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シュブ=ニグラスの編集履歴

2021-10-06 16:26:13 バージョン

シュブ=ニグラス

しゅぶにぐらす

クトゥルフ神話に登場する外なる神の一柱で、豊穣の女神。

名称

原語表記

Shub-Niggurath(シュブ=ニグラス、シュブ=ニグラート)

Ishnigarrab(イシュニガラブ)


概要

外なる神の一柱。

万物の創造主魔王アザトースから生まれし”闇”から更に生まれた女神

外なる神ヨグ=ソトースの妻(ラヴクラフトの手紙)とされ、ハスターの母であり、同時に”名状し難きもの”(The Not-to-be-Named One)の妻(小説『墳丘の怪(The Mound)』)ともされる。

子供にナグとイェブ、他多数。


ルーツ

一応、ラヴクラフトによって最初に言及されたものの(初出『最後の検査(The last test)(1928)』)彼の作中では、呪文や台詞に名前が含まれるのみで登場することはなかった。

ラヴクラフトは、シュブ=ニグラスを友人への手紙で「邪悪な雲のような存在(evil cloud-like entity)」と描いており、今日のモンスターの様な姿ではなかったらしい。


後にオーガスト・ダーレス、リン・カーター、ブライアン・ラムレイらによって、

巨木のような節くれだった巨体、粘液に包まれた黒い触手、山羊の様な蹄を持った足、

多くの巨大な口、絶えず産み落とされる怪物たち等が描かれた。


D・J・ウォルシュJrの小説『呪術師(パパロイ)の指環』に登場する彼女の石像は“山羊のような生き物を表したものの、明確な違和感・不自然さを持っており、

複数の触手があって、見誤りようのない冷笑的な、しかし人間的な感情を持った”姿だとされた。


またTTRPGでは“泡立ち爛れた雲の様な肉塊で、

のたうつ黒い触手、黒い蹄を持つ短い足、粘液を滴らす巨大な口を持つ”姿で表現されている。

マントで顔を隠した人間に化ける事もあるが、これは稀な例である。


崇拝

クトゥルフ神話の神々の中で最も広く、数多くの信仰を集める。

チョー・チョー人、ハイパーボリア大陸、ムー大陸、夢の国ムナール大陸の都市サルナス、古代エジプト古代ギリシャ、クレタ人、地底王国クン=ヤン、惑星ヤディスのヌグ=ソス、惑星ユゴスのミ=ゴ、ドールら、地球外でも信仰され、ケルトドルイドや魔女たちが崇めた黒山羊、サバトの原形であるとされる。


9世紀のシチリア島はシュブ=ニグラス崇拝の拠点で、エフェソスのアルテミス信仰、女神ヘカテー北欧神話のヘイド(グルヴェイグ)等、他の女神に見せ掛けた信仰や儀式が行われていた。


リチャード・L・ティレニーの小説『The Lords of Pain』によると現在は、南アラビアの地下の洞窟にハラグ=コラース(Harag-Kolath)という都市を建設し、落とし子たちに傅かれながらハスターが訪れるのを待っている。


外なる神に性別はないがシュブ=ニグラスは、

女神と位置付けられることが多く邪悪な豊穣神、地母神として崇められる。


姿を見ただけで発狂したり、召喚したら街一つ、

酷い場合は惑星ごと滅ぼしてしまう外なる神々の中で比較的、安心して召喚できる存在。

対話可能で人間に好意的に接してくれるとされ、邪神ガタノトーアがムー大陸を襲った時は、信者に恩恵を与えたとされる。新月の夜、森の中で儀式を執り行えば、必ず姿を現す。


恩恵

シュブ=ニグラスの乳を飲んだ崇拝者は、危険な怪物に変身する。

またシュブニグラスは、気に入った崇拝者を丸呑みにして産み直し、サテュロスに変身させる。

変身した崇拝者は、深きものどもと同じく非常に強力な生命体となり、不老になる。

小説『ダニッチの怪』のヨグ=ソトースの様に自らの子供を人間の女性に産ませるかも知れない。


マグナマーター

ラヴクラフトは、小説『壁の中の鼠』で古代ローマの女神、偉大な母(マグナマータ)という語を書いており、これがシュブ=ニグラスを指していると後の作家たちが考えた。マグナマータは、キュベレイアティスなど古代オリエントの地母神と関係づけられ、ここからシュブ=ニグラスは女神という設定が与えられている。


また『墳丘の怪』では「洗練されたアスタルテの様なもの(a kind of sophisticated Astarte)」と形容され、『レッドフックの恐怖』ではリリスと結び付けられ、ここから不特定多数の相手と子をなす豊穣神という性格が固められた。


