概要
1971年秋季、当時『仮面ライダー』人気の上昇機運に手応えを感じていた毎日放送は、自社の子供向けコンテンツをさらに拡充すべく、新たに変身ヒーロー番組の制作を依頼。それが時代劇を取り入れた変身ヒーロー番組『変身忍者 嵐』である。
ところが、放送開始早々に思わぬ苦戦を強いられてしまう。関東地区では『嵐』より先に、同じ時代劇ヒーローの『快傑ライオン丸』がスタート。さらに『ウルトラマンA』の放送も始まるなど、今では考えられないほどの類似・競合番組がひしめきあっていた。そのため視聴率も振るわず、事あるごとに路線変更を余儀なくされた。
ちなみに撮影拠点は「仮面ライダー」と同じ東映生田スタジオである。
ストーリー展開は「血車党篇」(1~20話)、「西洋怪人篇」(21~39話)、「サタン篇」(40~47話)の三章に分けられる。
コミカライズ版
石ノ森版は週刊少年マガジンに掲載されていたが、路線変更が行われないまま掲載されたため、ラストは救いようのないオチになっている。
ちなみに同時期に弟子の永井豪が同誌に掲載していたマガジン史上最不潔漫画『オモライくん』にも1コマだけ登場している。
また、石ノ森版の正式な続編である『変身忍者嵐 SHADOW STORM』が大賀浅木により、ホーム社のWEBサイトで配信されている。
2014年6月27日発売の月刊コミック乱8月号より本作を原案とする『変身忍者嵐χ』の連載が開始された。
作者はにわのまこと。
登場人物
ハヤテ
血車党の首領・魔神斎の片腕の家系に育った青年忍者だったが、組織の実態を知って組織を脱出し、父によって変身忍者嵐に改造を施された。当初はデストロンを信じていた結城丈二同様に脱出後も組織を信じていた節があったが、戦いの中で血車党を壊滅させる意志を固める。変身前でも一通りの忍術はこなせる為、戦闘力は高い。
月ノ輪との合体後は市川治氏が声を担当した。
谷の鬼十 - ハヤテの父。かって血車党・魔神斉の片腕であった老科学者。組織を裏切った為に処刑される。石ノ森によるコミカライズ版では本物の魔神斉を切ったものの、負傷で記憶を失い、彼が魔神斉として生きるものの最終話で、息子のハヤテと対決する事になるが…。
名張のタツマキ
徳川幕府の密命を受けて血車党の動向を探っていた老練(ベテラン)伊賀忍者。頭領・百地三太夫の信望も厚く、仲間の忍者を統率するリーダー。
ツムジ - タツマキの息子、修行の身でありながらハヤテをサポートすべく戦いのたびに随行。
カスミ - 江戸で医学を学んでいたタツマキの娘。一行の世話係として共に旅をする。
月ノ輪
西洋怪人軍団を追ってきた神出鬼没の仮面剣士。嵐に西洋怪人に弱点を教えるなど援護。
その正体は嵐ことハヤテの双子の兄・フユテであった。ツキノワグマの化身忍者である。
シノブ
ハヤテの母。大魔王サタンに囚われており、ハヤテが嵐に変身すると地獄の苦しみを味わう呪いをかけられている。この事実が発覚して以降、ハヤテは嵐への変身を極力控えるようになり、変身してもなるべく早く決着をつける傾向になった。その結果ひとつの悲劇を生むことに・・・・・・
血車魔神斉
声:納谷悟朗
実は大魔王サタンの操り人形であった。石ノ森によるコミカライズ版の最終話ではハヤテと対決するもその正体は…。
骸骨丸
血車党の大幹部、全国各地の化身忍者たちを指揮する行動隊長でもある。
谷の鬼十を殺害した張本人。度重なる失敗で悪魔道人により魔神像の下敷きに…。
悪魔道人 - 西洋妖怪を率いる妖術使い。魔神斉と結託し嵐に狼男をはじめとする刺客を差し向けた。
演:天本英世
魔神斉や悪魔道人を影から操ってきた全知全能の支配者。世界から列強の妖怪たちを呼び寄せ嵐に差し向けた。
変身忍者嵐
CV:池水通洋
「吹けよ嵐、嵐、嵐」の声とともに愛刀ハヤカゼを鍔鳴りさせる事で脳神経を異常活動させ、変身する鷹の化身忍者。途中から「変身」の掛け声で変身するようになり、新生版もそれに準じている。
愛馬は100キロの速さで地を駆け幅100メートルの谷すらも飛び越えるハヤブサオーで、忍者の馬らしく忍馬である。
また、愛刀のハヤカゼは折られても変身さえすればたちどころに再生してしまう。この他、弓矢や吹き矢といった飛び道具の他、飛行凧といった忍具も使いこなす。
溶岩に落ちた際に月ノ輪と融合し、新生した後は刀の代わりに鞭や破壊光線を発するバトンを使用するようになるが、刀が使用できなくなったわけではない。
鷹の化身忍者というだけあり、身のこなしは軽く、通常ジャンプ力は10mで、忍法嵐の飛躍というジャンプ技の他、忍法飛び石という敵の肩を器用に跳ね回る技を持つ他、忍法空駆けの術という飛行能力も行使できる。
他者に化ける変身能力も有しており、昭和ライダーと比べて能力はやや怪人寄りである。
最終回ではサタンの本体である妖原子球に全エネルギーをぶつけた為、変身忍者嵐としての能力は失われた。
