いに押され、宇宙空間に放り出されてしまう。
「宇宙空間だと! フンッ! 体内から空気を噴出させて! その圧力抵抗で軌道を変え!
地球へ戻ってやるわ!!」
とっさにカーズは体内から圧縮した空気を噴出させ、反動で軌道を変えて地球へと戻ろうとするが――
「ぎぃゃぁぁあああ! だ…だめか! こ…! 凍るッ!! く…空気が凍ってしまう!
外に出ると凍ってしまうッ! き…軌道を変えられん、も…戻れんッ!」
絶対零度の宇宙空間では、噴射した空気と共に肉体も凍結してしまい、軌道を変えるどころか身動きすら取れなくなってしまった。
究極生命体の弱点、それは宇宙に適応できる生命体が存在しないという盲点だった。
柱の男といえど所詮地球上の生物。究極生命体というのはあらゆる生物の頂点に立つ生命体であるわけだが、その比較対象は同じ「地球上の生物」であるという前提条件のために、地球上のあらゆる環境に耐えられる生命体の力を手にしたところで、宇宙空間に生身で適応できる生命体が存在しない以上、地球に戻る事はできなかったのである。
現代においても、宇宙生物は科学的に存在する派と存在しない派で分かれるくらい確証に乏しい上に、仮にいるとしても、少なくとも地球の生物ではなく、且つ存在する派も「宇宙空間ではなく別の惑星に存在する」という主張がメジャーである事から、地球の存在である究極生命体はその能力を使えない。
その結果、後述のようにカーズは宇宙空間に漂う鉱物と生物の中間の生命体になるしかなかったわけだ。
そして作者の結びの言葉が挿入される。
「――カーズは――
2度と地球へは戻れなかった…。
鉱物と生物の中間の生命体となり永遠に宇宙空間をさまようのだ。
そして死にたいと思っても死ねないので
――そのうちカーズは考えるのをやめた」
一方のジョセフは、死を覚悟するも持ち前の強運により岩盤に守られる形で地中海へ落ち、漁船に拾われて九死に一生を得ている。
……その彼を介抱していた、妻となった女性がその事を電報で知らせるのをすっかり忘れていたため、ニューヨークではジョセフの葬式が執り行われてしまっていたが。
補足
「火山噴火ってそんな力あんのかよ?」
と懐疑的な諸兄もいるだろうが、火山噴火による火山弾等の噴出物が、実際に大気圏を突破して宇宙空間にまで到達している事例が報告されている。つまり、極めて強烈な火山噴火ならば、カーズを宇宙空間に打ち上げることは現実的に可能なのである。
更に今回のケースは「カーズの放った波紋エネルギー(ジョセフのそれの数百倍)が、純度100%のスーパーエイジャで更に増幅されたもの」をブチ込まれた結果であるため、自然ではまず起こり得ない威力の噴火が発生したとしても不思議ではないだろう。
また、究極生命体が飲まず食わずで生活できるのは地球上で1年間とされている。何もない宇宙空間で身動きできないカーズは、当然何も摂取していない。生物と鉱物の中間へと肉体自体が変質しているので元と同じ様に考える訳にはいかないが、いつか彼にも死が訪れる可能性がある。
ちなみに小説『JORGE JOESTAR』では、不老不死によって宇宙の終焉すら生き延びて放浪の末に火星に漂着しており、後に地球に帰還している。
第3部(承太郎とDIOの最終決戦にて)
第3部のクライマックス(単行本第28巻)より。
ジョセフの体から血を奪い、ダメージを回復したDIO。
9秒間の時間停止を行い、その間に承太郎を始末することを宣言する。
DIO「最後の攻撃だッ! 正真正銘! 最後の時間停止だ!
これより停止時間9秒以内にッ! カタをつけるッ!
『ザ・ワールド!!』」
DIOは…
時を止めたまま なぜゆえか姿を消した
しかし承太郎は考えるのをやめた…
DIOが何を策していようと…
DIOが静止した時の中で2秒間だけ動くことのできる承太郎をどんな方法で攻撃してこようと…
承太郎「もらった2秒という時間だけスタープラチナをブチかますだけだ」
「おれが思う たしかなことは DIO!
てめーのつらを次みた瞬間 オレはたぶん…
プッツンするだろうということだけだぜ」
承太郎の場合、カーズのように「苦しくて考えるのを放棄した」訳ではない。承太郎は、DIOをぶちのめすこと以外の余計なことを一切考えないようにしたのである。すなわちッ! 勝つために思考を捨てたのだッ!!
第7部(マジェント・マジェント)
『スティール・ボール・ラン』の単行本第16巻より。
マジェント・マジェントはファニー・ヴァレンタイン大統領がジャイロ達へ送り込んだ刺客2人組の片割れであった。
しかしジャイロ達との戦いに敗れた後、相方のウェカピポがジャイロ達側へ寝返ってしまったことに彼は激怒し、ルーシー・スティール(北米大陸横断レースの主催者、スティーブン・スティールの妻)の護衛のためにフィラデルフィアの政府公邸へ向かっていたウェカピポを殺害しようと画策、実行に移す。
しかし、戦闘の末、逆にウェカピポの策に嵌り、馬車の車軸のワイヤーで雁字搦めに縛られた上で、デラウェア河に沈められてしまう。
とっさに自身のスタンド『20th Century BOY』で身を守るマジェント・マジェント。
しかし、このスタンドは彼に対するいかなる攻撃をも周りへ受け流す絶対防御の能力を持つが、一方で発動中は一切身動きがとれなくなってしまうという欠点を抱えていた。
そのため、「スタンドを解除しなければワイヤーを外して川底から浮かび上がることができないが、解除すれば拘束を解く前に窒息して溺れ死ぬ」というジレンマに陥ることとなる。
止むを得ずスタンドの使用を続行し、以前ジャイロ達に敗れて重傷を負わされた時に通りがかって助けてくれたディエゴが、再び自分を救出しに来てくれることを期待して待っていたのだが――。
「デラウェア河の川底の水はいつまで経っても同じ様に流れ…
そのうち『マジェント・マジェント』は、
待つ事と
考える事をやめた」
余談
第2部の該当シーンを再現した、『カーズの考えるのをやめた文鎮』という商品が存在する。
関連イラスト
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考えるのはやめた:似て非なるもの。