異説

ロドルフォ・フェレージ(Rodolfo Ferraresi)は、『シュブ=ニグラスの質問(The Question of Shub-Niggurath)(1985)』において「”千匹の仔を孕みし森の黒山羊”はシュブ=ニグラスではない」と唱えた。


彼は、ラヴクラフトが黒山羊(The Black Goat)とは、雄山羊を想定していると考えた。

(和訳では「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」となっているThe Black Goat of the Woods with a Thousand Youngだが、どこにも孕むに当たる表現はない。)

その根拠として小説『闇に囁く者』の描写を上げ、黒山羊が森の中で行われる儀式で男性としての役割を務める神性を指しているとした。


また山羊がモチーフのサテュロス古代ギリシアパン神、バフォメットは、男性を象徴している。ラヴクラフトがこれらから着想を得たとすれば、シュブ=ニグラスとの儀式は、シュブ=ニグラスの子を崇拝者が妊娠することを仄めかしているのだとした。

あるいは、パン神はシュブ=ニグラスの化身であり、彼女自身と結び付けられないともしている。


奉仕種族

  • チョー・チョー人

ダーレス、リン・カーターらによってシュブ=ニグラスの奉仕種族とされた小人種族。

(ただしチョー・チョー人は他にも多くの神々の奉仕種族ともされている。)

  • ドール

惑星ヤディスや夢の国などに住む全長数百メートルの青白い粘液に包まれたミミズのような怪物。

その他にも様々な奉仕種族がいるがサテュロスのように森の妖精として知られるものが多い。


住処

人気がある設定は、惑星ヤディスでドールたちを支配しているというもの。

他に南アラビアのハラグ=コラース、他の外なる神と同じくアザトースの閉じ込められている無明の房室という意見もある。


男神であり、女神

通常、3次元に収まらない外なる神には、決まった姿も性別も存在しない。

現在主流な設定ではシュブ=ニグラスは基本的に女性とされているが「千の雌羊をつれた森の黒雄羊」と言う称号もあり、魔道書『クタート・アクアディンゲン』には、この外なる神が「男神であり、女神」であると書かれた箇所がある。

女神マイノグーラと交わってティンダロスの猟犬たちを産み落とさせたともいわれている。化身であるパンの大神は人間の女と交わり子供を産ませる。


人間の女性の化身を作ることも可能だが、脳まで人間になってしまい思考レベルも人間と全く同じものになってしまうため、感情に振り回されがちになるという。


化身

  • 畝の後ろを歩くもの 豊穣の悪神

植物のような姿。

「化身の木」と呼ばれる特別な木を通じて顕現する。この木は巨大でねじくれた、薄気味悪く見える枯れ木でなければいけない。この化身が生け贄を受け入れると、丸ごと飲み込んで地底の棲みかに戻り、そこで奇怪な肉体的変容を受けさせた上で犠牲者を「生み出す」。シュブ=ニグラスの奉仕に選ばれた個人に再び地上で出会えることはほとんどない。化身から産み落とされた変容した存在は「ゴフン・フパージ・シュブ=ニグラス」シュブ=ニグラスに祝福されしものである。

  • パンの大神

シュブ=ニグラスの男性としての相。

人間としての姿とサテュロスとしての姿を持つ。人間としての姿は若くてハンサム。時に人間の女と交わり子を産ませる。犠牲者の女は完全に発狂してしまうが、不気味で人間として最も美しい子供を孕む。この子らは対象者に狂気と自殺をもたらす。

パンの大神の真の姿を見たものは恐ろしさのあまり例外なく発狂するか即死する。

  • ムーン=レンズの守護者

白い肉の柱と表現される姿。ゼリー状の頭部と巨大なくちばしを持つ。

犠牲者を気味の悪い変異を起こした姿に「再生」させ、自分の世話をさせる。変異を受けたものは「ゴフン・フパージ・シュブ=ニグラス」シュブ=ニグラスの祝福をうけしものである。


異名

  • 古典由来のもの

『 』は初出、または後代の作家によって結びつけられた呼称の出典。

「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」(The Black Goat of the Woods with a Thousand Young):『闇に囁くもの』

「森の神」(Lord of the Wood):同上

「森の黒山羊」(the Black Goat of the Woods):同上

「万物の母にして、名状し難きものの妻」(the All-Mother and wife of the Not-to-Be-Named One):『墳丘の怪』

「マグナマータ」(Magna Mater/偉大な母):『壁の中の鼠』

「母なる女神」(the Mother Goddess):『永劫より』

  • 比較的近年のもの

「大いなる森の黒山羊」(Great Black Goat of the Woods)