ゲーム「スーパーヒーロー烈伝」では大地震の影響で現代に復活、時を同じくして復活した血車党と激闘を繰り広げ、現代のスーパーヒーロー達に協力する事に。
原作の直接の続編である「変身忍者嵐 SHADOW STORM」では延魄の術を施されて360年もの間を眠っていたが、現代の世に復活を遂げ、タツマキの子孫であるイブキ、オボロ、烈と共に血車党討伐の為に戦う。
必殺技
- 秘剣影うつし
ハヤカゼに敵の姿映し取り、刀の発光で敵の目を潰し、斬り伏せる技。
分身を見破る他、敵の脂や超音波の類も無効化してしまう(特に谷間では音が反響しやすいため、超音波は跳ね返しやすくなる)。
忍者だから別に卑怯ではない。
- 嵐旋風斬り
刀を回転させ、敵を切り裂く。急降下を加えたものは嵐旋風落とし、防御に使用されるものは嵐旋風返しと呼ばれ、敵の煙や炎、超音波など様々な攻撃を防ぐ。
- 羽手裏剣
体の羽で手裏剣を作り出して投げつける。
変身前でも使用でき、十字型やクナイ型など用途に応じて形を変える事も可能。電撃を纏った羽手裏剣を投げつけるタイプは嵐稲妻縛りと呼ばれる。
- 忍法羽根隠れ
周囲に羽を舞わせ、撤退する技。
- 正義の光線・ガンビーム
新生版の必殺技で、サタンの魔法陣による復活を無効化できる破壊光線。
この技で数ある西洋妖怪を葬ったが、サタンには全く通じず、秘剣影うつしがフィニッシャーとなった。
"眼"から放つ"ビーム"だから"ガンビーム"なのであって、飛び道具だからガンビームなのではない。
- 稲妻落とし
落雷のごとく急降下し、ハヤカゼで敵を切り裂く。錐揉み回転を加えると嵐稲妻斬りとなる。
- 嵐飛び投げ
忍術を得意とする嵐にしては珍しい格闘技で、敵を掴んで投げ飛ばす。
- 嵐岩石通し
空中に飛び上がり、刀を敵に投げつけて串刺しにする技。
- 指目つぶし
左手を突き出し、対象の視力を潰す技。
忍者だから卑(ry。
- 忍法痺れ煙
痺れ薬の入った煙玉で敵を痺れさせる。
忍者(ry
- 壺真っ向割り
ツボに隠れて空に逃げようとしたグレムリンをツボごと叩き割った技。
- 忍法自在縄
伸縮自在の縄を木々に張り巡らし、敵の逃げ場を塞ぐ。
- 十字撃ち
ハヤカゼと敵から奪った刀を組み合わせて十字架を作り上げ、連続斬りと交差切りでトドメを刺す。
十字架に弱いドラキュラ戦での決まり手となった。
- 忍法返し槍
敵の投げた槍をハヤカゼで弾き返す技。
- 忍法火消し布
首のマフラーを取り外し、炎を覆い隠す事で消火してしまう。
また、マフラーは敵の捕縛にも利用できる。
- 代わり身の術
化身忍者の死体や藁人形を自分の身代わりにして撤退する忍法。
- 嵐四方破り
腕を交差して開く事で、スフィンクスの呪いの箱の四方に描かれた蜘蛛の絵を同時に破壊して脱出した技。
- 悪魔祓い
印を結び、西洋妖怪の魔術に掛かった人間を元に戻す技。
- 忍法土潜り
土の中に瞬時に潜る技で、地面を掘った痕跡は残らない。
- 忍法羽根分身
分身技だが、意外にも劇中未使用。
- 火炎手裏剣
爆発する手裏剣を空に放って周囲を照らし、死人ふくろうの忍法「闇夜呼び」を破った。
- 忍法・遠耳の術
遠く離れた場所の音を正確に聞き取る。
スーパーヒーロー烈伝で使用。
仮面ライダー響鬼VS変身忍者嵐!?
他の石ノ森ヒーローに先駆けて平成ライダーにて登場していた!?
※これは冗談、超神ネイガーのコラボ、架空ポスター。
仮面ライダー響鬼 三十六之巻「飢える朱鬼」
『鬼の鎧』を仮面ライダー朱鬼が神社から持ち出すという話。
その鎧のデザインはどう見ても…
とにかく特撮マニアの方からも『絶対に嵐だっ!』という声が多かっただろう。
上記の鬼の鎧の影響か、響鬼前半のメインライターであるきだつよし 氏により公式で嵐とのコラボが描かれた小説が発売された。
設定レベルでのクロスオーバーが見られるなど、響鬼ファンも嵐ファンも必見な内容となっている。
余談
ナレーションは仮面ライダーシリーズでおなじみの中江真司氏が務める。安定の重量感あふれるボイスであるが、なぜか一話次回予告のみ某キチガイアニメの馴レーションを彷彿させるように、やたらとフレンドリーである。
以下に抜粋する。
みんな変身忍者嵐面白かったかな? すごーい怪人が出てきたねー!
来週はねー、体中が鉄になって刀をはね返してしまうという、これもすごい猿の怪人が現れるんDA!
嵐の秘剣が勝つか! マシラの忍法が勝つか!
次回! 怪猿忍者マシラ現る! みんなで見ようねー!
なお二話以降は他特撮作品と同じく落ち着いたナレーションであるが、次回にゲストとして高見山が登場する31話次回予告では『高見山関も出るんDA!』と少々テンションが上がっている。
別名・表記ゆれ
関連タグ
仮面ライダーオーディン/ジーク(イマジン)・・・いずれも裏モチーフに嵐を採用。