『ネクロノミコン断章』のアル・アジフ再現テキスト部分の「黒きシュブ=ニグラスの召喚」の章での詠唱句で言及。

「千の雌羊をつれた森の黒雄羊」(The Black Ram of The Forest with a Thousand Ewes)

Bob Curran著『A Haunted Mind: Inside the Dark, Twisted World of HP Lovecraft』(2012年刊)で紹介された異名(言及箇所)。

作家の作品としてはSF小説家マイケル・A・スタックポールが2011年にネット公開した短編小説『The Shepherd's Blessing』で使用例が確認できる。

「黒き豊穣の女神」「狂気産む黒の山羊」

「黒き豊穣の女神」の現在辿れる最古の出典はウィキペディア日本語版の「シュブ=ニグラス」の項目の2010年1月14日 (木) 14:08の版である。同項目の2010年6月24日 (木) 07:28の版で「狂気産む黒の山羊」が追加された。両者ともに2021年3月10日 (水) 13:38の版で記事から取り除かれている。

CLOCKUP18禁ゲーム『性狂育』(2012年3月23日発売)において「狂気産む黒の山羊」という楽曲が用いられている。また、同人東方二次創作ゲーム『[[東方の迷宮2ㅤ幻想郷と天貫の大樹』(同人版は2013年8月13日発売、コンシューマ版では2020年7月15日発売)でダンジョン内で遭遇する敵として「黒き豊穣の女神」が登場。


関連

祖父。この魔王が生み出した闇より生まれたとされる。

伯父、夫。

父。ニャルラトホテプ、名もなき霧と共にアザトースから生まれた。

「兄弟であり連れ添い」とされる旧支配者、蛇の父。

ムー大陸の地下王国クン=ヤンで崇拝された。シュブ=ニグラスはこの神との間に怖ろしい怪物を産んでいる。

ヨグ=ソトースとの子供で邪悪な双子。

ラヴクラフトの作った外なる神の家系図にもあり、信憑性が高い設定とされている。

性別や姿は不明。サクサクルースが男性対と女性体に分裂した存在だとした作品もある。

古代エジプト神話のゲブとヌトがモデルとされる。

息子、夫。ただし、ラヴクラフトの作った家系図には反映されていない。

長女。性魔術の女神。性魔術結社『孤立の娘たち』で崇拝される。

眷属(異説あり)。

通称”最弱の旧支配者”。

  • 黒き仔山羊(ダークヤング)

眷属。

シュブ=ニグラスの象ほども大きさがあるとされる落とし子。蹄のある足と触手を束ねたような胴体を持つ。

ケルト神話の半獣半人の森の精霊。

クトゥルフ神話ではシュブ=ニグラスの眷属あるいはシュブ=ニグラス自身もサテュロスとしての化身を持つ。

配下。アイルランドの伝承の妖精。その他のリトルピープルや森の妖精もシュブ=ニグラスの配下であるとされる。

  • マイノグーラ

ナイアルラトホテプの従姉妹である女神。シュブ=ニグラスはこの女神と男神として交わった。

マイノグーラと交わり産ませたヘルハウンズがこの魔物の祖先だとされる。

ハスターとの間に生まれた子供だとされる神々。風の精霊。

旧神との戦争があったとされる場合は、ハスターの軍勢として旧神達と戦った。


関連キャラクター

  • 星間渚

矢野健太郎の『邪神伝説シリーズ』における、将来シュブ=ニグラスになる人間の少女。

ハスターを崇める星間一族の産まれで、ハスター降臨の生贄になるも召喚失敗で生存。


その際に風を操る力と不死身の肉体を得て対邪神組織「ケイオスシーカー」に所属、邪神や眷属との戦いの果てに全身の細胞が邪神の力で再生され、シュブ=ニグラスへと変化する。

  • 千夜

姉なるもの』で、角と山羊の足を持つ美女の姿で現れる。明言されていないが、

描写と「千の仔孕みし森の黒山羊」と名乗る事から正体はシュブ=ニグラスかその化身と思われる。

主人公「夕」の姉として一緒に暮らして欲しいという願いを叶える為、美女に変身している。


人間に化けている為か情緒が人間らしくなっており、

残酷な邪神らしさと女性らしい優しさが同居している何とも言えないキャラである。


関連タグ

ヨグ=ソトース ハスター マイノグーラ ティンダロスの猟犬

クトゥルフ神話 外なる神 女神 地母神 姉なるもの

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